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勇者、乗っ取られる

夢を見ていた。

カガクなるものが発達し、鉄の塊が空を飛び、ガラスから映像が流れる世界で、少年がふかふかなベッドで横になり、あにめなるものを見た。そのあにめはまるで、僕の今の世界を想像させるものだった。

魔王が台頭し、勇者も歯が立たない。その状況を打開したのは、いわゆる“転生者‘'なるものだった。

突如現れ、魔王を倒し、みなに祝福され、勇者もじつりょくを認めて褒め称え、仲間になる。そしてまた色々なてきを簡たんにたおしていく。そしてみていたしょうねんらしきひとがいった

「ぼくもあん ふうにヒ ローになってみ た な。」

 * * * * * * *

気がつくと、夜の3時だ。昨日の出来事が思い起こされ、憂鬱になる。

俺は勇者だった、はずだった。つい昨日までは。本当に一瞬のことだった。まさに夢のように、ヒーローになりたかったのに。

__________________________________________________________________________

俺はパーティーメンバーと共に、いや、パーティーメンバーではなくなってしまったか。最終決戦と言える魔王との戦いにたどり着いた。魔王もこちらを見て重い腰をあげた、

「勇者達よ、よくここまできたな。敵ながらその実力には毎回驚かされる。」

「それはこちらもだ。どれだけ四天王に苦戦したか。挙げ句の果てには魔王城の門番が四天王以上の実力者だ?冗談じゃないぜ。お陰でだいぶ持ってかれた。」

「ふん、こちらも相当消耗しているのだ。この戦いで終わらせる」

「それはこちらのセリフだ。平和をもたらすために、お前を討伐する!!」

まさに戦いの火蓋が斬られるその数秒とも言える間に、人生を狂わせられた。一瞬で光が差した。光に怯んで一瞬目を閉じ、開けた時には、魔王は倒れていた。そし、立っていたのは珍しい服を着たいかにも風変わりな少年だった。信じられない出来事が目の前で起き始めた。

________________________________________________________________________

さて、民衆はこの出来事を受けてどちらの者を勇者とするだろうか

もちろん、勇者になったのはその“レイ”と名乗る少年だった。しかし、俺にとっての問題はここで終わらなかった

それは、魔王討伐2日後、王都での宴だった。

俺はパーティーメンバーと参加し、もちろん少年(レイ)も参加していた。

この国の宴は、主役が最初と最後に号令をかけて盛り上がるのが一般的な文化だ。

今回は少年が最初の飲みを、俺が最後のトリをやることになった。

宴が始まる前、何人かの民が俺を訪ねてきて、1人の男がこういった。

「ルミエール様、私たちにとっての勇者は貴方様です。最後の手柄を成し遂げたのはレイ様ですが、ここまで私達を闇から救い、照らしてくれたのはルミ様達の勇者パーティーなのです。どうかそれほど気を落とさないでいただきたいのです。」

と言ってもらい、少し照れながら

「ああ、俺は少し気を落としすぎていたのかもしれないな。少し悩みが晴れた気がする。こんなことを言ってくれる民がいるだけで俺は嬉しい。ありがとう。」

と我ながら完璧な感謝を伝えた後、パーティーメンバーのところに行き、開催を待っていた。

「ルミ、良かったじゃない。ね、言ったでしょ。貴方の味方は私達だけじゃない、って。」

「・・・・・・ああ、そうだね。ありがとう、マドロラ。」

「マロでいいわよ。ったく、気を落とすとすぐフルネームで呼ぶようになるんだから。」

「ふふ、しょうがないわよ。私だってもちろん落ち込んでないわけじゃないわ。もちろんルミほどではないけど。」

「ああ。俺もだ。まさか魔王と戦う寸前に目の前で手柄を取られて悔やまない勇者はいない。」

「アルデロ、ゾーエ。そのくらいにしておいて!。ますます暗い雰囲気になっちゃうでしょ。

今からさらにまさにその原因が挨拶するのに。」

俺はまだ気分を落としながらステージの方を見た。

ちょうど司会がマイクを握って魔法で作られた光のステージに立った。

「さあ皆さん!こちらをご覧ください!今回の主役の1人!

まさに奇跡のヒーローのようにこの地に舞い降りた!真の勇者!レイ様です!!」

と司会が手を向けた先から、やつはゆっくりと出てきた

「勇者様!我らのヒーロー」「勇者様!かっこいい!」

などと村人が騒ぎ出す。

「何が真の勇者よ。私たちが本当の勇者パーティーよ!」

「マロ、落ち着いてください。騒いでもどうにもしようがないでしょう。」

「落ち着け、マロドラ。」

「だから!マロでいいって言ってるでしょ!」

と会話していたその瞬間、歓声がぴたりと止み、俺は急に意識もせずステージを向いた。

(・・・)

何か違和感を感じる。何か、威圧感なのか、これまでに感じたことのないような覇気を感じた。

全体が静まりステージを向いたとき、奴は話し出した。

「皆の者!我を見よ!

我こそが英雄であり真の勇者!レイ・デュ・カライトである!

我はこれまで手柄を横取りされてきた!」

会場がざわつき、口々に村人から「どういうことだ?」「まさかルミエール様が?」

(横取りされた?一体何だ?)

「それはそこにいてあたかも勇者のように気取り、これまで私から手柄を横取りしていった

ルミエール、貴様だ!貴様は勇者などではない!魔王と結託して国を滅ぼそうとしていた者が勇者であっていいあるはずがない!」

(・・・は?)

困惑である。誰がどう見てもこの世に現れたのはつい数日前だ。しかも奴はこの世界のことを何も知らなかったはずだ。

「そして魔王とルミエールの企みを阻止すべく、我は姿を現し、魔王を討伐したのだ!」

「そうだったのか!」「レイ様!」

「ルミエールを殺せ!」「ルミエールは勇者なんかじゃない!」

(まて、何かがおかしい。なぜこれほど簡単に村人はこの話を信じている?

俺が少なくともそんなことをしたことは一度もない。そうだ、パーティーメンバーなら)

そう思った時、喉元に斧を突き出された。

「ルミ、今までお前を信用していた。だが、騙されていたんだな…」

「まて、誤解だ!アルデロ!」

「誤解なんかじゃないわ。何せ勇者様が言っていることよ。貴方、なんて酷いことを。」

「まて、俺はそんなことやっていない!。」

その時、衛兵が4人ほどこちらにやってきた。

「ルミエール殿、貴方を国家に対する反逆で捕縛する。こちらにこい!」

そういうと、衛兵は俺の荷物を取り、俺を連れ出した。

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