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天界での死に方  作者: 土成 のかげ
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お店開店!

「ただいま!シア、調子どう?色々ありがとうね。」


おかえりなさい シア 元気


よかった、すっと返事出来るくらいには回復しているようだ。シアに今日聞いた話や明日からお店を出してみる事を報告する。新しい学びが沢山で少し早口で興奮気味に話している間、シアの茎をしっかり手で包んで回復を祈る。シアは話を聞いてくれて、出店を応援してくれる。


沢山話して落ち着いたので、新しいお店のシュミレーションをする。この前は適当な量を使ってジュースを作っていたので今回は濃度をしっかり決める。

さっきの話を踏まえて効能を考えるとクノーのジャムはかなり少なくて良いはずだ。入れ過ぎると慣れない人は頭と胸いっぱいになって、初めて食べた私のように他の物が食べられなくなるだろう。

クノーを小さな匙の先に少しとお砂糖、シトラールのスライスを入れてコップ一杯の水で割る。それでもしっかりクノーを感じるしスッキリ感も見た目も良い感じに仕上がった。

エネールは多分もう少し若いはずだからティースプーン一杯は入れる。これは少し足りなかったので大盛り一杯に変更する。

ワンオペなので出来るだけ客待ちの時間にやれる事はやっておきたい。ピッチャーいっぱいにジュースをストックしておく。お客さんが来たら、持参してくれたコップにジュースを入れる。そんな感じでどうだろうか。ま、ダメなら改善すれば良い。お店なんてやったこともないのだ。

シュミレーションの区切りがちょうど着いたところでアンセがやってきた。


「よう、体調はどうだ。1日家でゆっくり出来たか。」

「今日はスクエアでこの前の八百屋さんに野菜のこと教えてもらってとても勉強になったよ。」

「家にいたんじゃないのか…もうじゃあ体調は大丈夫そうだな。」

「ありがとう、もう大丈夫だよ。」

「飯行くか。」

「ありがとう、でも今日は自分で作ってみるから。」

「そっか、腹壊すなよ。」

アンセが家を出ていく。カレンが見ていませんように。そっと向かいの家を見るがカレンが見ているかどうかは分からなかった。


翌日トッキーが起こしてくれたのは橙の時間だった。そういえばトッキーは寝室にいるからあまり話していない事に気づいた。でも朝起こしてくれるトッキーは寝室にいて欲しい。そこで着替えたら一緒に居間に持って行くことにした。


さあ、今日は頑張るぞ!声をあげて自分を鼓舞する。初日だし早目に行って準備したいので昼前には家を出る。幸い昨日教えてもらった区画が空いていたので粛々と作業を始める。ピッチャーが一つしかない事に気が付いて慌ててもう一つ買う。クノーとエネールと一つずつあった方が味が混ざらないし効率良いよね。

店の前方には大きいテーブルを置いてサンプルのジュースを並べる。商品の名前が分かる札が欲しいな。これは明日の改善点,と。奥にはローテーブルを置いて2つのピッチャーとシトラールのスライスを果実一つ分用意する。なんとか始められそうになったので布を上げていざ開店!


うん、張り切ったは良いけどいきなり売れると思ってはダメだよね。時間が早過ぎたのか、何屋か分からないからかしばらく暇だった。これもしや失敗?不安になった頃お客さんが来てくれた。

1人目のお客さんはドビーだった。


「お、いよいよ始めたのか。一杯くれよ。」

トビーに影はないのでエネールを提供する。

「自分で味は選べないの?おれ、こっちのシトラールの方が美味しそうだったからそっちが良いんだけど。」

「すみません、味は私が決めます。トビーさんには軽やかになる回復ジュースをお勧めします。ちょっと変わった食感なので是非。」

「ジュースに食感はないだろ。」

そう言って一口飲むとトビーはパチパチするのにびっくりしたのだろう、大きな体がビクッとなった。微笑ましい姿にちょっと笑う。


「これは面白いな。材料は何なんだ?いやーこれは初めてだよ、確かに食感があるな。知り合いにも紹介しておくよ。」

お客様第一号の反応は上々だ。よかった。

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