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アクティブダンジョンマスター・俺は外に出る!  作者: 親方、空からゾンビが!
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ダンジョン通信

 シルビアたちをラーツガルフに送り届けるため無人島を後にした俺たち。海賊船をDPへと変換し益々起動にのるダンジョン生活に、早くも俺は充実感を感じていた。

 そんな俺は今なにをしているのかというと、ロージアと共にシルビアの船へと乗り込み、優雅な船旅(シルビアにとっては帰国するだけだが)を楽しんでるってわけだ。


「風が心地いいですね~。天気も良いし波も穏やかです」

「はい。この様子なら無事に帰国できるでしょう」


 ――と言いつつロージアとシルビアが紅茶を手にしつつ笑みを浮かべる。


「でもなぁ、俺としちゃ魔物でも出てくれなきゃ面白くないぜ」

「うむ。突撃してきた鮫を掬い上げ、その場で調理する。踊り食いが楽しみだわい!」

「はぁ、これだから男性陣は……」

「やはりマサル様も戦がお好きなのですね」


 二人に呆れられた。でも仕方ないだろ? 異世界に来たなら誰だって活躍して有名になりたいって思うもんだし。

 そう思い魔物がいないかと海中を覗き込んでいると、俺の脳裏とロージアの双方から通知音が。


 ピリリリリ! ピリリリリ!


「え、ええ? ロージア様から妙な音が?」

「シルビア様、驚かせてごめんなさい。マサルさん。ダンジョン通信に通知が届いてるようです」

「ああ、俺にも届いた。内容はっと……」



 ・NEW→ダンジョンバトルの申し込み

 ・ダンジョン運営について

 ・ダンマスへの就任祝い



「ダンジョンバトルの申し込み? 他にも通知が届いてるな」

「下二つは過去の通知です。さてはマサルさん、キチンと読んでませんね?」


 なんかチュートリアルっぽい案内が届いてたようだ。ダンジョンのアレコレはロージアに聞いてたから目を通してないんだよなぁ。


「あ、後で読んどくよ……。それより今はダンジョンバトルについてだ。バトルって言うからにはダンジョンで戦うって意味だろ?」

「その通りです。簡単に説明すると、ダンマス同士が互いのダンジョンを接続して相手のダンジョンを攻略するものや、眷族同士が直接戦う眷属バトル、それから先にゴールを目指したり目的の物を見つけたりするローカル的なものもありますね」

「おおっ!」


 聞いてるだけでワクワクが止まらない!


「誰が挑んできたか知らないが、俺に喧嘩を売るとはいい度胸だ。返り討ちにして吠え面かかせてやるぜ!」

「別に喧嘩を売られてはいませんよ。それよりも内容を確認しましょう」

「あいよっと」


 表示された内容を脳内で読み上げていく。



 0001 このダンマスがすごい!(ミリオネック) 

 よぉ、俺様は世界一のイケメンにして馬獣人のオグリってんだ、まぁ宜しくしてくれよな。ん? 俺様のイケテル顔を拝みたいって? まぁ聞け。まずは俺様の生い立ちから説明してやろうじゃんか。んん? イケテル俺のナイスガイな話をもっと聞かせろって? フッ、しゃ~ね~な。そこまで言うなら――



 プツン。



「ロージア、どうやら誤送信らしい」

「え? そんなはずは……」

「どっかのバカが間違ったんだろう。気にすんな。さぁて、潮風に当たってくるか」

「ちょ、ちょっと待って下さい、今確かめてみます…………ってマサルさん、やはり他のダンマスからのバトル申請じゃないですか。どうして無視するのです?」


 どうしてって、そりゃ……


「相手がバカだから?」

「……相手がバカなのは否定しませんが、断るか受けるかハッキリして下さい」

「分かったよ。まぁ船の上じゃ他にやる事もないし、一つ受けてやるか」


 つ~わけで脳内で了承を伝えると、すぐさま返事が返ってきた。



 0003 ◆オグリ(ミリオネック)

 おっけおっけ! じゃあルールは俺が決めていいよな? 今回は互いの眷族3体を対決させるじゃ~ん。そんでもって先に2本先取で勝利だ。分かりやすくていいよな? でもって勝者の報酬だが――


 0004 ◆マサル(シルビア号)

 待て待て待て、勝手に話を進めんな。俺には眷族が居ないんだから、その条件じゃ受けられねぇよ。


 0005 ◆オグリ(ミリオネック)

 ああん? 眷族が居ないだぁ? 見たところダンジョンを開放してから10日も経ってるじゃんか。普通は最初に得たDPで強めの魔物を眷族にするじゃ~ん。それをしないってこたぁダンジョンに入れ込んでるって事かぁ? そんなんじゃこの先苦労するじゃ~ん。



 コイツ喧しい上に余計なお世話だな。それに最初に得たDPはリヴァイアサンとの戦闘で消耗しちまった(名前忘れたけどメッチャ強力な壁を生成したんだよなぁ)し、ダンジョンすら単調な作りになっている。うん、端から見てもショボいダンジョンだな。

 しか~し、挑戦を受けておきながら取り消す真似はしたくない。幸いにしてDPには余裕があるし、今すぐ魔物を召喚して眷族を選抜しよう。


「ロージア、魔物を召喚する。俺に召喚できる範囲で一番強いのはどの魔物だ?」

「Dランク全般になりますね。但し、DP1万程度ではせいぜい2、3体がいいところでしょう」


 なら2体召喚すればいいな。1体は捨て駒にすりゃいいんだし、眷族2体には頑張って勝利をもぎ取ってもらおう。



 0006 ◆オグリ(ミリオネック)

 で、どうするよ?


 0007 ◆マサル(シルビア号)

 ああ。その挑戦、受けてやるぜ!


 0008 ◆オグリ(ミリオネック)

 ヒュウ♪ そうこなくっちゃな! じゃあ眷族3体の対決で、勝負は今から一時間後に始めるじゃ~ん。勝利者特典は相手のDP1万ポイントじゃ~ん。


 0009 ◆マサル(シルビア号)

 おう――――って待て待て! そんなに持ってかれたら生活できねぇよ! せめて5000ポイントにしろ。それから眷族以外の助っ人の参戦も認めてもらうぜ。


 0010 ◆オグリ(ミリオネック)

 おっけおっけ。なら5000ポイントに変更な。でもって助っ人? まぁ好きにしていいじゃんか。そんじゃ一時間後を楽しみにしてるじゃ~ん!



 プツン



「――ってマサルさん、5000ポイントも賭けるだなんて、もしも負けたらどうするつもりです!?」

「そう怒るなロージア。要は負けなきゃいいんだよ」

「だからって……」

「なぁに。何も無策で挑むわけじゃないよ。ちゃんと作戦は考えてあるって。詳しくは部屋で話そう」


 シルビアたちの前で魔物を召喚するのは良くないと考え、俺たちに用意された客室へと戻ってきた。


「そんじゃさっそく召喚させてくれ」

「いきなりですか? まぁいいですけれど。私のおすすめはバランスの取れたプロトガーディアンです。人型の簡易的なゴーレムで、コストは5000ポイントになります」


 脳裏に現れたCGには幼少期から更年期まで様々な種類が用意されていた。もちろん性別も選択可能で、体型までもがオーダーできるらしい。


「うん、どうせならおん――」

「女性への設定は認めません」

「――ってなんでだ?」

「ご自分の胸に聞いて下さい」

「そんな真顔で言われても……」


 ロージアが拒む理由が俺に有るらしいが、さっぱり分からないんだなこれが。

 でも俺そのものに原因が有るとすれば……




「あ、分かったぞ。プロトガーディアンが俺に惚れたら大変だもんな!」

「…………」




「バカなんですか?」

「いやいや、そういう意味で言ってきたんじゃないのかよ!」

「違います。鏡見て出直してきて下さい」

「そこまで言うか!」

「では正解を言います。正解はマサルさんがスケベなせいで、プロトガーディアンにも被害が出るからです」


 あ~~~なるほど。




「それは仕方なくね?」

「仕方なくありません! 例え眷族と言えど節度を持って接しなければ、いざという時に見捨てられてしまいますよ?」

「う~ん、捨てられるのは嫌だなぁ」

「でしょう?」

「分かったよ。節度を持って接するから性別は女の子――」

「だからダメって言ってるじゃないですか!」


 その後も交渉は続いたがロージアは譲らず、最終的に俺が折れる形で決着した。


「分かったよ。男でいいから召喚させてくれ」

「分かりました。では――」

「あ、爺さんは勘弁してくれよ?」




 ――という俺の注文が聞き入れられたか居なかは分からないまま、激しい光が床から立ち上がる。そして視界が晴れた時、俺たちの前に姿を現したのは……




「やぁ、キミがボクのご主人かな? 以後宜しくお願いするよ。フッ」前歯キラ~ン


 20代前半の爽やかイケメンだった。髪は茶髪だし、一言でいうとジャニーズ系だ。


「……ロージア。まさかとは思うが、自分の好みで召喚した?」

「…………」




「い、いいじゃないですかたまには! それに浮気をするつもりはありませんから心配には及びません」

「浮気はしない? ――ってロージア、ついに俺を事を認めてくれたのか!? よぉし、もう一生大事にするから――」

「早まらないで下さい」



 バチ~~~ン!



「いっでぇぇぇぇぇぇ!」

「抱きついていいとは言ってませんよ?」

「すみましぇ~ん……」

「フッ。ご主人、ここはボクにお任せを――」



 バチ~~~ン!



「いったぁぁぁぁぁぁい!?」

「名無しのくせに、私に抱きつくなんて100年早いですよ?」

「すみましぇ~ん……」


 まさかのジャニーズガーディアン(←勝手に命名)までもが撃沈!? ロージアを攻略できる日は遠そうだな……。


キャラクター紹介


ゲイザー

:反乱を起こしたブローナの魔の手からシルビアを救出し、僅かな兵士と共に大陸を脱出した老将。卑怯な行いや曲がった事が大嫌いで、正当な後継者であるシルビアを亡き者にしようとしたブローナに対し、極めて激しい憤りを露にしている。

 無人島に逃れてからは死を覚悟していたが、マサルとの出会いにより九死に一生を得る形に。

 島を出るまでの僅かな間、マサルの剣術訓練に付き合ってくれていた。

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