アルバイトについて
売上が増えないので、アルバイトを増やすことにした。オンラインのアルバイトだ。
そういえば、お金が足りないときアルバイトをするのは便利だったな。大学生のときの話だ。いまなら、タイミーとかあるけれど、そういったことは昔からあって、もちろんスマートフォンなんかなかったけれど、本屋に置いてある無料の情報誌に載っていて、たいていは電話一本で決めることができた。
交通調査をやったときは、排気ガスにやられてしまって、大盛りを頼んだ冷やしうどんを、トイレで全部吐いてしまったっけ。あとは、返品雑誌の処理とか。同じ雑誌でも号によって分けなければならないのだけれど、同じようなヌードの表紙で区別するのが大変だった。
駅前に集合で、同じような学生たちがうろついていて、駅のトイレを使いたがる者がいても、駅員が嫌そうにしていて、入場券を買えとか言われていたっけ。
当時の学生アルバイトで、割りがよかったのは、塾講師とかで、時給が三千円くらいもらえた。いま同じようなアルバイトの時給が、そんなには貰えないことを知っている。それだけもらえるなら今でもやるだろう。いまはその半分くらいか。予習とか考えると、コンヴィニと大して変わらない。
長く続いたものは、八百屋の店員で、たぶん一年くらいやったと思う。あさ、店に行ってシャッターを開け、台となるボール箱なんかを適当に並べて待っていると、仕入れをしてきた店主がトラックで荷物を運んでくる。それを言われたように並べて、値札を差す。そうしながら、値段は覚えていく。まあ、忘れたら見に行けばいいだけだけれど。
その日の売りがあって、店先で連呼する。夏場は、スイカの試食なんかもやる。こっちも暑くてスイカを食いたいので、わざと割ったことがあったような、なかったような。時間や残りの量で、値引きをするタイミングを決めてあって、私にもその裁量があった。いまから、大根三本で百円だ、とかやるわけだが、そうすると店主が、ええっとか驚いたふりをして、客の注目を集める。
値引きのポイントは、値段を下げることではなくて、同じ値段での量を増やすことだった。いまの大根で言うと、最初は一本百円で売っている。それを、三本百円という風に本数を増やすわけだった。ひと箱に何本入っていたのだっけ。五本くらいだったっけ。最後には、ひと箱百円とか、残り全部で百円とかやるわけだった。
そう言えば、消費税なんてものはなかったなあ。
で、いまやっているのは、テストの採点だ。これは割りがいいのかどうかよくわからない。きちんと時給計算をしたことがないからだ。守秘義務があるので、詳しいことは言えないのだけれど、英語のテストの採点をオンラインでするもので、文法的に正しいかどうか、単語の綴りが合っているかどうかを判断して、丸付けをする仕事だ。
おそらく能力が高ければ、スピードも上がってとても割のいい仕事になるのだろう。一方で、ミスをするといけないので、その辺は慎重にやらないといけないから、しっかりと見る必要がある。
これも、詳しいことは言えないけれど、採点しやすい答案と、そうではないものとは確かに合って、しかも、それは出来不出来とは関係ないところにあるということに気づいている。
これをするのを、少し分量を増やしたのだった。
この仕事の難点は、目が非常に疲れるということだった。パソコン仕事というのは、目に負担がかかるものだ。だいぶ前に、これはアルバイトではなくて常勤で、一日中パソコンを使う仕事をしたことがあったけれど、あの時はかなり視力がやられた。
あのときほどではないけれど、やっぱり目が疲れるので、眼精疲労の薬を飲むことになるのだ。その薬代を考えると、どれだけ収入になってるんだかって感じがするよね。