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合宿生活

「とりあえず、ゆっくりしよう。リラクフラグラン持ってくるからちょっと待ってろ。」

アンセの服を引っ張って引き止めると掴まれと腕を差し出される。そのまま腕に捕まって一緒にアンセの家に向かう。アンセがお茶を入れる手伝いをして一緒に頂く。


「明日仕事休むか。」

少し考えてか、首を振る。


「誰も責めてない。寧ろ心配しているよ。歩けるならフィールド行く方が気晴らしになるかもな。」

確かにそうかも知れない。明日は原水だけど、木々に囲まれる方が心が落ち着く気がする。


「俺からもお願いしてやる。心配だからついて行くよ。」

ん?入れないよ多分。


「分かっているさ、入れないくらい。でも万が一にもって事はある。樹々も俺が嫌いでも咲のことは心配だから入れてくれるかも知れない。」

どうかな、来てもらえたらすごく嬉しいけど。


「で、今日はどうする?1人で夜居られるのか?」

正直分からない。夜中思い出した時に1人だったら?頷く事も首を振るのも躊躇われる。


「分かった。じゃあ俺が不安だから泊まるわ。でも流石にこの前腰痛かったから敷布団家から運ぶわ。あとさ、咲の家の冷蔵庫空っぽで何も作れないからその辺のまとめて運ぶの手伝えよ。」

ん?まあ、腰は痛くなるよね、でも冷蔵庫の中身まで要るかな。美味しいご飯食べられるから文句は無いけど。2人で色々移動させているとレイが帰ってくるのが見えて思わず手を振る。


「え、何してんの?遂に同居する事にしたの?」

違う、あ、声出ないんだった。


「ん、咲どうしたの?」

声が出なくてと言ってはみるものの、レイからしたらただ口をパクパクしているだけにしか見えないのだろう。困ってアンセの方を振り返る。


「お、レイ、今帰りか。お疲れさん。」

「何してんの?咲は大丈夫なの?」

「ちょっと声が出なくなって、まあ、大丈夫、そのうち治るから。ほら咲運べよ。」

私は手を振ってレイと別れる。一緒についてくるのかと思ったらアンセはレイと話をしている。私はその間もせっせと荷物を運び出す。しばらくしてアンセが戻ってくると、もう!と怒る。


「怒られる時は声がない方が良いな。」

とアンセはカラカラと笑って言う。声が出ないことは大したことではないと思えてくる。

しばらくするとドアをノックする音がしてドアのガラス横から覗くと真っ白だ。


「重いから早く開けてよ!」

レイの声がするので慌てて開けると布団を持ったレイが居た。


「もう、これから暫くアンセが泊まり込むって言うから心配で私も来ちゃった。」

え?しばらく泊まり込む予定だったの?アンセを振り返ると涼しい顔をしている。多い方がいいでしょう、とレイは泊まる気満々だ。おかしな3人の合宿生活が始まった。私とレイが床で、アンセが私のベッドで寝る事になる。もう色んな事がありすぎて合宿当日は安眠だった。2人に感謝だ。


翌日は3人で出社して、今度は別の意味で職場に動揺をもたらした。まあ気にしてなんて居られないのでさっさと川に向かう。結局アンセは入れてもらえなくてカレルと2人で仕事をして帰ってくる。懲りずに何度かトライしたもののやっぱり入れなくて不貞腐れてカレルさんに八つ当たりして困らせたり、レイは夜ギリギリに帰ってきて鍵がかかってて入れなくて大騒ぎしたり何かしら毎日起きる。休前日は3人で飲んだくれる。

週末はアンセが前に約束した棚を作ってくれると、レイも自分の家に鍵が欲しいと付けてもらったり、昼間暑いので私がミストを庭で作ってみんなでバーベキューしたり何だか学生寮みたいだった。


しばらくそんな賑やかな生活をしていると段々と記憶のない事が気にならなくなって仕事も前のように回せるようになっていく。

週末のシャドー退治も休業して穏やかな生活を過ごしているともう大丈夫、そう思えたので合宿を終わりにしようと2人に持ちかける。3人の生活も楽しいけどそれぞれの時間は大切だ。


「声戻ると良いね。」

レイがポツリと言う。そう思うけど自分でもどうしたら良いのか分からない。心配してくれて一緒に居てくれて心強かった。ありがとう。みんなで美味しいご飯とお酒を飲んで合宿を終える。


合宿が終わった翌朝何となく北に行こうと思い立つ。原水を登ってお水を飲んでいるとささっと小道が作られる。しばらく道沿いに行くと大きな木に辿り着く。そのまま木に近づいて行くと大きな穴が空いていて覗き込むとそのまま吸い込まれるように真っ暗な穴に落ちて行く。もう自力で登れるような高さと深さではない。一体どこまで落ちるのだろうか。心臓がバクバクする。1人で来るんじゃ無かった。かなり深くまで落ちると今度は明かりが見えてくる。いつの間にか登っていたのかな。その明るい出口に着くとドシンと尻餅をついて広い空間に出た。


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