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「今日は魚の気分なんだ!取り替えてくれ」


今は夕食時。

専属シェフが作った料理が気に食わない僕は食事を突き放す。


テレビで魚の油は頭が良くなると見たので何となく魚が食べたい気分だった。


「で、ですが、お坊ちゃま、このお肉はA5ランクの・・・」


無能な執事が僕を止めに入る。

こいつは何様なんだ。


「英語だか何だかしらないが、僕が取り換えて欲しいと言っているんだ!」


「ですが・・・」


まだ取り換えようとしない馬鹿執事。

正直な話、肉でも魚でも、どっちでも良かった。

ただ僕の思い通りにならないのが我慢ならない。


「お父様!僕はお肉の気分じゃない」


こういう時はお父様に頼る。


「はっはっは。料理を魚に変えてあげなさい」


「はいっ」


お父様が言うと即動く執事。


「ありがとうございます!お父様」


「良いんだよ。これで食べられなくなったら可愛い息子が餓死でもしたら大変だ」


お父様は僕の言う事はなんでも聞いてくれる。


「ふん」


でもそれも当然だ。

僕は日本トップクラスの財閥を持つ父の一人息子。

それに生まれだけじゃない、学力も学年で常に一位。


おまけに財閥の芸能会社でモデルもしてる。

ふ、才色兼備とは、まさに僕の事だ。







「「「「おはよー京王けいおうくん」」」


「おはよう」


僕が通うのは日本でもトップクラスの私立大学の付属高校。

生徒は芸能人や、政治家、社長の子供たちが多く通う学費が高い高校。


あえて学費を高くする事で敷居を高くして、一般人から隔絶しようと言うのが狙い。


そしてその中心が僕、本田京王ほんだけいおうだ。


「京王くん、今日も格好良いねー」


「京王さん、今日は私とランチ食べてー」


何故僕が中心かというと理由は二つ。


一つが父の財閥には病院、銀行、芸能、建設、車、電化製品などあらゆる企業があり

この学校の生徒の親がその経営者である事。


そして理由のもう一つは・・・・もちろんこの気品あり、かつギラギラ光る僕の魅力にほかならない。


「京王さん、良いでしょ?私とランチ・・・・」


「どうして僕が君とランチなんか食べなきゃいけないんだ?そんな予定は僕にはない」


そう言うと周りの女子生徒から歓声、当人の女子生徒はシュンとしてしてしまった。


ふふ、才能がある人間が褒めたたえられるのは当然として、毎日がこれでは少し疲れるな。








放課後、一目のつかない北校舎裏に来ていた。

理由はラブレターが靴箱に入っていて放課後ここに来るよう指示してきたから。


正直この手の手紙は貰い飽きているが、文面がやけに偉そうで、

この私に北校舎裏に来ないと呪う、のような命令がましい文章だったのでどんな奴が出した手紙か確かめたかった。


「来たわね」


後ろから女子の声。

誰の声かはわからない。


というか例え隣の席の女子だとしても一々覚えない。


「僕を待たせるなんて良い度胸だね」


振り返ると


グサッ


「う」


思いっきり包丁でお腹を刺された。

相手を見ると今日ランチを断った女子生徒だった。


「な、何をする」


「わ、私の親の会社は、今月事実上倒産する!!それもこれもお前らのせいだ!!」


そういって女子生徒は包丁を引き抜きまた刺してくる。


グサ!グサ!


アドレナリンが出ているのか自然と刺されたお腹は痛くなかった、

ただ血が抜けているのかどんどん意識が遠のいていく。



「・・・・・き、君は誰だ」


自分の刺した相手の名前くらい憶えておきたい。


「ア、アンタの、そういう所が大っ嫌いなのよ、心の底から私たちを見下して同じクラスの私の名前も覚えてない」


はは、そりゃそうだ。

なぜ僕が君の名前なんか憶えてなきゃいけないんだ。


・・・・いやこういう可能性を考慮するならむしろ、クラスメイトを蔑ろにしていた僕の悪手だったのかな。



「き、君が僕に、名前を覚えさせるだけの価値を、感じさせないのが悪いんだろ」


こんな時でも言い返してしまう。

いっそ謝ればこの場は収まる可能性は0%ではないはずなのに。


「な、な、なんですってーーー」


なにか大きな声を出して怒鳴っているがその声はもうほとんど聞こえない。



ああ、これで僕の人生は終わっちゃうんだ。

まだやりたい事や、したい事沢山あったのに・・・・。


そこで僕の意識は途切れた。


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