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天界での死に方  作者: 土成 のかげ
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夢の中

よく頑張りましたね


あなたの魂はとても弱いので壊れる前に呼び寄せました


危なく魂がもう少しで消滅するところでした


間に合って良かった


「え?私消えるところだったのですか。そんなに私は軟弱者なのですか。すみません、あなたは誰ですか。」


私は皆の魂を見守る者です


今までも魂が壊れそうになる度に何度も呼び寄せたでしょう


ここに呼んだとき魂の弱さが懸念で叡智を与えるのを躊躇しましたがその判断はある意味正しかったと言えます


でもそれはまた全て正しかった訳ではないと今は思います


予見から大きく外れるのは久しぶりです


今回は時間がかかるので魂を休めるだけではなく少しだけお話ししましょう


「貴女はもしかして大いなる力ですか?」


そう呼ばれることもあります


あなたは初めて地上の魂を呼んだ時の魂の色に良く似ています


木々を愛でそして彼らにも愛される強くて美しい魂でした


「ここは一体何のためにあるのですか。シャドーって何なのですか。」


質問ばかりですね


皆に口止めしたので仕方ないですが


ここ天界は魂を浄化するための場所です


魂は地上での生を終えるとゆっくりと天に昇っていきます


その過程の中で魂の穢れは少しずつ浄化されていきます


ここに辿り着くまでに浄化された魂はそのまま天に向かって昇り続けます


そして次の生の輪廻に向けての準備を始めます


ここに来るまでに浄化が終わらない魂もあります


その魂は残った穢れを浄化するために天界で新しい生を受けます


そして天界での浄化を終えると先程と同じく天に昇って行き次の輪廻に入ります


あなたたちはそれを昇華と呼んでいますね


穢れが少なかった魂ほど早く昇華し天に昇って行きます


そして残念ながら穢れが多すぎて輪廻に入ることも天界に行くことも出来ない魂もあります


それがシャドーです


シャドーそのものは何も悪いことはありません


しかしシャドーら他の魂の穢れに取り憑きその穢れを引き出し膨らみます


あなたには膨らんだシャドーが見えるでしょう


浄化の過程を一度通った魂に残っている穢れは僅かですから通常であれば問題にはなりません


それぞれの魂の穢れが少ないのでシャドーが大して膨らまないからです


取り憑かれた魂は少し浄化が遅れますがそれも大した時間ではありません


しかし今回の様にシャドーが人為的に増えそれぞれが膨らむと穢れが穢れを呼び広く広がっていきます


それが連鎖的に繋がっていくと今回の様に対応が必要になります


多くの魂の昇華が遅くなったりシャドーの膨張でそのまま魂が消滅すると全体の予定に影響するからです


ボムと呼んでいるものも本質的に同じです


「天界は昔からあるのですか。」


地上の誕生と同じくらい古から存在します


昔は既存の木々や虫 海の生き物しか天界にはいませんでした


元来穢れのない純粋な魂はそのまま輪廻に向かうので天界には来ないのです


ところが人が生まれてここも変わりました


天界での魂の浄化が必要な魂がやって来たのです


当初天界には世話をする魂が居ませんでした


仕方ないので地上から強く輝く魂を二つ呼び出しました


二人は樹々とよく話し一緒に今の天界の基礎を創り上げました


そのうちに天界に呼ばれる人の魂が増え今の様に多くの魂が集う大きな天界が出来上がりました


一方で最近は強い魂が減ってしまって浄化過程で耐えられず消滅してしまったり


魂が弱いが故に穢れ天界に来る魂が増えました


長い時間さまざまな魂を見ていますがとても悲しいことです


その結果地上で生を終えた魂の数の半分くらいしか輪廻に向かえなくなりました


心苦しいですが出来るのは天界の魂を守ることだけです


「もしかして地上で人口が減っているのはそう言う事なのですか?」


そうですね

ここ数百年の魂の流れが大きく滞っていますので地上ではそうなるでしょうね


もっとお話ししたいですが今はここまでにしましょう


とても残念ですがあなたに誓いを立てた魂が天界であなたの帰りを強く願っています


もう少しいて欲しいですが天界に返してあげます


魂は自分一人で強くなることは出来ません


共にいる魂によって強く輝いていくものです


また話す機会もあるでしょう


これからどの様にしていくのか楽しみにしています


「ちょっと待って下さい。聞きたい事はまだまだ沢山あるのに。お願い待って!」


いつだって私の意向は関係ないのが天界の理だ。もうお仕舞いと言われたらこれ以上は無い。分かっていてもまだ聞きたいことがある。成り立ちが分かったとしてこれからどうしたらいいの。教えて!




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