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二月の古書展

 久しぶりに電車に載って古書展に行った。隣の県の乗換駅でいったん下車して駅前の高級スーパーに寄ったけれど、迷った末に買ったのはホットの黒豆茶だけだった。特急の指定席を買おうとしたらあまり席が空いておらずゆっくりと食事ができなさそうだったからでもあった。二席並びで空いているところがなかったので、空いている通路席を買った。駅構内に戻って、コンヴィニでチキンとドリップコーヒーを買った。

 窓際の席のやつが荷物を置いていたので注意して明けさせた。偉そうに足を広げているので、境目の肘掛けをおろした。相手の体に当たったので、御免と言ったけれど、食み出しているそっちが悪い。何となくゆったりとした気分になって、紙コップのコーヒーをじっくりと飲んだ。香りを楽しみながら。飲みおわってからチキンを食べ、黒豆茶で口を濯いだ。

 地下鉄に載り入れている路線に乗り換えて十五分ほど。下車してから十分ほど歩いて会場に着いた。今回は割と小規模な古書展だった。ぐるっと廻ったが釣果は無し。店主たちが大笑いしているのが気になった。平和だ。まだコロナはおさまっていないというのに。

 何も買わなくてもいい。こういうところに来るというのが精神衛生上大切なのだ。私の好きなもの。古書店は昔から好きだった。親戚の家から少し歩いたところにある大きな商店街のとっかかりにあった古書店。あそこが始まりだったように思う。全く整理されていない雑多な古書を見ているのが好きだった。買うことが殆どなかったとしても。そう言えばまた別の親戚の家からだいぶ歩いたところにあった、半分薬局で半分書店だった店にも古書コーナーがあったっけ。あの店は今もあるんだろうか。

 新しくできた牛鍋屋がよさそうだったので前の日に電話したけれど、平日しかやっていないということだったので断念した。駅の近くにあるアニメショップに寄ったけれど、欲しいものはなかった。きょうは何も買わない日のようだ。お財布的には助かるけれどね。

 駅を通り過ぎたところにあるちょっと洒落た装いの中華屋に入った。前に一人入って行く人があったので連れと思われたくなくて少し待ってから入った。お一人様が多い店だった。空いている席に座れと言われて、入り口近くの大きめのテーブルをパーテーションで区切っているところの、壁際の席を選んだ。荷物置きを端から取って、リュックを入れた。

それから席に着いてメニューを見ていると、水を持って来てくれた。そこで注文をしていった。昨日予めネットでメニューを見ていたけれど、系列店ではあっても少し違う感じだった。もちろん同じものも多かった。

 大蒜ゼロ餃子。人に匂いをさせるのは以前からそんなに気にしていないけれど、最近自分の口の匂いが自分で嫌になることがあったのでそうした。そして唐揚を頼んだ、こちらは大蒜が効いていたのであまり意味がなかったんだけど。中華風ポテトサラダがあって、頼もうかどうか迷ったけれど頼まなかった。玉子スープがあったのでそう言ったけれど、思ったのと少し違った。美味しかったけれど。それからウィスキーのハイボールを頼んだ。

 唐揚げは美味しくてちょうど食べおわったころ、餃子を持って来てくれたときにメニューを見ていたら、追加はいかがですかと言われたので、野菜炒めと赤ワインを頼んだ。赤ワインと餃子は確かによく合った。モニターで、割と好きな俳優がコマーシャルをしていた。十年くらい前の朝ドラにちらっと出ていた俳優で、最近はよく見る。野菜炒めは少し味が濃すぎた。チェックをしようとしたら、前の客がいろいろ文句を言っていて待たされた。それでもさほど苛々しなかったのはどうしてだろうか。

 地下鉄に載ってターミナルまで戻った。来るときも特急でこのターミナルまで来た方が楽だったのに。久しぶりなので勝手を忘れていたのだね。駅前の商業施設に行って、そこの書店に行こうとしたのだけれど、入り口に貼り紙で閉店しましたと書いてあった。そこは一度閉店して、その後再開したのだけれど、やっぱり辞めてしまったのか。リアル書店はどんどんなくなる運命のようだ。

 仕方ないので駅まで戻ってモールにある書店に寄った。高校生たちが屯していたのは、地元の高校生だろうか、それとも修学旅行生だろうか。土産物屋にも寄ったけれど何も買わなかった。駅に戻って特急券を買った。コンヴィニに寄ったけれど、買ったのは酎ハイだけだった。特急の車内では小さい子供が騒いでいたけれど、五月蠅いとは全く思わなかった。可愛いなと思えて仕方がない。

 大人が喋っているのは五月蠅い。乗り換えた車内でずっとぼそぼそと喋っているのがいたので、席を移ったっけ。

 帰りも一旦途中下車をして、デパ地下に行った。国産大豆の厚揚げを買うのが第一の目的だった。もう殆どここでしか買えないのだった。他にもいくつか買って、酒の棚でライウィスキーを眺めて、きょうもやっぱり泣く泣く諦めた。

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