1/1
序章
プロローグ
深夜、住宅街を男が歩いている。
軽くウェ-ブの掛かった金髪に近い茶髪を肩まで伸ばし、右耳にはピアス。白いTシャツにジーンズ姿。いかにもガラが悪そうな男だ。おとこはポケットに手を突っ込みだらしなく歩いている。
「島木アキラ」
「あ?」
男、島木アキラは声に振り返った。振り返った先には黒いコートに長い黒髪、しかし、それとは対照的に白いまるで蝋のように白い顔色をした15~6歳程の少女が立っていた。
「んだ、てめえ?」
島木アキラは振り返り彼女を睨みつける。
少女は島木アキラに近づいていき、彼の目の前に立つ。
近くに立つとようやく彼女は島木アキラより、頭一つ分低いことがわかった。
「俺に何か用かよあ?」
島木アキラは少女の顔を覗くように睨んだ。普通なら委縮してしまうような鋭い目でだった。が、しかし、少女は怯えたそぶりも見せなかった。
少女は島木アキラを睨むでもなく、ただ、無表情に見返していた。
「なんか用かって聞いてんだよ!」