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ワインについて

 ボージョレ・ヌーヴォーを、今年は全く飲まなかった。去年はペットボトルの比較的安いやつを、解禁日ではなく数日後に買って飲んだように思う。去年も飲まないつもりだったのだが、割と安いねと思って買ったのだったっけ。今年はもう解禁日から一か月くらい経っているけれど、スーパーの売り場には残っている。でも、高いので買えない。千円台のがあれば買ってもいいかなと思ったけれど、安いのでも三千円近くする。それくらいの値段でも、以前は買ったものだけれど。

 ボージョレ・ヌーヴォーを毎年吞むようになったのはいつごろからだったか。然かとした記憶はない。大学生やそのあとの東京時代にはそんなものは日本では売ってなかったように思う。私の目に入らなかっただけで、けっこう呑んでいる人がいたかもしれないけれど。ボージョレ自体はあったと思う。でも、解禁日に飲むようになったのはいつごろからだろうか。

 日本の方がヨーロッパやアメリカよりも早く日付が変わるので、早くに飲めるというのが始まりだったように思う。私は二十世紀の終りごろから呑んでいるはずなので、もう二十五年以上になるだろう。前に住んでいたところでは、懇意にしているコンヴィニが近くにあったので、予約をして午前零時に買いに行ったものだ。ここへ来てからも、数回同じようなことをしたけれど、駅前のコンヴィニでは予約を受けていないことすらあった。

 それならスーパーで買った方が安いので、朝になってから買ってきて、その日の夜にでも飲むようになった。それが解禁日ではなくなって数日後になり、とうとう今年は買わなかったというわけだ。飽きてきたというのもあるだろうけれど、金がないというのが大きな理由だ。余裕があれば数日後には買ったはずだ。

 二十年くらい前、アルバイトの学生を連れて居酒屋で忘年会をやったとき、ワインが飲み放題だった。飲めば美味しいかどうかは分る。と、私が言ったら、恰好いいと言われた。満更でもなかったけれど、感心される理由がよく分らなかったっけ。だって、飲めば旨いかどうかは分るに決まっている。飲まなくても分るなら確かに格好いいかもしれないけれど。その居酒屋の赤ワインは、げろ不味だった。甘ったるくてとても飲めたものではなく、吐きそうになるほど。白ワインは、多少不味くても飲めるので、白ワインばかり飲んでいたら、酔いが回って階段でこけ、帰りのタクシーから降りたときにクレジットカードを落としたことは前に書いた。

 前に住んでいたときには、自転車で行けるくらいの距離にワイン専門店で、予算と希望の味を言ったら見繕ってくれるところがあった。大体数千円のワインを買うことが多かった。そこでも、コンヴィニとは別にボージョレ・ヌーヴォーを買っていたし、有料の試飲会などにもよく行った。チーズで、白い味のあまりしないものが付け合わせで出て来ることがあったので、買いたかったが売っていなかった。欲しいと言うと少し分けてくれたけれど、あれと同じものは今でも売っているのを見たことがない。ヨーロッパから直輸入していたのだろう。しかも自宅用だけ。赤いカヴァも、あの店と同じものは売っているのが見たことがない。

 ところがあるときから、店の前を通っても開いている気配がなくなってしまった。表に置いたあった大型のバイクが店の中にしまわれているのが、ガラスドアから見えた。棚はそのままでワインも残っているようだったけれど、その後いつまでも開かなかった。一体どうしてしまったのか。潰れたとか、売ったとかなら、中がそのままということもないはずだ。それなのに開かないということは、余程のことがあったに違いないと思うのだけれど、今でも真相を知らない。

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