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アクティブダンジョンマスター・俺は外に出る!  作者: 親方、空からゾンビが!
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軌道に乗るとこうなる

 転生してから早10日。無人島で知り合った謎の美少女ロージアがダンジョンコアとしてサポートしてくれるという嬉し恥ずかし頼もしい展開に恵まれ、順調にDP(ダンジョンポイント)を稼ぐことができている今日この頃。

 最初は入口とコアルームを直結したルートしかなかったのが、今では複数の分かれ道を用意できるまでに至っている。


「マサルさん、3日前に捕獲した野ウサギが無事出産を終えました。合計3羽でしたので、3ポイントのDPを上乗せできます」

「でかした野ウサギ!」


 リヴァイアサンとの戦闘でDPの殆どが消し飛んだのを目の当たりにし、つくづく俺は思いしったね。こういう地道な努力こそが大事なんだってな。


「それから野草も順調に育ってますので、1日の収入は300ポイントを越えました」

「やっぱ疑似太陽を用意したのがデカかったな。提案してくれたロージアにはホント感謝だぜ」


 この疑似太陽ってのはダンジョンの中で浮遊させてる偽物の太陽で、本物と同様に植物が光合成を行えるようになってるんだ。お陰で植物が枯れずに済むからDPを定期的に摂取できるってわけだ。ありがたいねホント。


「これは私の知り合いにいるダンジョンマスターが行っていたものなので、私の知恵ではないのですけどね」

「知人にダンマスがいるのかよ! 道理でダンジョンに詳しいはずだ」


 そんなロージアと知り合えたのはマジで奇跡じゃないかと思う。一般人がダンマスと知り合えるのかは別としてな! どうせ聞いたところで女の子の秘密とか言われて教えてくれないだろうし。ともあれ……


「そろそろ島の外に出たいよな。ここって無人島なわけだし、雑魚ばっかでつまんね~と思ってたんだ」

「だからどうしてそう先走るのです……。それはこの島に強い魔物がいないだけで、別の大陸にはもっと恐ろしい魔物がうようよしてるんですよ? 充分に足場を固めなければマサルさんなんてデコピンで倒されてしまいます。リヴァイアサンとの戦闘をお忘れですか?」

「そ、それは……まぁ……」


 痛いところを付くなぁ。でも確かにあんなDPを散財するような戦いかたは出来ないよなぁ。DPが枯渇したら最後だし。

 でも待てよ? この島って低級の魔物しかいないのに、なんだってリヴァイアサンが現れたんだ? そもそもアレが出てこなきゃこんな事には――って言っても遅いけどな。


「とにかく、まずはしっかりと鍛練を積んで、20日後のダンジョン開放に備えましょう」

「そういやダンジョン作り始めてから30日後に自動開放されるんだっけ」

「そうです。動物のみならず魔物だって入ってくるのですから、簡単にコアルームに到達されないようにダンジョンも作り込む必要がありますよ? コアルームにはダンジョンコアがあるのですから」

「けどなんでコアルームに到達されちゃマズイんだ?」

「ですからダンジョンコアが――」

「でもダンジョンコアはロージアが取り込んだんだろ? なら到達されても問題なくね?」




「そういえば……そうですね……」

「だよね」

「すみません。少々イレギュラーなので知人に聞いてみます。しばしお待ちを」


 自ら引き起こしたイレギュラーのため、顔を赤くしたロージアが瞳を閉じて念話し始める。

 やがて結論が出たのか、ニッコリと微笑んで残酷なことを告げてきた。


「このままだと不公平なので、取り込んだダンジョンコアをコアルームに戻そうと思――」

「なぜそうなる!」


 この際不公平でもいい。俺に有利なら今のままでいいやん! いいやんいいやん!


「まぁ戻すというのは冗談ですけど」

「冗談かよ!」


 冗談を言う性格じゃないと思ってただけに凄く意外だ。


「それで、結局のところどうなるんだ?」

「私が無事ならばコアルームに侵入されても問題ありませんが、荒らされる可能性があるという事は覚えておいてください。極力は侵入されないように注意しましょう」


 つまりロージアを護りきればいいわけだ。へへ、そんなの――


「楽勝じゃん――とか思ってませんか?」

「えっ? なんで分かった!?」

「おもいっきり顔に出てます。マサルさんは私を護ると言いました。ですが今のマサルさんは油断や隙が多く、ついでにIQが低いところがとても心配です」

「IQ低いって断言された!」

「そ・こ・で、ダンジョン開放までの20日間で、独自のダンジョン運営術を身につけてもらいます」

「うへぇ……」


 こちとら高校卒業したばっかで大学に入ったら遊びまくるぞ~って気合い入れてたのに(←気合いの入れどころを間違ってる人)、それを無視するかのような展開に心が萎える。


「不満そうですね?」

「うん、そりゃね。ほら、俺だって男だしさ、男は腕っ節にもの言わせてなんぼだろ? そんな俺が部屋の中で座学とか絶対似合わないと思うんだよ」

「つまり、外で剣を振るいたい――と?」

「それ! まさにそれ! 俺に必要なのは学じゃなくて武なんだよ!」

「そこまで仰るのなら……」


 お? どうやら分かってくれそうな雰囲気だぞ!




「私を倒してからにしてください」

「なんでぇぇぇ!?」


 期待を裏切られまくりんぐ!


「いくらなんでもロージアに負けるなんて事は――」

「いいでしょう。そこまで仰るのなら、手合わせしてください。自信があるようですし、受けてくださいますね?」

「ああ、もちろん」

「ふむ。では私が勝ったら当分の間は座学を学んでもらいます。せめて人並みの知力を叩き込んで差し上げますので」

「またバカにされた……。けどまぁいいぜ。ちゃんと手加減はするから安心してくれ」



 10分後……



「そんな……バカな……」チ~ン

「お粗末さまです」パンパン!


 まさかのロージアに完封負けで大の字に倒れる情けない俺。

 だってよ、こっちの攻撃がぜんっぜん当たんないんだぜ? しかも軽く捌きつつカウンターで鳩尾当ててくるしよ。

 でもさすがに一人旅してるだけはあると思ったね。そうでもなきゃロージアみたいな美少女は道中で襲われたり――ん? んん!? こ、こ、このロージアを見上げる絶妙なポジション、スカートを見上げる絶景が!


「では約束通りダンジョンのイロハを叩き込んで差し上げます。さぁ、早く立ち上がってください」

「い、いや、もうちょっと休ませてくれ」

「何を言ってるのです。もう充分休んだではありませんか」

「いやいや、打ち所が悪かったみたいで腰がちょっと……」

「はい? 腰に当てた覚えはありませんが」

「あ……そ、そうだっけ? じゃあ腕だ。腕を打ったみたいで……」

「では少し拝見させてくだ――」


 ああ! 今動かれるのはマズイ!


「スタァァァァァァップ! そこから動いてはならぬ!」

「は、はいぃ?」

「今とってもいいところなんだ!」

「いいところ……ハッ!?」


 ヤバッ! スカートを押さえられたって事は……




「見てましたね?」

「いいえ」

「見ましたね?」

「いいえ」

「嘘はいけませんよ?」

「いいえ」

「あくまでも惚ける気ですか?」

「いいえ」

「雲1つ無い空には何が写ってましたか?」

「雲1つ無い()()()な空が広がってました」




 バチ~~~ン!


「いっでぇぇぇ! ただ見えてたもんを見てただけなのに酷くね!?」

「いいえ、全然酷くありません。寧ろビンタ1発で済ませ私に感謝してください。もしも道中で出会った他人なら半殺しですよ?」

「大袈裟な……」

「試してみますか?」

「全力で遠慮します。ロージア様にとって、俺みたいな一般人をボコすのは容易だと分かってますので」

「分かっていただけて何よりです」


 ええ。もう()()ほど理解しましたよっと。


「ではお詫びの印という事で、マサルさんの所持品である()()を私にいただけませんか?」

「ソレって……ああ、キックボードか」

「キックボードというのですか。出会った初日から気になっていたのです。移動する度に楽しそうだなと」

「別に構わねぇぜ? そこまで大切って訳じゃなし、ロージアにやるよ」

「本当ですか? ありがとう御座います!」


 お詫びの品なんだがお礼を言われちまったな。つ~か俺にとっちゃ死亡原因とも言える曰く付きのアイテムだから、手離せたのは寧ろ清々する。


「……コホン。では時間がもったいないのでさっそく座学に入りますよ。そもそもダンジョンというものは……」




 それから更に20日後。効率良く貯まったDPを使い、目覚ましい進化を遂げたマイダンジョンの姿が!


「どうだロージア? 一階層とは言え、会心の出来栄えだろう!」

「はい。分かれ道、魔物の配置、罠の設置、宝箱の設置と、初心者ダンマスにしてはまずまずの仕上がりでしょう」

「だろう?」


 何せ頑張ったからな、俺。来る日も来る日もロージアに罵倒されながら必死に学んだ甲斐が有ったってもんだ。


「せっかくだし、山の天辺から見下ろしてみようぜ」


 20日ぶりに山へと登り、ダンジョン入口のある湖を見下ろしてみる。


「さすがにこの高さじゃ見えないか」

「寧ろ見えてる方が問題ですよ? ダンジョンというものはひっそりと存在してこそダンジョンなのですから」


 それもそうか。


「さ、早く戻りましょう。今日からは武術を叩き込みますので、そのおつもりで」

「ええ~!? ダンジョンの開放記念日くらい休みにしようぜ? どうせこの世界も建国記念日とか祝日なんだろ?」

「開放記念日が命日になるダンマスも多いですけどね」

「うぐっ!」


 そう言われると、途端に地に足が着いてない感覚が……


「さぁ、戻って剣の稽古ですまずは私より強く――ん?」

「どうした? 海なんか眺めて――って、アレは船か!」


 小型の船がこの無人島に近付いてるのに気付いたんだ。さて、ロージア以外とは何気に初遭遇だが……


モンスター紹介


リヴァイアサン

:ランクSSSに指定されていて、海中では最強と恐れられている魔物。

 普通の人間――いや普通じゃなくても倒すのは不可能に近い相手であったが、クライマックススキルによりリヴァイアサンと同等のステータスを得たマサルは辛くも勝利を収めた。

 通常は深海に生息し人前には滅多に現れないはずが、なぜ無人島の湖に居たのかは謎である。


 ちなみに魔物のランクはG~SSSまであり、SSSが最高クラスとなっている。

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