十七歳
十七歳は特別だと、ドラマや漫画が言っている。私はどうだっただろうか。前に修学旅行を休んだということを書いたけれど、それが恐らく十七歳のときだ。自主的に行かなかったのだから、登校はしたはずなんだけれど、そのことも覚えていない。
高校三年生のころは、かなり朝早くに登校していた。この辺は前にも書いたと思うんだが、朝起きて嘔吐して数キロ走ってそれから電車に載って教室に一番乗りだったから、まだ七時台だったのではないだろうか。門がまだ開いていないときもあったような。そのときは、たぶん通用口から入ったのだと思う。運動部が朝練をやっていてもおかしくないのだけれど、その辺りの記憶は全くない。興味がなかったのだろうね。
私よりも早く登校している生徒が、他のクラスに一人いた。高一のとき同じクラスで、そのあとは別々だったけれど、部活動でときおり会ったり、放送部にもいたので放送のお願いに行ったりもしていたので交友は続いていた。そのクラスではその子が一番乗りで、窓を開けたり花を飾ったりしていた。私はそんなことはしなかったけれど。取り留めのないお喋りをしているうちに、他の生徒が入ってくるのを潮として自分の教室に戻ると、やはり何人か来ている生徒がいて、段々と増えてきた頃合いに、ちょうど真上のクラスに行って、そこに来ている親友からお弁当を受け取る。親友の親が私の親に代わって作っていてくれたのだった。
そう言うことは憶えているのだけれど、それ以外に何かイヴェント事があった記憶はない。受験勉強もしていなかった。図書委員の先輩から、問題集を何冊か譲り受けていたけれど、全くやらなかった。では何をしていたのかと言えば、多分ずっと本を読んでいたのだと思う。大学入試の前日も本を読んでいたということは前に書いた。大学に入学して引っ越した時に持って行ったのは、本棚とラジカセくらいだった。布団は新しいのを買ってくれた。
それ以外にしていたのは、ギターの弾き語りだった。これは結構時間つぶしになるので、もしかしたら読書よりも時間が多かったのかも知れない。サザンオールスターズの新しいアルバムが出たらそのギター譜を買ったりしていた。それ以外は、沢田聖子を友人の影響で歌っていたように思う。
いたって普通の高校生という感じだけれど、特別な記憶はほとんどない。特に記憶に残っているという曲もない。そう言えば、図書委員の卒業パーティで、クラウディアという曲を歌わされたので、そのとき最も気に入っていたのだろうとは思う。そのときは、新任の政治経済の教師が私に歌わせたのだった。けれどこれはもう十八になってからのことだな。