顔合わせという名の面接
派遣会社からメールが来て、個別に案内したい案件があるとのこと。ついては電話で説明したいのでご都合はいかに。月曜日でメールを見ていなかったので、よく火曜日の朝に、いつでもお電話くださいと返信したら、午前中にかかってきた。前にこの会社に経歴を送ったあと何年も経っているので、それ以降の経歴を知りたいということだった。それから、希望の曜日や時間帯を教えて欲しいということだった。口頭で言えそうだったので、言おうとしたんだが、あとでこの内容のメールを送るので、返信をくれとのこと。だったら、最初からメールでよかったのではと思ったけれど、口には出さないで。
水曜日に再び電話がかかってきて、顔合わせをしたいので木曜日の朝からではどうかとのこと、特に用事はなかったので諾とした。採用前提の顔合わせなので、決まった後は断らないようにと念押しをされた。
木曜日の朝、駅前のコンヴィニで炭酸水とチキンカツを買って、特急に載った。今日の分の交通費はたぶんでないけれど、時間帯的にそれが最も都合がよかったのだった。一時間くらいで、特急の停車駅に到着し、そこから普通に乗り換えて十分くらい。久しぶりに降りる駅だったので、バス停がすぐには発見できず、乗り損なってしまった。次のバスでは間に合わない。
タクシー乗り場に行くと、一台もいなかったが、タクシー会社の電話番号が書いてあったので、掛けることにした。三社くらい番号が書いてあったようだが、古い看板で二つまでは文字が消えていて、一社だけ残っていた。ところが、なかなか出ない。十回以上呼んでからようやく出たので、いま駅前のタクシー乗り場にいると告げたら、近くの車に行かせるのでしばらく待つようにとのこと。数分後にやってきたので、乗り込んだ。
入り口に着いたのが予定時刻の十五分くらい前で、派遣会社の人と待ち合わせが十分前だったので、まだ来ていなかった。しばらく待っていると、やはりタクシーで担当者がやってきた。私が載ったのとは違う会社のものだった。派遣先の入り口まで歩いていく途中で、希望の時間帯などは伝えてあるが、あらためて聞かれるかもしれないので、そのときは同じように答えればいいということだった。入り口を入ったのが五分前で、そこでスリッパに履き替えた。一応革靴を履いてきていたのだが、これなら別にスニーカーでもよかったな。
小さめの会議室に通されて、座って待っていたら、すぐに管理職の人たちがやってきて、顔合わせが始まった。そう、派遣会社の人は、顔合わせと言っていたけれど、まあ普通に面接だった。経験の細かいところを問われ、この仕事の面白いと思うところは何だとか聞かれた。私は、ええっととか言いながら具体的に答えた。手振りなんかが自然と伴っていた。
今週中に決めて連絡するとのことと、これは派遣会社に対してだったのだろう。帰りは、派遣会社の担当者と一緒に歩いて駅まで向かった。なんだかよく喋る人で、ずっと喋っていたのでどれくらい時間がかかったのかわからなかったけれど、十五分以上はかかっていたと思う。首に冷やしタオルを巻くのを忘れていたので、随分と汗をかいた。
帰りは普通電車に載って、二回乗り換えた。二回目のときに途中下車して、駅前の百貨店に行った。書籍売り場に行ったら、読み終えていたシリーズものの文庫の番外篇が出ていたので買った。地階の食料品売り場でも、安売りシールの貼ってあるものを中心にいくつか買った。アルコール飲料は買わなかった。うちに、安い泡盛が残っていたはずだ。
その日のうちに派遣会社からお礼のメールが届き、それに対して返信したが、金曜日のうちに何の連絡もなかった。非通知の電話が一件着信履歴にあったが、これは恐らく違うだろう。もしかしたら、見込み客かもしれないが、非通知なのでどうしようもない。




