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「君がくれた終末世界」  作者: ARS_sei
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第一章 君がくれた終末世界

第一章 君がくれた終末世界


【記憶】

過去に経験した事を忘れずに覚えていること。



「...あぁ...ここ...は」

痛みがひどい体を感じながら閉じ切っていた目を開ける。

目を開けると、黄金色の空が少しずつ青白い色に飲まれていく。

ゆっくりと体を起こしていく

辺りを見ると、一面...荒れ果てた土に整備されていない道路...そして荒廃した都市が瞳を通して伝わってくる。

「...なんだ...これ...」

小さくつぶやいた言葉は、虚空へと...

「まってくれ...まってくれよ...なんでこんなことになってるんだよ...!!」

心情を叫んだって、返ってくる言葉も声もない。

「とりあえず、状況を整理しよう...焦ったって...仕方ない...」

思考を巡らせるために、言い聞かせるように言葉を発する...

「俺は...16歳...高校生...のはず」

一つ一つ、ゆっくりと自分の持っている情報を出していく...

「確か今日は...2030年...10月...の中旬...通学のために電車を乗って...」

途切れている記憶を少しづつ取り戻し、紡いでいく。

「...そこから...そこから...思い出せない」

頭を押さえ、少しづつ紡いでいったとしても、記憶を思い出すことはない...

傷ついた体を少しづつ癒すようにゆっくりと歩き始める。

「...にしても、体が変に疲れている...けど、ここに居たって...何かできるわけじゃない」

ふらつく脚は、一番近くの建物に向かって...


前に進む足は、遅くはあるが...止まることを知らない...

そうしていく内に、一つの物に視線を定める。

「...車?」

損傷があまりない車が目の前に止まっている。

少しづつ歩いていき、車の扉に手をかける...

「...っ」

(さすがに開きはしないか...電力も生きてはいないだろうな...)

そうして車を確認すると、タイヤは3つ破損、窓は奇跡ながら割れていない

「...さすがだな...ガソリン車から電気自動車に変わり、そこから自動運転システムが導入されたとはいえ...」

そう言いながら、辺りを確認する...

周囲には誰もいなく、何もない...

「...!」

ふと、足元に手ごろなサイズの石があることに気づき手を取る...

「...こんな状況なんだ、空腹に脱水気味...それに全身疲労状態と言っても過言じゃない...」

そうして、残った力を手に込めて...

「...悪い...!」

パリンッ...と音を立て、車の窓が割れる

「後の事を考えていなかった...扉側のどこに...」

そういいながら扉のポケット付近を触り...扉のロックを開錠する。

「...開かない...扉が変形してるのか?」

ドアに手をかけても、レバーが動くだけだ。

力と体重を込め、全力で扉を引く...

「...お願いだ...開きやがれ...!!!うわっ...ちょ...」

急に勢い良く開いた扉によろめき、体勢を崩す...

だが、扉は開き、内部が探索できるようになった。


壊したのは運転席側、座席はガラスまみれになっていて、探索は難しそう。

助手席側にはガラスはさほど飛んでいない。

立ち上がって、車内に入る...

運転席側から足を入れ...

「...ッ」

強引にガラスを割ったせいで膝にガラスが刺さる。

強引に内部に入りグローブボックスを開ける。

案外あっさり開いて、中には...

「錠剤入り瓶に...たくさんの封筒...」

沢山入っている封筒の中に腕を伸ばす...

「まだ...何かある...か...?」

体の疲れを大いに感じている中、手の感覚を頼りに内部を漁る...

「...!何か当たった...これ...か!」

そういって、封筒の中から手を引き...ガーゼを取り出す...

もしかすると、ここの車の主は病人か負傷者だったのだろうか...

「...ここで、休めるかもしれないけど...ここじゃ危険すぎる」

「もう一度、どこか建物...願わくば食料、水分が取れるところに...」

車から出て、新たな所持品と共に進んでいく。



どれくらい歩いたのだろうか...左足を若干引きづりながらも、休息できる場所を探す...

意識の灯が付きかけている中、3階建てアパートを目にする...

「...」

(アパートなら食料が多く収集できるか?...近くに建物は...無いな...選択の猶予はない、体もあれから不調続きだ...)

足取りが重い中、アパートまで向かう。

アパートは整備されていなかったのか、それとも古い物件なのか、多くの個所が壊れていて、半壊と言っても過言ではない。

ゆっくりと周囲を回ると、壁が壊れて低くなっている箇所がある...

(今の体力だと、これを登れはしない...崩れてるとはいえ...1m前後...くらいか?)

考えつつも、それ以外に入れそうな場所は無い。

(...ん?あんなところに...ゴミ袋...か、中身は入ってそうだな)

壁の近くにいくつものゴミ袋があり、それに近づく。

(...ある程度強度もある...これなら足場になるかもしれない)

そう考え着くころには行動しており、片手でゴミ袋を持ち、何周かする頃には、ゴミ袋の山が移動していた。

「よっ...と...」

ごみ袋に足を乗せ、上手く壁を登ることに成功する。

内部はそれほど瓦礫は無く、安全性を考慮しないのであればここでも休息はできなくはないスペースはある。

(壊れたテレビ、折れていたベット...それに...別室の扉...は外れてるけど行けそうだな...)

ベットの方に近づき、力を籠め、ベットを移動させる

(...!...缶詰...なんでこんなところに...いや、もともと不思議なことが沢山あったんだ、今更気にしていたら体力が持たない)

そんなことを言いながら、まだ手が空いている左手に缶詰を持つ。

そんなことを考えていると...

「...!」

別室の方から、"ガシャン"と、何かが割れるような音が聞こえてくる。

(先客がいたのか?...敵対するのか...まずは人間なのかも...)

そう思いながら、慎重に歩いていき、別室の扉近くまで歩く...

ゆっくりと顔を出し、覗き見る...

(...女性?)

浴室のような部屋に、女性が座り込んでいる。

もちろん、廃墟以下のこの建物では、浴室の機能が失われている。

(身長は...座っているからわからない、髪は...黒髪に毛先に行くにつれ紺色に...)

周囲も見ながら、特に女性の方を注視していると、ある物を発見する

(あれは...形からして...槍!?)

とがっている金属の部品と細長い鉄パイプを組み合わせた、約1mの槍を見つける

(あの人に武器がある分、敵対したら俺に勝ち目はないだろう...それに俺は負傷しているんだし...)

そう思いつつ、後ろへゆっくりとその場を後に...


カラッ


したかっただろう...

運悪く瓦礫を靴では弾き、小さくはない音を出してしまう

『...誰!』

そう短く威圧的な声が聞こえると共に足音が近づいてくる

(まずい、完全に警戒させてしまった...)

「...ただの通りすがり!...ここには誰もいないと思い、休息を取ろうと思い、ここに来ました」

そう言っている最中に女性は出てきており、視線はこちらに向いている。

白いフード付きコートを着て、桃色の瞳をしている。

『一度しか言いません、あなたがこれをやったんですよね』

「...いや、知りません...俺だってこんな状況になったのかは...少なくとも陽が落ちる前までに初めて確認しました」

ゆっくりと、互いに目線を外さずに言う...

『...信用なりません...ここまで人に出会わなかったんですよ...私達以外人が_』

突如として意識が朦朧とし始め、まともに音も聞こえなくなる。

体はふらつき、膝は地に着く...

そして...視界が闇に染まっていく...



先が見えない闇、終わらない時間。

何時からそこに居たのだろうか、または存在していたのだろうか。

ここはどこなのか、ここは何を意味しているのか...それを思考しようとも答えは得られない。

何も感じず、何も見えず、何も聞こえず...

伝達されるはずの情報が、脳に届かない...そんな感覚が...



「うぅ...」

か細い声をあげながら、目を覚ます...

どうやら、疲労から気を失っていたのか、気を失う前に確認した浴室で寝かされていたようだ。

もちろん、床で。

立ち上がろうとすると、地面に一部亀裂の入った鏡が手元に落ちていることに気づく。

(そういえば、今の今まで服装やら容姿やら何にも気にしていなかったな)

そう思い、鏡を確認する...

「これは...なんだ?」

鏡に映っているのは誰かの顔ではない。

今いる浴室の部屋でもない...

(これは俺の顔でも、体でもない)

それは、どこかに置いている学生証を映している...

良く注視しようとすると、鏡らしきものはさらに亀裂が入り、何も写さなくなる。

正確には、ぼろぼろになって黒ずんだ制服を着ている人物と現在の場所を写している。

『...あぁ、気がついたんですね』

そう思っている中、女性が入ってくる。

槍を持っていない辺り、警戒されていないようだ。

『それにしても、どうしたんですか?片足には大量のガラスといい、手にはガーゼと薬って...とりあえずは、あなたのガーゼで足は治療しておきました』

ぼろぼろになったズボンからは、確かにガーゼが見える。

「ありがとう...ところで、警戒していた俺をなぜ助けてくれたんだ?」

そういいながら、ゆっくりと立ち上がる。

『...ただの気まぐれ、もしくは、私がそうしたかったからでしょう』

『それで、あなた...お名前は?』

「名前...」

真剣に、思い出す。

ここに来てからの短い旅路。

少ないながらも、必死に得た記憶の断片を紡ぎ合わせていく。

そうして、答えを出す。

「俺の名前は、世話(ヨバナシ) 菖蒲(アヤメ)


確信をもって、学生証の名前を口にする。

読んでいただき、ありがとうございます!作者のARS_seiもとい、sei(セイ)と申します。

今回が小説を書き、初投稿することになりました!

昔から自分が作ったキャラクターがどのような感情でどのような行動を行うのか...というのを想像していたのですが、思い切って文にして、誰かに読んでいただけたら嬉しいなと思いました!

大幅な道のりと設定は決まっているのですが、まだあやふやな部分がありますので、出来れば感想を残してくださると嬉しいです!

今後は、この作品「君がくれた終末世界」をメインに小説を作っていこうと思います!

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