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アクティブダンジョンマスター・俺は外に出る!  作者: 親方、空からゾンビが!
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隠れ里

 エンプレスとの戦闘から早くも数ヶ月。俺たちはアレクシス王国への道中で、ひたすら鍛練に励む日々を送っていた。

 それだけの危機感をあの戦闘で感じ取ったんだ。お陰で現在のレベルは62。プラーガ帝国滞在時の46から見たらかなりの成長だ。

 ん? たったそれだけかって? そんな事はない。レベル20を越えた辺りからのレベルアップは相当難しいんだ。

 分かりやすく説明すると……


 レベル10→半人前冒険者

 レベル20→ベテラン冒険者

 レベル30→戦闘のプロ

 レベル40→バーサーカー

 レベル50→仙人

 レベル60以上→未知の領域


 ……とまぁこんな感じだ。仙人なんぞ数えるくらいしかいないだろうし(←そもそも滅多に人里に現れないから不明)、今の俺は仙人を超えてるってわけ。

 じゃあレベル100超えのビガロはどうなるんだって話だが、本人が言ったところで誰も信用しないだろう。何せ酒に酔った男が女を口説く時の(うた)い文句が「俺のレベルは3桁あるぜ?」だ。気に止める奴はいないだろう。

 



 カサ……



「そこだぁ――突風!」

「ブギィ!?」


 突風を凝縮したトラップを茂みに当てたところ、タックルボアという低級モンスターが転がってきた。よほどの威力だったのか目を回してやがるな。今のうちに捌いておくか。


「でかしたマサル! 今夜のメインディッシュはコイツで決まりだぜぇ!」

「だぁ~、クーガ! まだ捌いてる最中だっちゅうに!」

「それにしてもよく気付いたね? 剣術師範のあたしでも気付かなかったのに」

「そりゃ気配を感じたからな」


 この長旅でかなり鍛え上げられたのは間違いない。今ならモフモフアニキの動きだって見切れたり――




 いや、無理だな。アレはもう人の領域を越えた何かだろ……。



 シュタ!



「皆さん、もう少しで森を抜けますよ」


 上空で周囲を偵察していたロージアが戻ってきた。何せ俺たちがいる場所は深~い森の中。それもラーツガルフとアレクシス王国の境目に広がってやがるんでな、迷子にならないよう定期的に現在地を知る必要があるんだ。


「ようやくかぁ。久しぶりにフカフカのベッドで寝たいぞ」

「補足しますが、街はまだ先ですよ」

「うんぎゃぁぁぁ……」


 カルロスが力ない雄叫びをあげる。コイツはドワーフだけど王族だからな。ゴツゴツとした地面は抵抗があるらしい。それでもここまでやって来れたのは素直に凄いが。



「…………」ジッ……


「ん? どうしたシゲル?」

「今、奥の方から女性の声が……」

「奥の方から? その先は崖になっていましたが」


 駆け出したシゲルの後をついていくと、深い崖になっていた。下にも森が広がっているが、戦う音や悲鳴は一切聴こえない。


「おかしいなぁ、聞き間違いだったか」

「でも何もないのは良い事です。先に進みましょう」


 空耳だろうと結論付けて元の場所へと引き返す俺たち。すると今度は俺にも聴こえた。但し聴こえたのは女性がすすり泣く声だったが。


「シッ! 静かに。確かに人の声がする」


 そう言って全員に警戒を促す。俺が真剣なのが仲間にも伝わり全員で神経を尖らせていると、視界に収まっていた背景に歪みのようなものを見つけた。

 仲間を手で制し、俺はゆっくりと歪みに近付く。魔物が擬態している可能性もある。いつでもトラップを発動できるようにして、ソッと歪みに手を触れた。すると……



 グニィィィ……



「……え!?」


 いきなり背景が切り替わり、さっきまでいた場所とは違う森に出た。他の仲間も俺に続くと、目の前に現れた大きな湖に全員で釘付けとなる。

 数秒でハッと我に返ると、その場所がどこなのか自然と口から溢れる。


「エルフの隠れ里」


 背景が切り替わった場所が入口になっているんだ。恐らく外部からの侵入を防ぐために。


「キレイな所ですね~。いったい誰が住んでいるんでしょう?」

「エルフ――でしょうね」

「え?」

「ほら、あそこに」


 シュワユーズの疑問にロージアが答える。視線の先には湖の畔ですすり泣いている1人のエルフが。俺とシゲルが聞いた声は彼女のものだったのだろう。

 どうする? という俺の視線にロージアが気付き、ここは任せてという目配せをしてエルフに話し掛けに行った。


「隣、失礼しますね」

「――えっ!?」

「何かお困りでしょうか? 私でよければお聞きしますよ?」

「え……ええ。その……実は仲間のエルフが里の外からやって来た者たちに騙され、連れ去られてしまったのです」


 緊張しつつ答える彼女が言うには、ほんの少し前に冒険者パーティがやって来て、言葉巧みに仲間の女性エルフを連れ出してしまったのだとか。

 彼らは言った。迷い込んでしまったから出口まで案内して欲しいと。しかし出口はすぐそこにも関わらず、案内役をかって出たエルフは戻らない。つまり……


「人攫いとは許せません! マサルくん、きっとまだ近くにいるはずだ。手分けして捜しだそう!」

「ああ、取っ捕まええやろうぜ!」


 シゲルの言葉に全員が頷く。そして走り出そうとした俺たちだったが……


「待ちたまえ! お前たちを逃すわけにはいかん」

「――え?」


 やって来たのは重武装のエルフ兵たち。まるでエンプレスを連想させるような格好で俺たちを取り囲む。


「どういうつもりだ! お前らの仲間が連れ去られたんだぞ?!」

「分かっている。仲間は我々が助けるが、それとお前たちが侵入した事は別の話だ。侵入者としての裁きを受けてもらおう」


 リーダー格の女エルフが告げてきた。まるでエンプレスみたいに頭の固い奴だな。ここで捕まるわけにはいかないと、ロージアやシュワユーズも説得に入る。


「待って下さい。侵入してしまったのは謝りますが、害を及ぼすつもりはありません」

「そうそう。入ったのは偶然なんだら、そんなおっかない顔しないで、ね? ね?」

「どうだろうな? お前たちが連れ去った者たちの仲間だという可能性も否定できん。まったく、これもドライアド家の姉妹が去って里の守備能力が低下したのが原因か……。とにかく、仲間の救出は我々が行う。全員捕らえろ」


「――って、おい!」

「ふざけんな! 気安くあたいに触んじゃねぇ!」


 ロージアたちは無抵抗に捕まるも、俺とクーガだけは抵抗を試みる。


「やれやれ。抵抗したところで仲間の寿命が断たれるだけだと分からないのか?」

「ああ、分かんねぇよ。何故なら全力を出せばお前全員蹴散らせるんだからな」

「フン、寝言を――」



 トストストストスッ!



「――なっ!?」


 シゲルが素早く拘束を逃れ、リーダー以外のエルフを手刀で沈めていった。


「これで理解してもらえるかな? ボクとしても力に訴えるのは不本意だけれどね」

「クッ……」


 苦しい表情のリーダー。透かさず俺が畳み掛ける。


「その実力で取り返す? 到底無理だ。俺たちが連れ戻してやるから日没まで待ってろ」


 そう言い残して全員で里を出た。


「マサル~、あんな気に入らねぇ奴らのために本気で捜すつもりか~? あたいは絶対に反対だね」

「まったくだ。あんな連中放っておけばいいんだぞ」


 クーガとカルロスの気持ちは分かる。だが誤解されたままってのもモヤモヤするし、ここは器の大きさを見せつけてやろう。


「まぁ聞け。放置するより、こうなった原因を作った奴らに責任を取らせようじゃないか。当人たちがエルフを売り払ってウハウハなんて許せねぇだろ?」

「あ~それもそうか。しゃ~ねぇ、捜してやんよ」

「そうだな。只で儲けてるみたいでズルいんだぞ」



 これには2人も賛同せざるを得ず、手分けしての捜索を開始した。

 里で時間食っちまったし難航するかと思いきや、一番近い街の方角とクーガの鼻によりあっさりと捕捉。呑気に森の中を歩いてやがったので、俺1人で正面に立ち塞がってやった。



「そこのパーティ止まれ!」

「あ? んだよ兄にちゃん、迷子にでもなったかぁ?」

「金次第で街まで案内してやんぜぇ?」


 相手は中年男7人。内1人は拘束して猿ぐつわをさせたエルフを抱えてやがる。そして先の台詞だ。ロクでもない奴ら確定だな。


「金は払わねぇ。代わりに――」



 スチャ……



「――命を払ってもらおうか!」

「「「なっ!?」」」


 まさか多勢を前に剣を抜くとは思ってなかったようで、ビビり散らかす男共。


「その初動は命取りだぜ!」



 バスッ――バスバスッ!



「「「ギャハッ!?」」」


 刃を立てないようにし、3人を気絶に追い込んだ。後4人だ。


「クッソ、舐めやがってぇ!」

「さてはエルフを横取りする気だな!? そうはさせねぇ!」

「お前らと一緒にすんな」



 バシバシッ!



「ぐぇぇ……」

「コ、コイツ……」


 向かってきた2人も気絶させた。これで後2人だな。


「テ、テメェ、バーサーカーかよぉぉぉ!」

「ああ!? お、置いてくなよぉぉぉ!」


 最後の2人がエルフを投げ捨てて逃走を図る――が、甘いぜぇ?



 バチバチィィィン!



「「んんんぎゃぁぁぁぁぁぁ!?」」


 お馴染みのトラバサミにより悶絶しながら地を転がる。強くなったとは言えトラップを使わないとは言ってないからな。これからも使用していくつもりだ。



★★★★★



「キミたちにはすまない事をした! まさか本当に救出してくれるとは思ってもみなかったのだ。改めて礼を言わせてくれ、本当にありがとう!」


 里に戻るとリーダーの女が目を見開いて驚いてた。俺たちがエルフを抱えて戻ってきたからな。そこまで信用がなかったのかと思うと少し残念な気がするが。


「あと犯人のコイツらな。煮るなり焼くなり好きにしていいぜ?」

「「「むぐぅ! むぐぅ!」」」


 生け捕りにした冒険者たちをエルフに引き渡した。人手不足みたいだし、死ぬまで強制労働で里を支えてくれる事だろう。


「ありがとう。……しかし我ながら情けない。あの姉妹が健在な時は容易く連れ去られたりはしなかったのだが……」

「さっきも言ってたな、ドライアド家がどうとか」

「うむ。今から2年ほど前になるだろうか、この里にはガントリムとユグドミルという武に長けた姉妹が居ってな、彼女たちのお陰で里の平和が護られていたのだ。しかしある時、我らの里が傭兵団に襲撃され、多くのエルフが連れ去られてしまった」


 この手の話は昔からあるらしい。特にエルフは美男美女という美形が多く、奴隷市場では高値で取り引きされているんだとか。

 捕まえた冒険者たちは偶然にもここを見つけ、楽に金儲けをする方向に走ったんだよ。まったく、バカな奴らだ。


「いつものように迎撃に出た姉妹であったが、これは奴らの狡猾な罠だった」

「誘い出された……か?」

「その通り。空になった里を別動隊に襲撃され、殆どのエルフが捕らわれるか討ち死にするかで激減してしまったのだ。責任を感じた姉妹は新たな理想郷を創ると言い残し、この里を去っていったのだよ」

「減った割りには多くのエルフが住んでるようですが?」

「他の里も襲撃を受けたからな。生き残ったエルフが身を寄せ合い、こうして再建するに至ったのだ」

「…………」


 理想郷か。プリーステスも似たような事を言っていた。もしかしなくても、この里に居たのはプリーステスとエンプレスの2人だろう。

 だがあの2人を殺したのは俺だ。とてもじゃないが打ち明ける事はできない。


「む? 精霊が……喜んでいる?」


 リーダーが呟くと、他のエルフたちも口々に……


「この強い感じ、まるであの姉妹を知っているかのよう」

「いや、間違いない、ガントリム様とユグドミル様についていた精霊だ!」

「おお、精霊の祝福だ!」


 喜んでいる……のか? 成り行きとはいえ俺はあの2人を……。

 そう戸惑っていると、リーダーが俺の両手を強く握り締め……


「どうやらキミたちは歓迎されたようだ。またいつでも遊びに来て欲しい!」

「う……うん、まぁ……」


 真意は分からない。だが少しでも(わだかま)りが無くなったのなら、それに越したことはない。


キャラクター紹介


女帝エンプレス

:エーテルリッツの1人で、本命はガントリム・ドライアド。責任感が強く、里の平和を護る事に死力していたが、傭兵団の卑劣な罠により里が焼き払われてしまう。全ての責任を背負い里を出た後、エーテルリッツのミネルバ首領に誘われて組織の一員に。武勇に長けていたが、最後は妹の仇であるマサルに敗れて死亡。


女教皇プリーステス

:エーテルリッツの1人で、本命はユグドミル・ドライアド。姉のガントリムより性格は穏やかだが、敵と認識した相手には容赦がない。里を去った経緯は姉と同様で、ミネルバ首領の勧誘を受けて組織入りした。ミネルバの命によりマサルを殺そうとするが、返り討ちに合い死亡した。





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― 新着の感想 ―
[気になる点] ん? レベル60オーバーで未知の領域? ピガロが100を軽く超えて偉そうにしてたがそれの何倍ものレベルのモノが最初期から居るんだが、その彼女はどうなるんだ?
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