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客寄せパンダは飽きていた

作者: 黒イ卵

客寄せパンダは飽きていた。

今日も今日とて、笹を食む。


その(さま)見詰める観衆は

己を愛でて去って行く。


来るもの拒まず、媚びもせず。

ただそこに在る笹を食む。


なのに旗だと担がれる。


いつか己の命尽き

別のパンダに代わるだけ。


好きに生きよと今決めた。


そっと柵を抜け出した。

月の綺麗な夜だった。

隣の虎は眠ってた。


のしのし大地を踏みしめば

アスファルトの火照りが足を刺す。


こりゃ敵わんと涼しげな

水族館に逃げ込んだ。


チンアナゴがワラワラと

物珍しげに寄ってくる。


あちらは提灯鮟鱇が

ぼんやり光って笑ってた。


ここは水の檻の中。

故郷に戻る術も無し。


陸の檻と変わらずに

パンダははらりと涙した。


月の綺麗な夜だった。


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― 新着の感想 ―
[一言]  水族館の魚のように、檻(水槽)から出ることも叶わない不自由と。  もし、出られたらという可能性を残しつつも、そのさきがないパンダたち。  どちらが、諦めがつくものなのか?  食事と、棲家…
[良い点] しんしんと胸に沁みます。 リズムが月の光や水の揺らぎを感じさせてくれて。 みんな囚われ者。 昨今は己からパンダになりたがる人々も多い世の中ですなあ。 ありがとうございました。
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