断続的な夢
夜中に何度か目が醒めるので、その間に断続的な夢を見ることがある。
覚えている最初のは、宇宙船だか電車だかのコックピットか客室のようなところに四人分の座席が四角く並んでいてその席に私の友人たちが着いている。前方手前の席に着いているのが高校のときの親友であるから、他も恐らく高校時代の友人たちであるのだろうがよくわからない。彼らとは殆どずっと会っていない。大学生のころに何度か会ったきりだろう。親友とはその後も会ったが、最後にあったのは二十年くらい前だろう。メールのやり取りをしたのも五六年前が最後だろう。私の席がないなと思っていたら、親友の席の下に殆ど寝る角度にリクライニングされた席があり、そこに寝ろというのだった。私の頭の上には椅子があるが、そこに座ったら当然その足が私の足の上あたりに来るのだった。
そのことはとりあえず置いておいて、酒はないのかと私は訊いた。出発したら当分外に出られないだろうと思ったからだ。あるよと言われて見たら、席と席の間の通路のようなところにウィスキーの瓶が一本あった。銘柄はわからない。私たちはそれを吞もうということになって、前方にある細長いテーブルのところに行って、グラスにそれぞれ注いでいった。零してしまってもったいないなとか思いながら、みんなで呑もうとした。こんな場所があるのなら最初からここにも席を作っておけば五人分になったのに。もっと言えば、全部リクライニングにするくらいの空間はあるのだからそうしておけばとか、考えているのはもう夢の中でなくて、覚めかけている頭の中での思考だった。
次のも電車の中に席が見つかるかどうか、今度はプラットフォームで危惧している夢だった。教皇様のおかげで車両が一つ付け加えられて、そこに席があるということで載れることになった。小さめの車両の前半分くらいに座席があって、既に何人か座っていた。私は横向きの椅子が空いているのを見つけてそこに座った。後ろ側の空間には、銀色のテーブルのようなものが置かれていて、そこに教皇様が来るというのだった。警護のひとが載ってきて私の隣や向かい側に座った。これはこのあたりで目が醒めた。
そのあとは、ぼろ屋で寝ていて朝になり、そろそろ起きようかと言う夢だった。ぼろ屋のモデルは小中学校時代に住んでいた長屋だろうか。それよりももっとぼろい感じで、二階の道路側に寝ているのだけれど、外から手を突っ込んで中の小物を盗むことができた。ちょうど向かい側に中学だかの学校があり、その生徒たちの誰かが盗んでいく。学校の先生たちが出迎えに立っているので、彼らに向かって大声で抗議する。
同じぼろ屋にいるのだけれど、今度は向かいが学校ではなくて普通の家になっていて、そこに住んでいる中学生くらいの子供から声をかけられる。昔うちに来たことがあるでしょう。そう訊かれて、だいぶ前に行ったことがあるような気がした。そのころ何かの事業をやっていて、その営業で回ったのかもしれない。長屋のうちと反対の端から二番目に学習塾ができて、そこの営業で回ったのかも知れない。うちは長屋の左端で、実際には最初はお好み焼き屋であとはクリーニング屋になり、そのあとは何もしていなかった。隣は最初散髪屋で、その子供が同級生だった。散髪屋は斜め向かいに新築された大きい店に移り、隣には美容室が入った。その隣は何だったか憶えていないし、何軒あったかも覚えていない。反対側の端は駄菓子屋のような店で菓子パンとかも売ってたっけ。この店の子供は私より二つ下だった。だいたいほとんどの店が閉めてしまって学習塾だけがあったような気がする。もちろん今は全部なくなって、数年前に見に行ったら駐車場になっていたことは前に書いた。
その生徒は私に教えて欲しいという。何を教えて欲しいかと訊いたら、朗読だという。これは最近見たアニメの影響だろう。私は多分教えられないと思った。学生時代に演劇を少しやったことがあって、そのときに買ったトレーニングの本は持っているけれど、あれだけで足りるだろうか。アクセントは広辞苑を見たら載っているだろうか。
その家に下宿している白人と会った。私は物理学を学んでいます。大学を卒業したら作家になるつもりです。それに対して私は既に作家だという。まだそれだけで生活できないけれど、一つエスエフの連載があるのだと。夢の中では本当のことのようだった。現実には、まあこれを書いているだけだ。