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天界での死に方  作者: 土成 のかげ
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天界での初日

「眩しい…」

朝日で目が覚めた。寝ていたのは大きな窓のある6畳くらいの部屋だった。ゆっくりと起き上がってベットに腰掛ける。物音がしないのでまだグネルは寝ているのだろう。掌でベットを軽く押して立ち上がろうして一瞬躊躇する。起きたら今までの自分ではなくなる気がして、手の力を抜き座り直す。そして深呼吸をしてからもう一度手に力を入れて立ち上がり部屋のドアを開けると靴が置いてあって、その靴を履いて昨夜ご飯を食べた部屋を見渡した。ご飯を食べた机とは別の机がもう一つあって、昨日出ていた器具は片付けられていた。何を実験しているのだろうか、昨日はいっぱいいっぱいで気がつかなったけれど器具がなくても不思議な臭いが周りに残っていた。それ以外は家具もない殺風景な部屋に、全く合わないカラフルな花の鉢植えが窓際においてあるのが目に入った。1株から色々な色の花が付いている珍しい花は、この部屋には全然似合わない。グネル自身が買ったと言うよりは誰かに貰ったと考える方がしっくりくる。花に近づいてよく見ると小さなダリアのような花が咲いているのは赤色だけで次にオレンジ色の花の蕾が咲こうとスタンバイしている。そして他の色の花も花の色が分かるくらい色づいた蕾が付いている。

「とても不思議な花。他の花も見てみたいな。」

そうつぶやいて葉っぱに触れる。


()()()()|間 ()()()() ()|く ()()()()()


何処からか声がした。誰?誰なの?

()()()()() ()()() ()()()()() ()()


「誰?誰なの?」

「お、起きたのかい?驚かせてすまないね。」

グネルとは違う声が後ろから声がしてびっくりして飛び上がる。

「私は、(ソイ)・ギトラレール、博士と呼ばれている。」

「はじめまして。三井(みい) 咲です。あの、ここは…えっと、昨日からいらっしゃったのですか。」

「ここは私の家だよ。グネルは色々と私を手伝ってくれている。昨日は大丈夫だったかい?大変だったろう。」

「ありがとうございます。そうですね、正直今でも何が起こったのかよく分からないです。」

そう答えると博士が一瞬顔を顰めた様に見えたが、私を憐れむような笑顔で椅子に座るよう私を促した。

「朝飯は、もう食べたかい?」

「まだです。ありがとうございます。」

博士が冷蔵庫を開けて何かを作り始める。物を作るのに慣れた手つきを見てああ、きっと実験器具は彼のものなのだろうと察した。

博士に洗面所を教えてもらって顔を洗う。初めて鏡に映った今の自分の顔を見て驚く。あれ?元の顔に近いけどパーツが整って美人になってない?黒い近い深い碧の瞳に髪は深い紺色。よく見ると体型も出るとこ出て、スタイル良くなっている。鏡に映った自分に見惚れているとご飯はすぐに用意されてグネルも起きてくる。

「おはよう御座います。あ、もうすでにお会いしているのですね。よかったです。」


3人で黙々とご飯を食べる。何を話そう、チラチラと二人を見るも沈黙が気にならない様なのでそのままご飯を終える。暗いなー暗い、この2人。ご飯も食べ終わり気まずさはピークに達するけど二人は平然としている。

「あの、この後私はどうしたら良いのでしょうか。」

「大いなるチカラから知恵を授かったのではないのでしょうか。」

「大いなるチカラが誰なのかわかりませんが、昨日から今日今までお二人にしかお会いしていませんし、昨日教えて頂いたこと以上の事はまだ分かりません。」

博士とグネルは顔を見合わせて何かを分かり合っているようだが、私にはさっぱり分からない。そして博士が私の顔をまじまじと見つめて溜息をつく。何かすごく残念そうに見えるのは気のせいだろうか。

「君は、よく見ると(スー)なのだね。では、アンセを呼んで家に案内させよう。もう少し待っていなさい。」

「なぜ私が(スー)族だと分かったのですか。博士は何族ですか。」

(スー)族の瞳は透き通るような碧色なのだよ。だから目を見ればわかる。私は、(ソイ)だと先ほど名乗ったつもりだったが。」

ああ、苗字の様に聞こえた名前が自分の族性なのか。では私はこれから(スー)・咲と名乗ることになるのだろうか。思案している間にグネルがアンセという人に連絡を取ってくれたようで、しばらくするとドアをノックする音が聞こえた。

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