麗しのサブリナ
唐突に思い出して大笑いした。映画のワンシーンだった。麗しのサブリナという映画で、若社長に言われて娘とのデイトの運転を依頼されて、困ったように笑って辞退する父親の運転手の顔だ。オードリー・ヘプバーンの主演作で最も有名なのは、ローマの休日であり、私もその殆どのセリフを空で言えるほど何回も観ているけれど、最も好きなのは麗しのサブリナの方だ。
続けて別のシーンも思い出して笑い続けた。この辺はネタバレになるので、嫌だと思う人は読まないようにしてほしいけれど、まあ殆どの人が観ている映画だろうからいいかな。最後の方で、堅物だった若社長が何もかも捨ててサブリナの後を追いかけるところで、蝙蝠傘を他の乗客に引っかけるところ。それから、帽子を折ってくれとサブリナに渡してもらうところ。ギャング役から始まって、そのあとはハードボイルドな主役を張っていたボギーがコミカルな役をやっている。
ついでに言うと、脇役のウィリアム・ホールデンは当時の二枚目俳優で、オファーがあったときは自分が主役だと思ったと語っているのが、パンフレットに載っていたっけ。プレイボーイの役なのに変わりないけれど、かなり三枚目風の役となっていた。
オードリー・ヘプバーンの映画で、他に好きなのは、パリの休日だった。これはミュージカル仕立てで、フレッド・アステアのダンスが見所の一つなわけだけれど、地下のバーのようなところでオードリーが躍るジャズが、変でよかった。雰囲気的にはアステアの振り付けのように思うのだけれど、実際がどうだったかは覚えていない。
オードリー・ヘプバーンもハンフリー・ボガードもフレッド・アステアもその殆どの映画を観ているが、最初に観たのは大学生のときの名画座でだった。特集で一日に何本も観ることができるのだった。働き始めてからは、映画館にはあまり行けなくなったけれど、代わりにレイザーディスクを集めてみることができた。マルクス兄弟も同様の感じで、観たし、レイザーディスクに限って言えば、サタデイ・ナイト・ライヴなんかは面白かった。日本のバラエティ番組のコントの殆どが、アメリカのコントの焼き直しであることにそのとき分ったっけ。
レイザーディスクの機械が壊れてしまい、新製品も出なくなったので、持っていたレイザーディスクは全部売ってしまった。正確に言うと、古本を売ったついでに持って行って貰ったのだった。そのあとでいくつかは、ディーヴイディで買い直しているけれど、これはまた別の話。