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アクティブダンジョンマスター・俺は外に出る!  作者: 親方、空からゾンビが!
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いきなりクライマックス!?

 湖の畔で遭遇した女の子に一目惚れした俺こと入表勝(いりおもてまさる)。自分の目的がスッポリと頭から抜け落ちた状態で、名前も知らぬ女の子に愛の告白。

 その結果!




「ギュォォォォォォ!」

「危ねぇっ!」



 ドゴォォォ!



 何故かリヴァイアサンと戦う羽目になりましたと。いやぁめでたしめでたし――



「ギュァ!」

「だから危ねぇって!」



 ドガン!



 ――って、全然めでたくねぇぇぇ! だってリヴァイアサンだぞ!? 海の支配者なくせに空飛んでんだぞ!? 巨体だからリーチが長ぇし攻撃を回避するだけで精一杯だっつ~の!


 そもそも何故こうなったかというと、ほんの一時間ほど前の出来事なんだが……



~~~~~



 湖の畔に俺好みの美少女! これを運命と言わずして何という! いざ、彼女の元へ!


「やぁこんにちは、俺の名前は入表勝(いりおもてまさる)。マサルって呼んでくれ」

「は、はぁ……」

「こんなに天気の良い日に出会ったんだし、是非ともキミの名前を教えてほしい」

「え~と……ロージアです」

「ロージア! イメージ通りの素敵な名前じゃないか。可愛いいキミにピッタリだよ。うん、もしキミ以外にロージアと名乗る子がいたとしても、それは紛い物に違いない。キミこそが唯一無二のロージアさ!」

「あ、ありがとう……御座います?」


 よし、いいぞ。初対面の女の子はひたすら持ち上げてイメージアップを図れって、ナンパ師の友人が言ってたからな。ロージアの俺に対する印象はうなぎ登りだろう。

 後は勢いに任せて交際を申し込む。うん、これで完璧だ!


「ところでマサルさん、貴方はここで何をなさっておいでで?」

「その事だけど、真剣に聞いてくれ」

「は、はい?」

「ロージア、ボクと付き合っ――」




 ザバァァァ!




「――って、なんだぁ? 湖から竜の頭が出てきたぞ!?」

「あれは海の支配者と言われているリヴァイアサンです」

「なるほど。海の支配者リヴァイアサンね」



 …………。



「いやいや、なんでそんな奴が湖に!? おもっくそ場違いやん!」

「それは――」



「ギュォォォォォォ!」

「うっく!?」


 凄まじい咆哮だ。10メートルも満たない距離だし、あれだけで膝が笑ってやがる。


「何なんだよコイツ! こんなところに居るのもおかしいし、怒らせた覚えもないぞ!?」

「落ち着いてください、マサルさん。事情を話せば分かってくれます」

「事情を?」




「ギュォォォォォォ!」

「うっひぃぃぃ! 絶対無理! コイツぜって~聞く耳なんか持ってねぇって!」


 こうなりゃ仕方無い。喧嘩の十八番(おはこ)、逃げるが勝ちだ!


「ロージア、こっちだ!」

「え、ええ?」


 困惑するロージアの手を引き、その場から走り去る。あんなバケモンに挑みたくねぇし、か弱い女の子を見捨てるのもノーだ。


「なんてこった、こんな事なら大人しくダンジョンを作っとくんだったぜ」

「ダンジョンを作って……もしやマサルさんはダンジョンマスターなのですか?」


 やべっ、つい口が滑っちまった。けど今は気にしてる隙はないな。つか知ってるなら話は早い。


「そうそれ、ダンジョンマスターってやつ。まだダンジョンは持ってないけどな」

「それは色々と危険なのでは……」

「うん、まぁ……」


 い、言えない。アクティブに行動したいからダンジョン作らずに外に出てるとか。


「よし、だいぶ湖から離れたな。リヴァイアサンは水中でしか活動できないだろうから、こごでくれば大丈夫だろう」

「はい、ありがとう御座います。……あの~、さっきの話の続きなのですが」

「つづき? ――ああ、ゴメンゴメン。告白の途中だったね。……コホン。じゃあ改めて言うよ。ロージア、俺と付き合ってほしい」

「……はい?」

「だからさ、俺の恋人になってほしいんだ」




「何を言っているのですか?」


 冷静に返された。


「あのですね、私とはつい先ほど出会ったばかりですよね? なのにいきなり交際を申し込むというのは(いささ)か常識がないのでありませんか?」

「う……」

「それに買い物に付き合うとか、そういう話でもないのですよね? 交際するのなら貴方という人物をよく知る必要があります」

「はい」

「まずはお友達から始め、文通などで交友を深めるのがセオリーというものです。分かりましたか?」

「はい……」


 異世界で最初に知り合った女の子から説教される俺哀れ! しかも筋が通ったこと言ってるだけに反論できねぇ……。


「ところでマサルさん。この島は無人島のようですが、何をなさっていたのでしょう?」

「あ、やっぱ無人島なんだ。実は……」


 一応は友達になった(←多分)ことだしある程度の情報は共有すべきだと考え、転生した事実は伏せてダンジョンマスターだということを打ち明けた。ついでにダンジョンに隠る気はないってことも。


「表に立つダンジョンマスターですか」

「ああ。ダンジョンでの生活より冒険者として活躍したいと思ってるんだ」

「ですがそれは大変危険なことです。ダンジョンマスターであるならば最大の弱点をご存知でしょう?」

「ダンジョンコアを破壊されたらそこで俺の一生も終わり――だろ? でもよ、そんなことを気にしてたらこの世界で生き抜くなんてできないと思うんだ」


 なにより冒険者に成りたいって欲求が強いんだけどな。


「それにさ、俺には切り札が有るんだ」

「切り札……ですか?」

「ああ。それがあればどんな強敵にだって立ち向かえる。さっき遭遇したリヴァイアサンだって、このスキルにかかりゃ――」



『緊急連絡、緊急連絡、リヴァイアサンが再度接近中。ただちに――』



「ギャォォォォォォ!」

「んげぇ!?」


 リヴァイアサンが空飛んでるんだが!? いや、この際それはどうでもいい。問題は明らかに俺を敵視してるって事だ!


「いけません! ここは私が事情説明しますので、マサルさんはお逃げください!」

「いや、それはできねぇ」

「駄々をこねてる場合じゃ――」

「い~や、俺は逃げないぜ? こんなバケモンを前にして、女の子見捨てて逃げれるかってんだ!」

「ちょ、マサルさん!?」


 

~~~~~



 気付けば俺は走り出し、リヴァイアサンに対して斬りかかったんだ。その結果石剣は折れちまったが、俺の心は折れたりしねぇ。


「ギャォォォォォォ!」

「さっきから咆哮ばっかかましやがって、そんな威嚇でビビると思っちゃ大間違いだぜ」



 ドゴン!



「――っと危ねぇな!」


 丘が平原になるくらい体当たりが強烈だ。


「いけませんマサルさん! それ以上挑発しては――」

「悪ぃなロージア。やられっぱなしで終わるのは性に合わないんだ。だからコイツとは白黒つくまで戦ってやるぜ」




 オルドの爺さんがくれた――




「いくぜリヴァイアサン!」




 たった一つの神スキル――




「これが――」




 どんな敵とだって――




「俺とお前の――」




 互角にやりあえる!




決戦の舞台(クライマックス)だぁぁぁぁぁぁ!」



 シュィィィィィィィン!



「ぬぅ? このスキルは……それにその不思議なオーラは何なのだ?」

「驚いたかリヴァイアサン、これが俺の切り札――決戦の舞台(クライマックス)さ」

「クライマックス……だと?」

「ああ。このスキルは相手と同等のステータスを得た上で、決着がつくまで第三者からは邪魔されねぇのさ」


 テンション上がった勢いで喋っちまったが、このリヴァイアサン会話できるんだな。まぁ今さらか。


「同じステータスだと? 人間風情が戯言をっ!」



 ズゥゥゥン!



「むぅ、勢い余って潰してしまったか。やはり力の差は簡単には埋められんものよ――」




「へっ、それはどうかな」

「何っ!? まさかこやつ、我を持ち上げようと!」

「言ったろ? 同等のステータスを得たって。今のお前とは体格の違いしか――」



 ブン!



「――ねぇんだよ!」



 ズズゥゥゥン!



 持てる力を振り絞り、遠くへとブン投げてやった。のしかかって来た時は潰されたと思ったけど、これもクライマックスのお陰だぜ。


「さぁて、追撃といくか」


 投げ飛ばしたリヴァイアサンを追って空高く飛び上がる。どちらかが倒れるか降参するまで終わらねぇんだ。


「ぐぬぅ、たった一人の人間に投げ飛ばされるとは」

「へへ、俺は特別さ。これでトドメだせ!」


 体勢を整えたばかりのリヴァイアサンに石剣を振り下ろす。頭部をカチ割ってやりゃコイツも終わりだろ。




 パキン!




「あ……」


 石剣が根元から折れちまった。そうだよ、よく考えりゃ俺はリヴァイアサン並に強化されても石剣はそのままなんだから当たり前じゃねぇか!


「ほ~ぅ、今のがトドメか? 痛くも痒くもなかったが」

「……ですよね~~~なぁんてな!」



 ドゴォ!



「ぐふっ!?」

「剣は脆くても俺の拳は脆くはねぇぜ? 今度こそトドメだ!」



 ズドドドドドドドドドドドド!



 顔やら胴やら、あらゆるヶ所に鉄拳を叩き込む。10発、20発、50発、100発と、重ねていき、腕がダルくなったところでトドメのアッパーカットをお見舞いしてやった。



 ガツン!



「ハァハァ……ど、どうだリヴァイアサン。ハァハァ……俺の……拳は、ハァハァ……」


 ここまでやって向かってくるなら、本物のバケモンってことになるな。


「クッ――ハハハハハハ! やるではないか人間。並の竜ですらここまでの威力は出せぬであろう」


 はい、バケモン決定。こんなんどうやって勝つんだよ! 調子に乗って挑むんじゃなかった……。

 しかし落胆する俺に更なる悲惨な通告が。


「今度はこちらの番だ。見事耐えきってみせるがいい!」


 リヴァイアサンが突っ込んできた。今度こそ拳で――いやダメだ。それだと高速で突っ込んできたトラックを殴るようなもんだ。

 クソッ、何かいい手は……




 そうだよ、俺はダンジョンマスターじゃないか! だったらそれらしい戦いをしてやるぜ!


「ありったけのダンジョンポイントで一番硬い壁を生成しろ!」



 シュイーーーン!



「なにっ!? コヤツ、瞬時に壁を!」



 ドォォォォォォン!



「ぐおぉぉぉぉぉぉっ!?」



 顔面から謎の壁に突っ込み、のたうち回るリヴァイアサン。これで倒せなきゃマジで終わる。


「頼む、どうか起き上がんないでくれ!」

「そうはいかん。ここまでの事をしてくれたのだ、このまま立ち去るとは言うまい?」


 はい、無事体勢を整えてロックオンされました。俺氏終了のお知らせっぽい。

 そう後悔しかけたが、リヴァイアサンから意外な台詞が。


「お主の力量、しかと見せてもらった。その勇気に免じてこの場は引いてやろう」

「え、マジで!? いやっほ~ぅ、助かったぜ~! 正直もうダメかと思ったんだけど、やっぱ日頃の行いが物を言うなぁ。いや~、なんだかすみませんねぇ」

「……お主、空気読めない奴とか言われたことないか?」

「え? なんかマズイこと言った?」

「いや、もういい……。では達者でな」


 そう言うとリヴァイアサンは何処かへ飛び去ってしまった(←リヴァイアサンって空飛んで移動するのな)。結果的に相手が折れた形で俺の勝ちになったんだな。


「マサルさん、よくご無事で!」

「ああ、心配かけたなロージア。でも見てただろ? あのスキルがあれば俺は生き残れる。例えダンジョンに隠らなくてもな」

「確かに素晴らしいです。ですがダンジョンマスターとしての戦いも学ぶべきでしょう」

「何でだ?」

「リュックに入れっぱなしのダンジョンコアがありますよね? いくら何でも危険です。もしも落として失くしたりでもしたら、それこそ取り返しがつきません」

「う、うん……まぁ、確かに」


 持ち歩くのも危ないしどこかに放置も論外だ。じゃあどこかでダンジョン作ってひっそりと暮らす? せっかくの異世界でそれは面白くない。そんな感じに思考を巡らせていると、ロージアから思ってもみない提案が。


「私がダンジョンコアを勤めます!」

「……え?」


 とてつもない衝撃を受けた。


キャラクター紹介


ロージア

:主人公マサルが転生した無人島にて出会った謎の少女。セミロングの髪を爽やかなスカイブルーで靡かせていた彼女にマサルは一目惚れし、勢い余ってその場で告白。

 断られたもののロージアからダンジョンコアを管理するという申し出を受け、以後は行動を共にする事となった。

 時間が経つにつれ徐々にロージアが普通の人間ではないとではと思い始めるマサルだが、彼女の正体は果たして……

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