ホストクラブ
注意
語彙力は海に捨てた
推し(男)が可愛すぎることからBLの世界へ迷い込んだ私は、BL小説投稿サイトで小説を書くことがあった。そして、お相手の攻めがホスト役のものを書こうと思ったのだが…ホストクラブがどういうところなのかをまず知らないため手詰まり状態になっていた。
そういえば、これでも私は成人女性なのだということを思い出し、偵察のためにホストクラブに行ってみることにした。
仕事帰り、ネオンが輝く夜の街は歩くだけで吐き気がするくらい人が多く、はやく用を済ませて帰ろうと使命感のようなものを得た。
やっと見つけたホストクラブはだいぶお洒落で、パリピがいるような店を想像していた私は驚きながらも店の中に入っていった。
どの男の人がいいのか選ぶのだが、生憎上位のホストは違う人についていたらしく、
「どのお相手がいいですかね?」
「では一番不人気な方をお願いします。」
目を見開きなにを言っているんだという顔をされた。失礼にも程があると思う。
奥に通され、ソファーに座ってまわりを見渡す。地雷系といわれる服装をした人が沢山のお酒を頼み、愛想よく笑うホストと思われる男性。
こんなものなのか…心の中でつぶやいて、軽くスマホでメモを取った。
「お待たせしました!」
元気な声を上げてきたのは犬系?の男性。
決して不細工ではなく、逆に結構イケメン…?
「ご指名ありがとうございます!」
元気よく返されても興味はない。
いいデータが取れたからもう帰りたいまである。
無言を貫き通し、話に興味はないと思わせたかったが、こういう時用心棒みたいなのがきて余計面倒になる気がしたので一本だけカクテルを頼んだ。
正直、酒は強い方だがあまり飲みたくない。推しに貢ぐ金がなくなるから。このホストクラブに来るための金だって、本当はグッズを買ったりするための金だ。
きたカクテルをすぐに飲み干し会計をするために立ち上がると、ホストの男が腕を掴んだ。
「待って、せめて名前だけでも教えてくれない?」
「…桜野むすび」
「そっか、俺は蓮、佐藤蓮」
双方の名乗りを終えた後、会計をして早々に立ち去った。