表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天界での死に方  作者: 土成 のかげ
28/166

研究

「咲、咲!大丈夫か?」


アンセの声で目覚める。アンセに起こされるのは何度目かな、のんびり考える。


「咲、咲!目を覚ませ。」


あ、まだ寝てたのか。ゆっくりと目を開ける。聞こえてるよ、と言ったつもりだけど声にならない。


良かった、アンセはベッドに突っ伏した。心配をかけたみたいだ。どうして寝てるんだっけ?記憶が繋がらない。あ、人にぶつかった衝撃が強くて倒れたのか。ゆっくり起き上がってアンセにお礼を言う。ここまで運んでくれたに違いない。心配もかけてしまった。


「大丈夫だよ。」


「何があった?お前は人にぶつかってそのまま倒れたんだ。いくらなんでもそんなにか弱くないだろ。何があった?」


ちょっと失礼な気もするが間違っていない。確かにそんなにすごいぶつかり方をしていないはずだ。よく分からない、正直に答える。ただすごい衝撃を感じたのだ全身に。


「…多分疲れてたんだろ、まだ来て数日だもんな。ゆっくりしてろ。連れ回して悪かったな。」


違う。アンセは悪くないし、倒れたのは疲れでもない。前と同じ、おそらくあの影のせいだ。でも確信はない。黙っているとアンセはもう一度謝ってゆっくり寝るように言って帰って行った。


「トッキー、影の人なにかあるの?」


クノー 知ってる 大丈夫


じゃあ明日はクノーの所に行こうかな。このまま分からないままで生活するのは不安だ。衝撃のせいで疲れたし今日はもう寝たい。



衝撃と疲れと全部取るには必要な睡眠だったのかもしれない、起きたらもう黄の時間の終わりだった。トッキーに挨拶をしてから着替える。よく寝てスッキリした。やっぱり疲れていた様だ。


居間でクノーとエネールの実を食べて今日何をするか考える。クノーに聞きに行きたいけれど、冷静に考えて体調は良くないのでお店のアイディアを考える事にした。


そうと決まれば、早速料理開始だ。クノーの実やエネールの実をどうやってジュースにしよう。家からお店まで運ぶ事も考えないといけない。


まずはそのまま実を絞ってみる方向で考える。果汁は水なんだから水分をどうにか出来ないかと、水分出ろーと強く思ってみる。何も起きない。能力外の作業なのか、呪文みたいなのが足りないのか。そういえば能力の使い方を聞き忘れていた。今まではとりあえず強く願ったら出来たけどそれで良いのかな。

能力に頼らず絞るなら布が要るし、砕くならミキサーが要るがどちらも今ない。どうしよう。


もう一度よく考える。量を減らした方が持ち運びには便利だよね。煮てみる?で、水で希釈してジュースとして出すのはありかも。ゆず茶のイメージでいけるんじゃないかな。


まずはクノーを少し煮てみる。すぐにとろとろになる。このままで十分美味しい。出来上がったジャムを水で割ってよく混ぜる。美味しいけどちょっと甘さが足りない。砂糖を少しずつ入れてみる。ちょうど良いと甘ったるいの調整の見極めが難しい。どうするかな。悩んでいるのが声に出ていた様で


フレスリア 葉っぱ クノー 最高

シトラール 木の実 咲 クノー 大丈夫


ブリースがアドバイスをくれる。接続詞がないから少しわかりにくいけど、フレスリアはクノーとよく合うけど葉っぱで、シトラールは木の実で私も気にせず使えてクノーにも合うから大丈夫ってことかな。


「ありがとう。明日買ってきてシトラールをジュースに入れてみるよ。確かにスッキリするシトラールはこれに合いそうな気がする。」


お礼を言って気が付いた。そういえばまだブリースには名前がなかった。ブリちゃんはなんか違うし、幸せの木でしょう、シアとか?由来はともかく響きがカッコいいかも。そうしよう。


「ねえ、これからシアって呼んでも良い?」


名前 嬉しい 初めて


良かった、名前を受け入れてくれたようだ。喜んでくれているシアをよくみると、葉っぱが傷ついている。もしかしたらここに来る時に付いた傷だろう。気がつかなくてごめん。そっと傷ついた葉っぱを撫でる。少しでも良くなるように思いながら何度か触ると、あれ?傷が癒えている。


咲 ありがとう 痛くない


びっくりした。やっぱり治ったんだ。喜んでもらえて良かった。これは水の能力?樹の能力?それともシア自身の力?ステキな力に感謝する。


研究に意識を戻す。

シトラールはあとで買うとしてエネールの方を同じように煮詰めてジャムにしてみる。煮詰めてもあのパチパチ感は残っていてなかなか面白い。水に溶かしてみても、もともと甘い果実だったのでそのままでも十分美味しい。オレンジのような爽やかさとパチパチ感が新鮮でそのまま食べるより私は好きだ。エネールはこれで行こう。

ただどっちも見た目が地味なのでどうにかしたい。葉っぱを乗せたら色的にオシャレにはなるだろうけどフレッシュな葉は抵抗がある。どうしようかな。


コップ 可愛い みんな可愛い


また心の声が漏れていた様だ。そっか、これに合うコップに入れたら確かに色合いも綺麗かもね。シアにお礼を言う。シアはアイデアマンだね。


そうなると再び出かけたくなるが、今日はもうすぐ青になる。一旦研究はおしまい。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ