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樹の館 前編

「頭痛っ!」

起きたら頭痛がした、理由がをすぐには思い出せなくてベットで休む。ああ昨日飲んだんだった。今何時?


もうすぐ黄 おはよう 咲


ん,誰?誰か居るの?


アンセと来た 今日から咲と一緒


よく見ると窓際に時計草がいる。アンセは時計草もくれたんだ。全然覚えてない。後でお礼をしないと。

「おはよう!ん?もう黄色ってことはそろそろお昼?寝過ぎちゃった…」


かなり寝たはずなのにまだ頭が働かない。もうお昼、ってかこんなに寝たの学生以来だわ。起き上がって何とか1日を始めようと気持ちを整える。そして時計草と目が合う。時計草はこれから毎日の相棒になるから名前があった方がいいよね!部屋で唯一お話しできるお友達だもの。何がいいかな。安易だけど時を刻んでくれるトキ、うん、なんかしっくりくる。


「トキ。名前トッキーってどうかな。」


トッキー 嬉しい


良かった、喜んでもらえた様で嬉しい。

起きてまずはクノーの実を一口食べる。食べると知識が増えるって言っていたものね。コツコツ食べて知識を増やそう。

それからエネールの実も切り分ける。食べると元気になるってエネールは言っていた。見た目通りの綺麗なオレンジ色の果実の中にアボカドの様な大きめのタネが真ん中に入っている。一口サイズにしたエネールを食べてびっくりする。とっても甘いオレンジの様な味がパチパチキャンディの様に口の中で弾けたからだ。これはジュースにして食べたり、ジャムにしたりしても面白いかも。皮はオレンジピールならぬ、エネールピールにしたら香りも良くて美味しそう。コンロも使える様になったし今日砂糖とかハーブとか買ってきて色々試してみよう!段々楽しみになってきた。やっぱり美味しいものの事を考えるのは楽しい。


で、肝心の朝飯はどうしようかな。うーん、困った時はアンセの家!


お邪魔しまーす、誰もいないと分かってても一応声をかけて入る。わたし泥棒じゃないよ、とアピールしておかないとね。アンセの庭の子達が待ってたよ!と背中から声をかけてくれるのを聞いて安心する。

机には私の分と思われるご飯が残っていてメモ書きが一緒にあった。朝飯をありがたくいただきながらメモを読む。


おはよう、昼飯食べていけ。今夜、青の花が満開の頃スクエアの時計台集合。ちゃんとした服装で来いよ。


昼飯って…起きる時間読まれてるよ。悔しいけど当たっている。今日夜は外食?楽しみだ。ここのちゃんとした料理を知るいい機会だ。きちんとした服がいるなら買いたいな、この先就職活動するかもしれないしその時にはある程度キレイめの服がいるしね。


ご飯を食べてお皿を片付けると今日もスクエアに向かった。まずは樹の館で住民登録してお金を手にしなくては。

風通路を降りてスーパーを抜けスクエアを左に行くと樹の館に着く。どっちの建物に行けばいいのか一瞬迷ったが、左はドアが2つあって関係者以外立ち入り禁止の様だった。右手の建物はガラスのドアが一つあって人が出入りしている様子が見えたのでそっと開けて入ってみる。どんな人が樹なのか聞いてくればよかった。せめて性別くらいは知っておくべきだったかもしれない。誰が樹か分からなかった事を今更思い出して途方に暮れる。


建物に入ってすぐに階段が左手にあってその隣は全て部屋の様だ。1番手前の部屋はガラスの壁で中が見える様になっている。誰もいないけど、どなたでも、いつでも相談に来て下さい、と書いた札がドアにかかっている。誰も居ないのでとりあえず通過する。その次の部屋はドアの真ん中に細いくもりガラスが張ってあって中はハッキリ見えない。同じ様な部屋がいくつか続いてその先にまた階段があった。そこの廊下を掃除している女性が目に入った。その人がこっちを振り向いた瞬間その人が樹だと分かった。目の色とかではない。直感的に分かったのだ。

「はじめまして。昨日天界に来た、咲です。登録に来ました。」

迷わず挨拶をすると相手も笑顔で返してくれる。


「ようこそ。待っていました。お部屋へどうぞ。」

ガラスの壁の部屋に案内された。


「咲さん、まずは地上での名前教えてくれるかしら。その名前をここでそのまま使ってもいいし、好きな名前に変えても大丈夫よ。もし名前を変更するなら、新しい名前も教えて下さいな。」

新しい名前でも良いのか。どうしようかな、ちょっと悩むけど今の名前好きだしこのまま使おうかな。

「三井 咲です。このままの名前でいきたいです。」

樹はちょっと困った顔をしてどう説明しようか言葉を選んでいる様に見えた。 


「三井って、樹と響きが似ているから変える方が誤解を招かないと思うのだけどいかがかしら。貴女は水の力がある様に見えるので水・咲が似合うと思うわ。」

「苗字と言うか、族性は正式な時にだけ名乗るものでしょう。ここで決めることなのですか。」

「察しがいいわね。その通りよ。普段族性を他人に名乗ることはありません。目を見れば分かりますからね。でも正式な族はここで登録しないといけないの。」

「正式なってことは実際の能力と何か差異があることがあるのですか。」

私の様に水と樹ちょこっとだけみたいな半端な人も居るのかな。


「たった1日で色々見ているようですね。その通りです。族が見た目と異なることや大人になって変化することもあります。変化したらその都度ここで更新してもらうことになっているのです。」

「2つ族性がある人もいるのですか。」

「そうですね、子供の頃は主な族と補佐的な族を持っていることがありますが大人になる頃には皆一つになっていますよ。」

そっかそんなことがあるのか。ある意味私はここに来たばかりの子供だから2つの族があるのかも知れない。そう思ったら気が楽になった。


「あなたは水としてどんなことが出来ますか。知っている範囲で構いません、細かく教えて下さいませ。」

私が出来るのは、自分についた水を乾かすこと、水を温めること、多分冷やすことも出来る気がすることを伝える。他には、木々と話せるけどこれは今言うべきかどうか。この人をまだ信頼出来ない以上クノーやエネールを信じて伝えないことにする。言うのはいつでもできるのだから。


「他に何か人には特殊な力はありませんか。」

そう言われてドキッとする。


「今のところありません。」

できるだけ平静を保って伝えたつもりだが、顔や声が少し強張った気もする。


「…そうですか。」

「あの聞いても良いですか。樹、とは何が出来るどんな力なのでしょうか。天界に1人しかいないと聞いたのでもし良かったら教えて下さい。」

「そうですね。一般的に樹々と話し、彼等との調和を図り実りを助ける事が出来る力、でしょうか。」

「他にありますか。」

「他、とは何ですか。」

「分かりません。一般的にと仰ったので他にもあるのかなと思いました。」

「よく聞いていますね。とても大切なことですけれど。私達は基本的な力の他に特殊な力を待つことがあります。通常はその力は秘匿とします。ここでは明かして頂きますが、勤め先や友人には決して言わない力です。あとは結婚した相手には明かすのでプロポーズに使われることもありますよ。」

「と言うことは、貴女にもその秘匿の力があると言うことなのですね。」


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