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天界での死に方  作者: 土成 のかげ
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樹の館 後編

「と言うことは、貴女も秘匿の力があるのですね。」

「あるかもしれないし、ないかもしれないのです。秘匿の力は全員が持っている訳ではないのですよ。」

ついでに秘匿の力について聞かなければ個人の能力について聞くことは特に失礼ではない事も聞いて安心する。

「秘匿の力にはどんな物があるのですか。この質問もタブーですか。」

「そうですね、秘匿の力は基本的に悪用すると甚大な被害をもたらす力と考えてください。有名なものだと無から何かを生み出す事のできる力です。他にもありますが開示は出来ません。見えにくい力は親ですら知らない事もあります。


そういえば今生活はどうしていますか。仕事はありますか。」


秘匿の力、面白そうだけど知るのもちょっと怖い。どれだけの人が持っているのか分からないけれど結婚相手だけその秘密を共有してるっていうのはステキだね。私のこの声が聞こえる力もそれに分類されるのだろうか。この力を悪用する方法は無さそうだから該当しない気もするけど、樹と紛らわしいから秘匿ってことはあるかもしれない。あとでクノーに聞いてみよう。


そして待ってました!生活どうしてますかの質問。ここで頑張って軍資金を手に入れなくては!


「今はアンセにお世話になっています。毎食ご飯を食べさせてもらったり習慣の基礎を教えてもらったりおんぶに抱っこです。出かけるにも鞄もなくてこの鞄も買って貰いました。」

「まぁ、アンセが鞄ねぇ… それでは私からはここで仕事を見つけるまでの間のお金を差し上げます。その代わり10日に一度近況報告をお願いしたいのだけれど良いかしら。」 

交渉することも無くあっさりお金もらえてしまった。大丈夫かなここのお金の管理。もう少し条件とか付けなくてもいいと思うのだけど。

「もちろんです。とてもありがたいです。すみません、お金を頂く上にさらにお聞きしたいのですが仕事はどこに行ったら見つけられるのでしょうか、ハローワーク…えっと仕事斡旋所みたいな所ありますか。」

どうやらここは役所を兼ねているらしく2階の掲示板に仕事の募集があるらしい。残念ながら今は水の仕事はないようだが、定期的に確認すると良いとアドバイスを受ける。それまではアンセの言った様に何かしら出店を出して食い繋ぐ様に言われる。

「ここの住人は優しいので新しいお店に一度は足を運んでくれますよ。良いものを出せば続けられますよ。」

よく考えて出店しよう。何が必要とされているのかクノーの意向も鑑みてあの実を上手く使った物を売り出したい。スーパーをもう一度見て帰ろう。ぐるぐると頭の中で作戦を立てていると、心も漫ろな様なので今日はお開きにしましょう、と樹に言われて軍資金千リロもらって館を後にする。


目的達成!お金ももらい住民登録もして晴れて天界人としてのスタートをきる。まずは軽いものから買い物を始めようと服屋へ向かう。行く途中で他の人の服装も確認する。改めてみんなの服装を見るとあまり地上と変わらないが、季節なのかおしゃれなのか指だけ出ている長袖服、片方だけ大きい靴、指キャップした人などちょっと面白い格好をした老若男女がいた。

専門街と言っていた南の建物から服屋を見つける。重たい扉を開くとそこには沢山の衣装が並んでいる棚と反物が並んでいる棚が半々くらいあった。オーダーメイドも出来ると言うことだろう。まずは既製品でキレイめの上を探す。髪も瞳の色も紺色なので濃いワインレッドや藍色が似合うかもしれない。色を基準に探していると少し深めのVネックで背中がレースで装飾されたノースリーブと下に合わせて着るゆったりとしたフレアになってる半袖のアンサンブルを見つけた。これならドレッシー過ぎずカジュアル過ぎず雰囲気を変えて仕事でも使えそうだ。樹も仕事中だったはずだけどスーツではなくカットソーにカーディガンを羽織ったパンツスタイルだったので大丈夫だろう。

「お客様、そちらにはこのフレアスカートはいかがですか。レースの部分が同じ柄なのでセットアップ出来ます。」

勧めてくれたのは黒のフレアスカートでレース生地が後ろの真ん中にあしらわれている。レースの下の生地だけが上と同じワインレッドの生地になっている。ノースリーブと合わせると結婚式の二次会に行けそうだ。色合いが落ち着いているので甘くなりすぎずスッキリしているがちょっとドレッシーすぎる様に思う。

「普段はこの上の細いリボンを下まで編んで頂くとレースが隠れるので普通のスカートにもなります。また途中で編むのを止めてもアクセントになりますよ。」

私の心の声を読んだかの様に店員さんがスカートのリボンを手早く編んでいく。確かにレースが隠れたら普通のスカートだ。少ない服で色々着られるのは正直助かるが仕事によって服装は変わると思う。とてもステキでテンションは上がるけど実用性を今は重視して黒いフレアパンツを買うことにする。稼げる様になったら買いにこよう。ついでにパジャマも買って店を出る。

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