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アクティブダンジョンマスター・俺は外に出る!  作者: 親方、空からゾンビが!
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復活への軌道

「なるほどな。道理で周りがざわついてる訳だ」


 俺とリュウイチは案内された小屋の中で経緯を説明した。助けてくれた手前、隠し通すのは気が引けたってのもある。いや、それ以前に俺自身が弱体化しちまったし、グロウスの協力は欠かせないと感じたのが大きいか。


「外界から離れて500と数年。最近にわかに騒がしいと思ったら、新たな大役職(リードロール)が誕生していたのか。しかも大半が喪失した上に、いまだ騒動は収まっていない。その上女神まで動いたとなれば、天変地異に等しいってもんだ」


 んん? 聞き間違いか? 今500年以上生きてるように聞こえたが……。まぁドワーフならおかしくはないのか? そういう事にしとくか。


「事情は分かった。微力ながら俺にも手伝わせてもらおう。どのみちここでの修行にも限界を感じていたからな。これも巡り合わせというものだ」

「ホントか!? ――じゃなかった、本当ですか!? そりゃ大助かりです!」

「フッ、無理に敬語は使わんでいいぞ? 堅苦しいのは苦手だからな。俺にとっちゃ10代だろうが100代だろうが大差はない。気にせずため口で話すといい」


 器まで大きいと来た! こりゃもうアンタが神様だよ、ナムナムナム……(←テキトーに拝んでる模様)。


「ところでそっちの……リュウイチと言ったか? 怪我の具合はどうだ?」

「ええ。お陰様でだいぶ楽になりました。魔力も回復して来ましたし、飛行も可能です。凄い効き目ですね、このポーション」

「そりゃそうだ。竜の血が混ざってるんだからな」

「「竜の血!?」」


 前にロージアから聞いた覚えがある。竜の血には再生能力を高めたり、寿命を伸ばす効果があるんだとか。オークションだと高値で取引されてるらしい。


「そ、そんな高価なものを!」

「気にするな。こういった稀少品は使ってこそだ」

「ですが貴重な品には変わりません。どこかの貴族様ですか?」

「……まぁ、当たらずしも遠からず……だな」

「ああ、すみません。他人が詮索するのはマナー違反ですよね……」

「ん、まぁ気にするな」


 グロウス、どこか遠い目をしていたな? 気になるけど、今はそれどころじゃない。


「すまんがリュウイチ、プラーガ帝国の帝都までひとっ飛びできるか? あそこにダンジョンの入口があるはずなんだ」

「帝都ですね、分かりました。ではグロウスさんも――」

「まぁ待て。お前さんの傷はまだ完治してないだろ?」

「――え、それはまぁ……」

「移動手段なら用意してある。ついてこい」


 顔に似合わず(←失礼)サムズアップをして見せたグロウスが小屋を出る。俺もリュウイチと顔を見合せつつも外に出ると、ちょうどグロウスが口笛を吹いたところだった。


 ピュィィィィィィ♪




「ギュォ!」


「「ド、ドラゴン!?」」


 バッサバッサと舞い降りてきたのは黄色い鱗で覆われた竜だった。

 ドラゴンと言えば最低でもAランク。下手すりゃS以上だぞ!?


風竜(ウィンドドラゴン)だ。いつでも移動できるに越したことはないだろう? 手懐けるのに100年ばかし要したがな」

「「…………」」


 常人なら1年でギブアップだろう。それを100年も続けるとか、普通なら廃人まっしぐらだ。やはり500年生きてるってのは事実なんだと思ったよ……。


「急ぐんだろ? さぁ乗った乗った」


 俺とリュウイチが10人は乗れそうな広い背中に飛び乗ると、風竜はゆっくりと上昇し始める。


「プラーガ帝国って事はこっちの方角だな。そら行け!」

「ギュギュ!」



 シュゥゥゥゥゥゥ!



「「うおっとととと!」」


 急加速で落とされそうになるも、辛うじて踏みとどまる。


「お~い、振り落とされないようしっかり掴まっとくんだ」


 それ、先に言ってくれ……。


「しかし風竜だけあって速いですね。これなら1時間もかからなそうです」

「ああ、もう少しで雪原を抜けて山岳地帯に出る。そこを越えれば魔道国家ガルドーラが見えてくるだろう」

「ガルドーラ!」


 リュウイチの顔が強張る。


「グロウスさん、迂回できませんか? ガルドーラの首都には(タワー)があるんです。エーテルリッツのメンバーも集結している可能性が高く、あそこを通過するのは危険です!」

「ああ、問題ない。ミリオネックに逸らしてやる」


 それは助かる。今リードロールと遭遇したら俺は単なるお荷物でしかない。避けられるなら避けるべきだ。

 つってもダンジョンに戻ったところでステータスは戻らないんだけどな。さて、どうしたものか……


「ギューーーッ!」

「ん? どうした?」

「ギュー、ギュギュ!」

「何、首都方面に危険な輩がいるだと?」

「ギュー!」


 危険な輩? それがミリオネックの首都の方から感じると、ウィンドドラゴンが言っているらしい。

 それを受けてリュウイチも神経を研ぎ澄ますと、ハッとした表情で顔を上げた。


「この反応は包辛(ほうしん)! 間違いない、法王(ハイアロファント)です!」


 リュウイチが言っていた友人か。


「彼は争いを好まない性格です。事情を話せば分かってくれるかもしれません」

「首都に(おもむ)くか。俺は構わないが、マサルもそれでいいか?」

「もちろん」


 今の俺は戦力外だ。一人でも味方が多い方がいい。話すだけで済む。そう安易に考えていたが、後に考えが甘かったと後悔することに。




「おい、アレを見ろ。首都で煙が上がってやがる」


 首都が見えてきた――と喜んでる場合じゃなかった。街のあちこちから火の手が上がっていたんだからな。

 下では消火活動をする人と逃げ惑う人とで大混乱を起きていて、夜景を楽しむどころじゃない。


「これは酷い。いったい何が……」

「原因は()()だな」


 悲痛な表情で見下ろしていたリュウイチが顔を上げた。そしてグロウスが指した()()を見て驚愕(きょうがく)する。


「そんな……法王(ハイアロファント)!?」


 視線の先では放出した魔力を地上へと注いでいる少年が見える。あれが法王(ハイアロファント)なんだろう。いてもたっても居られず、リュウイチが飛び出していった。


「何をしている法王(ハイアロファント)、お前が首都を襲っているのか!?」


 憤るリュウイチに対し、つまらなそうな表情で振り向くハイアロファント。


太陽(ザ・サン)か。お前も邪魔をするつもりネ? 違うんならどっかに行くといいヨ。オイラが捜しているのは(ザ・スター)の1部なんだからネ」

(ザ・スター)? なぜお前が……」

(タワー)を完全攻略するためネ。九割は制圧したんだけどネ、最後の階には(ザ・スター)が揃わないと入れないヨ。だから勇者アレクシスの末裔を捜している。こうやってネ」


 ハイアロファントがいっそう魔力を込めると、地上の々が頭を垂れる。中には涙を流しながら崇めている人も。


「自我の弱い者、魔力の抵抗に弱い者はオイラのスキル――法令に従ってしまうネ。抵抗した一部の連中は力で黙らせたし、後は末裔が見つかるのを待つだけだヨ」

「そこまでして……。なぜだ、なぜ他人を傷付けるのを嫌うお前が実力行使を!?」

「フッ、リュウイチは相変わらずだネ。オイラの祖国――中華人民共和国なネ、金よりも人の命の方が軽いヨ。例え地方の村が飢餓(きが)に陥ったところでだ~れも気にしないネ」

「それは前にも聞いた。だからってお前が同じ事をしようと言うのか!」

「もちろんだヨ」

「なっ……」


 言葉を失うリュウイチ。だがハイアロファントは表情を変えずに話を続ける。


「ここは異世界、つまり祖国とは違うヨ。オイラが救うのは中華人民共和国、いずれは祖国に帰るネ。まずは賄賂を要求してくる徴税官をブン殴り、次に魂を売った地主を締め上げ、更に井の中の蛙でしかない解放軍を壊滅させ、最後は腐った蜜柑の共産党主導部を叩きのめす。今のオイラにはそれができるけれど、1つだけ無理なことがあるネ。それは地球への帰還だヨ」


 イグリーシアから異世界に渡った者がいるという話はこれまで聞かない。何らかの理由で無理なのか、僅かながら存在するのか分からないが。

 それに異世界に渡る術を研究している奴がいるとも聞かないし、仮に戻れるとしても相当な年月が必要だろう。つまりコイツは地球に転移するためにタワーを攻略する気なんだ。


法王(ハイアロファント)――いや包辛(ほうしん)。ボクは今までお前のことを誤解していたようだ。祖国以外はどうなってもいい、それがお前の考えなんだな?」

「さすがはリュウイチ、理解が早くて助かるヨ。分かったらこの場から――」

「ならばたった今からお前は敵だ!」



 ゴォォォォォォ!



 火炎放射器のようにリュウイチの両手から炎が放たれ、ハイアロファントを包み込んだ。


「ぐうっ!? 灼熱の太陽! やはりリュウイチ、お前も邪魔をするネ? ならば後悔させてやるヨ!」

「望むところだ!」


 障壁で難を逃れたハイアロファントと、決意を新たにしたリュウイチが正面からぶつかり合う。激しい波動がこちらにも影響し、ウィンドドラゴンの巨体を揺らす。


「クソッ、俺に本来の力があれば助太刀できるのに!」

「助太刀もいいが、こっちも対処しなきゃならんようだぞ?」


 グロウスの警告して間もなく、地上から竜騎士の一団が上がってきた。ハイアロファントに洗脳された奴らだろう。

 だがコイツらですら今の俺には……


「グ、グロウス!」

「任せとけ――ほらよ!」

「ギュギュギュ!」



 バサバサバサァァァァァァ!



「「「うわぁぁぁ!?」」」


 翼で強風を巻き起こし、ぶつけられた竜騎士たちはバランスを崩して落下していく。


「凄ぇ……」

「ま、場数を踏んでりゃこれくらいはな」


 これで邪魔物はいなくなった。後はリュウイチに加勢だ!


「フン、使えない連中だネ。ならばもっと有力な者を従えるのみだヨ!」



 ジュワン!



 ハイアロファントから謎の波動が飛んできた。直後俺の身体に変化が。


「くっ!? か、身体が勝手に!」

「マサル!」


 グロウスの制止を振り切ってリュウイチに飛びかかろうという衝動が抑えられない。これが奴の法力か!


「マサルさん!?」

「お、俺に構うな……お前は……戦闘に……専念……しろ……」

「クッ!」


 ダ、ダメだ、頭が割れそうなほどの頭痛がしてきやがった。このままじゃ意識を持ってかれちまう!


「しっかりしろ、マサル!」

「そ、そんなこと……言ったって……」


 本格的にヤバい、ハイアロファントがどうとか言ってられねぇ。けどここで自我を失うわけにはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!




 パリィィィン!




『貴方は大役職(リードロール)の1つ、死神(デス)に目覚めました』



 ぁぁぁぁぁぁ――――あ?



 機械音声と共に告げられた役職。完全体のデスになっちまったってか? そのお陰かさっきまでの頭痛が嘘のように消え去り、妙な爽快感が脳裏に響き渡る。そして希望となるメッセージが追加された。



『剣術レベルが解放されました。感知能力が接続されました』


 感覚が戻りつつある!?

 トラップは使えないが、力で対抗するくらいならできる!


「心配かけたなグロウス、もう大丈夫だ」

「みたいだな。その衣装、なかなか様になってるぞ」

「あ……」


 もう諦めたがイカれたヘビメタ野郎みたいな格好になっていた。この姿をロージアに見せるのは……いや、それは後で考えよう。


「グロウス、援護に回ろう。このまま上昇してくれ」

「分かった」


 ハイアロファントを斜め上から見下ろす形になった。奴は一瞬だけ視線を寄越したが、すぐにリュウイチへと戻たようだ。


「さて、この()()()の前に現れたことを後悔させてやろう」


 俺は脳裏に浮かんだスキルを躊躇(ちゅうちょ)なく発動させる。


「執行だ――ジェノサイド!」



 ブチブチブチブチィィィ!



「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」

「なぁっ!?」


 スキルを発動すると、ハイアロファントの両手足が千切れ飛んだ。目の当たりにしたリュウイチは驚いて距離を取る。

 ――が、それだけでは終わらず、今度は奴の首が不自然に締まっていき……



「グェェェェェェ――――」



 ブツン!



 自分でもグロいと思った。奴の首が取れ、胴体共々落下していったのだから。だが妙な達成感に包まれ、不思議と後悔はない。




「マ、マ……マサルさん?」

「…………」


 って、そんなわけない!


「な、何だよコレ、俺がやったのか!?」

「え、ええ……」


 心なしかリュウイチが怯えている。いや無理もない。あんなスキルを見た直後だ。俺が異常者に見えてるだろう。


「これが……死神(デス)の力……」


 まさか自分の力に恐怖を感じる日が来るなんてな……。


キャラクター紹介


法王ハイアロファント

:ミネルバに忠誠を誓っていた大役職リードロールの1人。本名は包辛ほうしん。中国から転移してきた彼は祖国を中国共産党から解放するのを目標としており、ミネルバの命令というよりも自身の目的のためにタワー攻略を積極的に行っていた。

 しかし願いが叶うのは1人だけだと知り、ストレングス戦車チャリオットと仲違い。キーとなるザ・スターを揃えるため勇者の末裔を探しにミリオネックへとやって来るが、そこでマサル、リュウイチと衝突。死神デスの力を発動させたマサルにより呆気ない最後を迎えた。

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[気になる点] 前にも書いたかもしれんが500年以上生きるドワーフは聞いたことがない!
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