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どうしてまだ生きていたいと

 どうしてまだ生きていたいと思うのか。

 やりたいことはたいていやってしまった。ひとつだけやり遂げられなかったのは、作家になりたいということだ。物にならなかった最大の要因は、大学生以降酒ばかり吞むようになったからだろう。それでも学生のころは、新人賞に応募はしたし、一度は一次予選だけ通過したこともあった。

 才能がないと言ってしまえばそれまでだけれど、最も無かったのは根気だろう。

 中学生のとき最初に書いたのは、そのとき好きだった小説の物真似だった。本当に物真似だったら贋作くらいの価値はあったのだろうけれど、ただ書いてみただけという代物だった。次に書いたのは、怪獣ゴワゴンという題名で原稿用紙五枚くらいに書き殴った散文詩擬きのものだった。こちらはまあまあ意欲だけは買えるというものだったと思うし、今でも読み返してみたいがいつ捨ててしまったんだろうか。

 中学生のときは友人たちとコピー雑誌を作っていた。これは今でも取ってあるはずだけれど、押し入れから取り出すのが億劫だ。高校から大学にかけて原稿用紙に書いたものも、段ボール箱ひと箱くらいはある。それなのにたぶん一次予選に残ったものは残していない。改稿しようとして切り貼りしたのだったか。よく憶えていないけど。

 大学生の途中からワープロで書くようになった。いくつかは感光紙でプリントしてあるが、ディスケットに保存してあったものはフォーマットが違うので読み出せない。あれも捨てただろうか。それとも押し入れの箱の中だろうか。パソコンで書くようになってからのものは、たぶん古いパソコンのハードディスクに残っているだけだろう。

 今のパソコンに残っているのは、たいていここにアップしているものだけだろう。

 想像力がないと思ったこともあるけれどそれはどうだろうか。

 まあ、たった今想像力の欠片もないものを書いているわけだが。こんな物だけでも残したいと思っているのだろうか。まあ、何かを残したいと思えば物を書くことが手っ取り早いわけだが、質が問われるよね。

 あと残したいものと言えば、人と言うことになるだろうけれど。

 会社なら後輩に色々教えて影響を残していく。教師なら教え子たちに精神を残していく。私はどちらもできなかった。

 いま書いているものだって、愚痴の類でしかないし。

 愉しいことはたくさんあったから、生き甲斐がなかったとは思わない。

 大学生のときに夜通しお喋りをしたことも、何も残らなかったとしても愉しかった記憶には違いない。それよりも、面白い本をたくさん読めたことには価値があるだろう。最近最もはまっている長篇が、十二月に完結する。それくらいは読めてから死にたいか。

 好きなバンドのライヴにも何回も行けた。生活が苦しいと言いながら、今年の春も何回か行ったっけ。夏にも行った。次行くとしたら年末なんだけれど、そのとき費用があるかどうか。

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