毎日焼き肉が食えたら
下のきょうだいが大学受験をしていて、その結果が届いたという夢を見た。エイ四サイズになんだかたくさん書類が入っていて、その中に点数や合否が記されたやや厚めの紙などが入っていた。それをなぜか私が確認している。早稲田大学の二学部を受けていて、文学部は通ったけれど、教育学部は落ちていた。得点はどちらもあまり高くないので、本当に受かったんだろうかなどと考えている。
私の下のきょうだいが早稲田大学を受けたという事実はなく、夢の中だけの話だ。実際は私自身が受けていて、文学部も教育学部も受からなかった。親は浪人してもいいと言ったけれど、別の私立大学が合格していたので、私はそちらに入学した。
遠い昔の話だ。卒業後、出版社に勤めたいという希望はかなわなかったけれど、普通の企業は大体採用されたから、学歴はやはり必要なんだと思っている。それでも大してお金が残らなかったのは、入った分だけ使ってしまったのと将来のことを考えていなかったからだろう。ムヒカ大統領の話を英文で読んでいて思ったのは、そんなに多くのお金は欲しくないけれど、少しは欲しいということだった。それがどれくらいかと考えて、毎日焼き肉が食えるくらいは欲しいと思った。現状それだけの収入がない。焼肉なんて、もう数年食えていない。最後に行ったのは、市の商品券で食べに行ったときだ。
そして、そう言えば毎日焼き肉が食えていたことがあったことを思い出した。数十年前のことで、まだバブルの名残があったっけ。給料は手取りで二十五万円程度だったけれど、そんなに生活費はかからなかったから、今よりずいぶん物価が低かったのだと思える。消費税なんかなかったし。私の住んでいるアパートと、職場のあいだに、美味しい焼き肉屋があって、確かにほとんど毎晩そこで食べていたのだ。ハラミやミノを食って、白飯を食いビールを吞んでいた。
ビールと言えば、クラフトビールを呑ませる店があり、そこでお腹が空いたと言ったら、特別にガーリックトーストを作ってくれたっけ。その近くの酒屋で、麒麟麦酒を瓶でケース買いをして届けてもらっていたっけ。最初は店で現金を払ってから届けてもらっていたのだが、直ぐにツケが効くようになった。
そこに住んでいたのは一年くらいで、そこは県庁所在地だったのだけれど、そこからだいぶ田舎の方に引っ越したら、家賃も安くなって、それこそ生活は楽だった。それなのに、仕事を辞めてしまって、失業給付を受けたり、預金を食いつぶしたりしてから現在に至るという感じか。いや、本当はもっと色々あったはずなんだが。年齢が行くほど、学歴だけでは就職できなくなって、とうとう自分でやるしかなくなって、まあ何とか生きてはいるけれど、汲々しているのは間違いない。