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アクティブダンジョンマスター・俺は外に出る!  作者: 親方、空からゾンビが!
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甘い夢

「う~~~ん……」


 ダメだ、訳が分からん。


「マサルさん、何か思い詰めているようですね。何があったのでしょう?」

「知ってますわよ? コイツったらカルロスと一緒に劇場に入り浸っているのですわ。どうせエメローナとかいう踊り子が目的なのですわ。イヤらしいったらありゃしない」

「でも帰って来たのはマサルくんだけだよ~? カルロスは~?」

「そこまでは知りませんわ」


 外野を無視して脳裏で情報をまとめる。

 劇場の裏はディオスピロスの拠点になっていたのは間違いない。だが俺が入った時にはすでに荒らされた後だった。これがおかしな点その1と。


 その後にディオスピロスの頭を拘束して、王都の闇ギルドに引き渡したんだが、その時に礼を述べたんだ。情報提供に感謝するってな。そうしたら首領のベルクのやつ、「ビガロだと? そんな名前のやつぁうちには居ねぇ」と抜かしやがった。これがその2だ。


 続いてベルクが、「ま、ビガロが何者かは知らねぇが、一応は感謝しようじゃねぇか。それより冒険者ギルドのエルウィンだ。アイツはどうも臭う。やつには気をつけろ」と言ったんだ。よりにもよってギルマスのエルウィンなんだよ。そりゃちょっとした女性問題はあったけど疑うほどかと。これがその3な。


 そして極めつけなのが冒険者ギルドに立ち寄った時なんだが、「ディオスピロスの拠点を突き止めたと? 分かりました。その件はこちらで預かりますので、マサルさんは手を引いてください。それからエメローナへの接触も控えていただけると助かります」と、直接ギルマスに言われたんだよ。これがその4だ。


 全部で4つの謎――いや、ビガロが正体不明ってのがその5になるから5つか。

 とにかくコイツらが複雑に絡んでいて、何が何やらって感じだな。俺としてはベルクのやつを信用したいが、敵対しないってだけで嘘はつかないって契約じゃないんだ。そう考えるとま~た騙されてるのかもなぁ。


「マサルさん、ディオスピロスは壊滅したのですよね? それに追い詰められた高遠と十針はしばらくは来ない。1つは解決したとして前向きに考えてみては?」

「そうかなぁ……」


 ロージアが言うんならって事で、頭の片隅に追いやっておくことに。

 あ~しっかし考えがまとまらん。今日はもう寝ちまおう。




『――――きて――さい』

『――ん? 誰かが呼んでいる?』




『――――きてください』

『その声は……ロージアか?』




『そうです、()()()ロージアですよ? 早く起きてください』

『お、おぅ、分かっ――――くぅぅぅ、眩し~~~い!』


 起き上がるのと同時に目を開けると、強い日差しで反射的に顔を覆った。爽快な青空からジリジリと太陽が照りつけてるんだから当たり前だわな。

 それとは別に体の下からは妙にザラザラした感触が。視線を下に向ければそこは砂地。何でやと疑問に思う間もなく、水平線の向こうに走っていくロージアの姿が。


『え……海?』

『何をしてるんですかマサルさん。せっかく海に来たのですから、早く泳ぎましょう』

『そ、そうだな。せっかく――!?』


 おいおいマジか!? ロージアのやつ、メッチャ露出の激しいビキニじゃねぇか!


『フフ、どうしました? 早くしないと時間が無くなっちゃいますよ?』

『い、いや……今行くよ』


 ロージアがきょとんとした顔で俺の下へと戻って来ると、スッと手を差し出してきた。


『ほら、早く行きましょう』

『分かった。分かったけど……』

『ん? どうしてそんなに前屈みに?』

『な、何でもない!』


 そりゃロージアが前屈みになると俺も前屈みになるっつ~の。

 何故かって? んなもんお前、ロージアのアレが今にもポロリしそうだからだよ!


『アハハハ! 分かってますよマサルさん。私の体に興奮してるんですね?』

『…………』


 はい図星です。

 しかしなんつ~夢だ。これが正夢なら死んでも悔いは――残るだろうな、うん。何せこれは夢だ。ロージアがこんなに積極的なわけがない。


『もぅ、仕方ないですね~マサルさん。そんな目で見られたからには、期待に応えなくてはならないじゃないですか』


 海に入るのを止めたのかロージアが砂浜で横になると、俺に向かってウィンク。そして投げキッスを――




『!?』


 その時、俺の脳裏に激しい既視感が沸き上がってきた。この光景、前にも見たような……


『ほらほら~、早くいらしてくださいな~』


 更に悩ましいポーズを決めるロージアを見た俺は、ようやく気付くことができた。


『そうか、思い出したぜ!』


 これは夢という一言では片付けられない。なぜなら俺は、これとそっくりな場面を見たことがあるんだからな。


『この女、ロージアのフリは止めろ!』

『マ、マサルさん、何を?』

『止めろと言っている! テメェの正体はエメローナだろ!』



 パリーーーン!



 相手を看破したのと同時に今までいた浜辺が壊れていく。その後露になったのは、俺が寝ていた寝室だ。



『クッ、後少しというところで……。願望を表した夢は完璧だったはず!』


 ベッドの近くには半透明になったエメローナが悔しげに俺を睨む。


「バカが! ロージアはテメェみたいな淫乱じゃねぇ、もっと清楚なんだ! それにテメェの水着は劇場の衣装まんまじゃねぇか、この売女め!」

『なっ!? 誰が売女よ、20そこらの若造のくせに! お前みたいな生意気な若造は黙って魅力されていればよかったものを……』


 魅力? そうか、コイツの正体は……


「テメェ、さてはサキュバスだな?」

『よく知っているな? いかにも私はサキュバス。名をエメローナ。ナイトメア様に遣えし四天王の1人だ』

「ナイトメア……だと?」


 しかも四天王と来た。


「そうか。高遠が言っていた二人のうちの1人はテメェだな?」

『チッ! あの新参者め、余計なことをペラペラと……。まぁいい。どのみちラーツガルフが落ちることに変わりはない』


 半透明のエメローナが更にに薄くなっていく。


「あ、テメェ、逃げる気か!」

『フン、命拾いをしたなマサル。だが次は無いと思え!』


 捨て台詞を残し、完全に消滅するエメローナ。あの女、何らかの手段で精神だけをダンジョンに侵入させて来やがったか。



 バタン!



「マサルさん、ダンジョンに侵入者が!」


 エメローナを感知したであろうロージアが寝室に駆け込んできた。


「たった今逃げてったよ」

「に、逃げた? それでマサルさんは無事なのですか!?」

「ああ、幸いにしてな」

「良かったです! マサルさんにもしもの事があったらと思うと……」

「心配かけてスマン。もう大丈夫だから部屋に戻っててくれ」


 じゃないと俺の前屈みが収まらん。


「あ、あの……どうして前屈みに? ハッ!? やはりどこかケガを!」

「いや大丈夫、大丈夫だから!」


 マジヤバい。エメローナのせいでロージアの水着姿が重なって見えるんだ! このままでは()()()


「見せてください! 例え少しのケガでも放置するのは後々――」



 バッ!



「――え?」

「あ……」


 股間を押さえていた手を退かされ、元気な()()がこんにちはをする。当然ロージアは顔を引き吊らせ……


「……マサルさん、この非常時に何を?」

「い、いや、ちょっと待て! これには海よりも深~い裏事情が――」

「なるほど。ならば詳しくは聞きません」


 それは助かる。


「ですが私の気がすみませんので……」



 バチーーーーーーン!



「ヘブシッ!」

「ではお休みなさい。侵入者は私の方で追跡しておきますのでご安心を」

「お、おあふみ……」


 赤くなった頬を擦りながら二度寝した。

 くそっ、覚えてろよエメローナ。この借りはぜってぇ返す!



★★★★★



「――で、よりによって()()か」

「はい。大きめな邸で且つ王都からも離れたところですからね。人目を避けて活動するにはもってこいだったのでしょう」


 朝早くロージアから乱暴に叩き起こされた俺は、エメローナが潜んでいる邸に乗り込もうとやって来た。

 でだ。その潜伏先というのが元ギルマスのデヴォンの邸だったっつ~わけよ。


「またゾンビとか沸いてこないですよね? せっかくの()()が汚れるのは嫌だなぁ」


 ――等と呑気なことを言うシュワユーズ。ソードダンサーの話を聞いてからエメローナに対抗心を燃やし、薄手の上着にミニスカという格好で参戦(←俺的には嬉しいけども)しやがった。


「まったく、これだからシュワユーズははしたないのですわ。貴女のような存在が魔族全体のイメージダウンに繋がると理解してほしいですわね」


 そういうブローナも相変わらずセレブのような格好だがな。魔物相手に着飾っても意味ないだろに。


「フフン、剣で勝てないからって挑発~? それに派手過ぎる服装でブローナ1人が浮いてますけど~?」

「クッ、ファッションセンス皆無な貴女に言われたくありませんわ! ジャニオ様も何とか言ってくださいまし!」

「い、いやぁ、どちらも良い衣装だと思うよ、うん……」


 あんまジャニオを困らせるなっての……。


「全員私語は謹んでください。此度の戦いはダンジョンの存続にも関わるのですから」

「どういう事ですの?」

「どうやらエメローナはカルロスの精神体に混ざって侵入してきたようなのです。このまま放置すると次々と刺客を送り込まれる恐れがありますので、何としてでも早期討伐を実現しなければなりません」


 知っての通りカルロスは完全に魅力されていた。今はダンジョンの一室でクーガに見張らせているが、いつまでも大人しくはしていないだろう。俺としてもカルロスを殺すなんて事はしたくないしな。


「じゃあ準備はいいか? 見たところ見張りは居ないが、中はどうなってるか分かんねぇ。罠に注意して慎重に捜索するぞ」



 ギィィィ……



「中は……よし、誰も居ないな。じゃあ手分けして――」

「侵入者だ、侵入者が来たぞーーーっ!」

「何っ!?」


 通路の奥にいたらしい冒険者風の男が俺たちに気付いて大声をあげる。するとあちこちの部屋からゾロゾロと男共が現れ、壁のように立ち塞がった。


「「「侵入者を殺せ、侵入者を殺せ、侵入者を殺せ……」」」

「ひっ!? なんなのこの人たち、凄く気持ち悪い!」


 シュワユーズが剣を落としそうになる程の不気味さが男たちにはあった。


「コイツら全員魅力されてんのか」

「――の、ようですね。ですが魔物でない以上殺すわけにはいきません。気絶させるなりしてエメローナの下へ急ぎましょう」


 やり難いが仕方ない。戦う際は手加減していこう。


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