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「実はな。私はウィヌス・リュミエールの仲間なのだよ。

 秘密国家組織、《聖天騎士団サン・シエル・オーダー》それが私のたちの組織の名だ。まぁ、秘密なわけで言っても知らないだろうがな」


 月下、天乃眩に捕まった黎は彼の口からその事実を知る。


「どうして、俺をそれに?」

「お前の反応が見てみたいからだ。ちなみに私はずっと組織にいた。元々、お前が《極罪》の《再臨者》であることを知っているのは俺が組織報告して、監視していたからだ」

「……………」


 つまり、彼が自分によくからんでいたのは仕事だったらである。そう思うと、いま目の間の天乃眩に一抹の恐怖を感じてはいるが、同時に切ないもの感じた。


「本題に入ろう。現在、ウィヌス・リュミエールはこの病院の地下で一連の失踪事件の犯人と交戦している。そして、星明黎もそこに向かっているだろう」

「なんだって!?」


 ウィヌスがこの病院の地下で戦ってるのも驚いたが、そこに黎が向かってるほうも驚いた。


「星明黎はウィヌス・リュミエールが傷つけば、お前が悲しむと思っての行動だろう。まぁ、責任を感じる必要はない。彼女自身の自己満足だ。本題はな、その二人は間違いなく死ぬ」

「!?」

「相手は君の担任である皐月鐘渚。君と同じ《再臨者》であり、前々から彼女たちのことは調べていた。彼女たちのほうが実際の実力は上だが、対策を取られれば所詮は小娘二人、どうにかなる」

「そんな・・・・・・皐月鐘先生。それに、黎、リュミエールさん・・・・・・」

「二人を助けたいか?」

「当たり前だっ!」


 即答。ヒメキとって誰かが傷つくのは嫌だ。それも、自分の一番大切な友人と気になっている子なら尚更だ。


「君は正直、《再臨者》としては覚醒してない分、無能だ。いいか? 大量のウランも、厳重に管理するだけなら、なにも役にたなない。それでも、助けたいのか?」

「できなくても、盾ぐらいにはなるだろ」

「はははは! 自らを肉壁と称すか! きっと、星明黎が聞いたら激怒するだろうが、それは少々もったいないな。だから、私が力を貸してやってもいいぞ?」

「え?」


 力を貸す? それは天乃眩が二人を助けてくれるのか? いや、それなら態々自分の目の前にはこないだろう。

 つまりは、ヒメキが直接動かなければならない訳だ。


「ただし、これから先、お前もこちら側だ。偶然ではなく、必然的に巻き込まれるだろう。無関係な人間から敵意をぶつけられる今の日常が安穏とした日々にすら思えるぞ? それでもいいいか?」

「……天乃眩先生、楽しもうとしても駄目だ」

「なに?」


 どこか飄々としていた天乃眩の態度が、ヒメキのその言葉で一変し、まるで虫でも観察するかのような無機質なものになる。


「先生は俺が断らない、って解っているだろ? だったら、頼みます。俺に何とかできる力をください。俺は彼女たちを助けたい」

「はははあは! 好いぞ! だったら―――」


 いきなり。天乃眩がヒメキの頭を思いっきり掴んだ。


「がっ?」

「責任が自分でとれよ。餓鬼」


 暗転。ヒメキの意識は、厖大な記憶に飲まれた。


 ◆


 この世は醜い。

 しかし、それだけなら哀しむこともなかった。

 眩しいもの、愛しいものがあるからこそ、悲しいのだ。

 だからこそ、何かせねばならないと思った。

 多くの存在が願ったように、自分もただ誰もが幸福な世界を望んだ。

 傲慢かもしれない、きっと強欲だろう、現状に憤怒した。

 ああ、そうだ。自分も彼らとなにも変わらない。綺麗だけの存在ではないのだ。

 そして、ある道を決断した。

 それは偽善と罵られる。間違っている。矛盾し、破綻している。

 しかし、選んだ。

 全てが遠い理想郷であったとしても―


 眩しい願いを夢見ながら―


 全てに反逆し、世界を滅ぼそうとした。


 結局のところ、すべき事は思考を一つにまとめる事だ。

 必要なのは絶対的存在。この世の悪意を全て、自分に向ければ、世界も良くなるのではないか?

 全ての憎しみを、嫌悪を自分に向ければ、誰もがいがみ合うことはないだろうか?

 知らない場所で悲しみがあっても、今よりも多くの命が尽きることはないかもしれない。

 ならば、自分は悪となろう。絶対的な悪へと。誰もが認めるこの世すべての悪になろう。

 そして、自分がいなくなれば世界も良くなる。

 そう信じた。


 これが自分の原初すら見失った《極罪》と呼ばれる魂に刻まれた永劫の不滅の心だった。


 ◆


「ヒメキ!?」

「カナカさん!?」


 ヒメキの声に反応して、まず驚愕したのは黎、続いてウィヌスだった。

 そして、最後に無言で見据えるのは皐月鐘。

 いや、彼女はヒメキの後ろからゆったりと歩いてくる人影を見ていた。


「はははは! いきなり走るなんて、青春真っ最中の男子は凄まじいこの上ないな」


 いつものように飄々としたように現われたのは、天乃眩だった。


「月久、これはお前の仕業か?」

「そう見えるだろ? まぁ、お膳立てはしたが、彼がそこにいるのは彼の意志だ」


 皐月鐘は天乃眩を睨みながら、一瞬だけ目の前にいるヒメキに目を移した後、もう一度、天乃眩のほうを睨む。


「どういうつもりだ?」

「なにもこうにも、俺はそこにいるウィヌス・リュミエールの組織に在籍している存在だ。よって、仲間のピンチに助力を求めるのは当然だろ? 俺はそもそも戦闘員ではないからな」

「アマノクラっ!」


 次に天乃眩を呼び叫んだのはウィヌスだった。


「一体どういうつもりだ!? 貴様は諜報員。《聖天騎士団サン・シエル・オーダー》に属することは明かさないことが鉄則だ!

なにより、なぜ一般人のカナカさんを連れて来た!」


 今だ倒れたままの黎も、さきほどまでヒメキを見ていたが、ウィヌスの言葉で彼女と同じように天乃眩を睨む。


「さっきもいったが、それは奏日ヒメキの意志だ。私はその意志を尊重したまでに過ぎない。それに―――最初からでもあるが、もうそいつは一般人とは呼べんぞ?」

「「っ!」」


 苦虫を噛んだかのような顔をしたのは二人の少女。黎とウィヌスは考えていながらもそうでなくてほしかった。彼にはこの場に、自分たちがいる場所には来てないほしかったからだ。

 ただ冷静に事実を受けいてたのは皐月鐘だった。


「月久、お前が奏日を、《再臨者(さいりんしゃ)》として覚醒させたのか?」

 

 確定されていたことを問うように皐月鐘は天乃眩を見る。

 ヒメキは世界を二度滅ぼそうとした《極罪》と呼ばれる《再臨者》だ。その危険性は大量の核兵器よりも凶悪である。 問われた天乃眩はとても愉快に嗤い―――。


「――ああ」


 肯定した。


「先生。俺はアンタを止めさせてもらう」


 ヒメキの言葉でようやく皐月鐘は彼を直視した。


「・・・・・・」


 皐月鐘は天乃眩が嘘をついている可能性も考えた。

 どうやら、ヒメキのほうは彼女と戦う気でいるようだが、そもそも、皐月鐘は彼の《再臨者》と呼ばれる存在を知っている。

 《極罪》と呼ばれる存在。堕天して漆黒に染まる十二の翼の堕天使、あるいはゾロアスター教の悪神や北欧神話のロキなどとも言われている実際にどの存在であったのかは明らかにされてない。ただ、その魂の存在が世界を二度滅ぼしたのだけ語り継がれている。

 おそらく戦闘態勢に入ってあるだろうヒメキは黎のように解りやすい白い六翼のような戦闘態勢は見受けられない。もちろん、見た目だけが証しではない。実際、皐月鐘も力を行使してるときに解りやすい象徴するものはないのだ。だが、天乃眩がついてる可能性もある。

 天乃眩は自分から手を出すつもりはない。つまり、これはただの奇行。いい迷惑である。

 速やかに現実を知らない少年を倒し、二人の少女と殺せばいい。少年にはあとで都合のいいように記憶を操作すればいい。


 どちらせよ、彼に直接仕掛ければ解ることだ。

 オーガたちを止めた、|あれ(、、)がどちらのものであるかはそれで解る。

 狙いを定めて、皐月鐘は魔弾の早撃ちを御見舞した。普通の人間と変わりはしない人間にはかわせないはずだ。


「ヒメキ!」

「カナカさん!」


 二人の少女が叫ぶ。動けるウィヌスは駆けつけようとした。だが、間に合うはずもない。彼女たちがいる場所は彼からかなり離れている。

 そして、正確無比の魔弾の前にヒメキが一歩前を踏み出した。


「!」

 

 驚愕の念は皐月鐘だった。

 外れた。躱されたのではなく、外れた。そう言ったほうが解りやすい。少女二人はたまたま外れたのだと勘違いしてまだ安心も驚愕もないが、そんなことはありえない。狙いは確実にヒメキの急所を定めていた。

 魔弾はヒメキには当たらなかった。自分が撃った瞬間には、ヒメキはすでに来る場所が解っていたかのように(、、、、、、、、、、、、、、、、、、)、移動していたからだ。

 何度も、何度も、ヒメキに向かって皐月鐘は躊躇なく撃つ。あとで治療はすればいいと思ったのは最初のうちだけ。今は全力で倒そうと考えていた。


 だが、当たららない。


 埒が明かないことに苛立ち再びオーガ―を召喚する。数は三体。先ほどよりも少ないのは確認のためで、下手に多くの数を召喚すれば本当にジリ貧になる。大気の揺らめきと共に再び現われたオーガ―たちはヒメキを襲う。


「っ!」


 それで再び目の当たりすることになる。

 大砲でも放ったかのような一体のオーガがヒメキに向けた剛腕は彼を捉えようとする前に静止した。


 ガキン。金属音。


 オーガ―の動きを止めたのは黄金の鎖。それはヒメキの周囲から出現していた。

 この鎖が先ほどの黎とウィヌスの窮地を救ったのだ。

 そして、まるで予測していたかのように瞬時に鎖に捕えられたオーガは先ほどのオーガ―たち同様に断末魔をあげて霧散した。

 黄金の鎖で絞殺されたわけでも、引きちぎられたわけでもない。まるで鎖から大量の電流でも伝わったかのように呻き声を上げて絶命したのだ。

 捉えられるのはまずい。そう判断したのか、オーガ―たちは同時に挑む。知性が乏しい存在にしては考えたものだ。単純な動きではなく、二体は入り乱れるようにしてヒメキに近づいた。あれでは捕えることは難しいだろう。

 だが何も鎖は捉えるだけのものではかった。


「うおおおぉおおおお!」


 気合の雄叫びと共にヒメキは自分の周囲に出現していた鎖を掴み、一閃する。

 黄金の鎖はまるで鞭のようにしなり、入り乱れるオーガ―一体を裂傷させ、続けてもう一体も同じ目にあわせる。一度ではない。鎖の殴打は何度も重なり、美しい黄金の軌跡を描いていく。そして、オーガ―たちは鎖の嵐に動きを止められ、怯んだ隙に、他のオーガ―たち同様捕らえられ、断末魔と共に爆せた。


 残るは皐月鐘のみ。そして誰かだ気付いた。

 先ほどまでそこに立っていた皐月鐘がいない。いや、この空間にどこにもいないのだ。


「ヒメキ!」


 叫んだのは黎。

 その前に消えていた皐月鐘が突如、ヒメキの眼前に現われていた。

 透明になる能力。それが再臨者にとって皐月鐘が持つ最も奇異たる力だろう。下級魔族たちを待機させる、あるいは強襲させるために使った力であり、今、ヒメキに不意打ちをするために仕掛けたものだ。

 魔弾も駄目。魔族たちも駄目。ならば、直接手を下すため。

 皐月鐘の右手に紫の光が宿る。狙うは腹。問答無用で貫くつもりでいた。


 そんな皐月鐘をヒメキは鋭い眼差しで睨んでいた。


 ヒメキが魔弾に反応、そしてオーガたちの動きを予測したようにできるのは、昔から虐められていた彼を父親から鍛えて、更に今でも自衛手段として鍛錬をしているから、ではない。

 所詮はウィヌスのような本物戦士ではなく、黎のように《再臨者》として身体能力を上げているわけでもない。

 ゆえに、魔弾をかわしているのは《極罪》の《再臨者》としての力だ。

 彼の《極罪》は自分に世界中の悪意、敵意が集まれば、世の中がもっと平和になると結論にいったてしまった自己犠牲の塊のような存在がその正体だ。

 よって、ヒメキは無意識的に悪意、敵意を周囲から集める。

 そして、そんな敵意や悪意を、文字どおり、肌で感じていた。そんなものは最初から、天乃眩に覚醒する前から身につけていた。

 ウィヌスの失態は、天乃眩の策略でまさか要注意人物と同じクラスになると思わず敵意を向けてしまった。が、その後、授業中の監視や、次の日の尾行は文字通り、ヒメキ以外に人間には解らなかった。ウィヌスは荒事を一人で任せられる人材だ。そんな人間が、敵意や警戒心と素人に諭されるはずがない。

 黎は人が嫌いではあるが、それを一度も表には出してない。徹底している。そして、自分の嫉妬や苛立ちがヒメキに気を使わせるとわかっているので、絶対に表には出してなかった。にも関わらず、ヒメキが彼女のそういった機微に聡かったのは、単純に幼馴染だからという理由ではきしてない。

 そう、ヒメキは最初から、敵意、悪意といった負の感情を、身を持って感じられるのだ。彼が外に出たとき、地面から伝わって来た殺意、敵意は、地下で大量の魔物がまき散らせているもので、それすら、ヒメキは感じ取れたのだ。

 そして、攻撃といった、相手に危害を与えたいという、負の感情を読み取れる。つまりは、相手がどこに攻撃をしようとしてるのか瞬時に解るのだ。(、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、)

 黄金の鎖だってそうだ。無意識であるが、ヒメキは何度もこの力を行使していた。最初の夜、五体のオーガたちの動きが止まったのも、ウィヌスの剣戟が不意に一瞬止まったもののこれが原因だ。ただ、あのときは自覚してなかっただけで直ぐに消え去った。


 天乃眩がヒメキにしたことは自覚させること。

 つまりは、すでにヒメキは再臨者として目覚めていた。


 ゆえに――

 透明で消えていた皐月鐘、悪意を感じとり、彼女の体を鎖で捉えるのは容易かった。


「くっ!」


 両腕を黄金の鎖で捕えられるものの、それだけでは皐月鐘を止められない。

 むしろ、鎖に捕えられるようとした皐月鐘はあえてそれを避けなかった。

 オーガ―たちが鎖に捕えられ、原因不明の力で命を散らせたのは理解している。

 が、どんな威力であれ、自分は直ぐに治療できる《特異技術》がある。そして、だから甘んじて受けて、鎖が解かれた途端カウンターで終わらせる。

 皐月鐘はヒメキの悪意を読み取り、相手の攻撃を先読みする力を理解できていなかったが、それでもカウンターからの攻撃なら十分効果があると睨んだ。

 鎖から何かが伝わって来たのを文字通り肌で感じた。高圧電気や毒の類ではなく、痛みは感じない。これなら治療はしなくても――と思考し、それは、溢れだした。


 なぜ自分はこうなのだろう?


(!)


 クダラナイ

 自分を傷つけたい。壊したい。なぜこんなことをした?


 憎い。

 

 ジブンガ


 壊す


 自分のこの手で、この身で、血が、声が、行動が、すべてが許せない、破壊して、葬る、むさぼって、思考が巡り、鼓動が苛立ち、止めたいと、息をするな、喚くな、考えるな暴力暴食暴漢嫌悪殺壊滅破壊抹消脆弱矮小傲慢嫉妬強欲色欲性欲憤怒憂鬱虚飾憎悪蹂躙駆逐支配反乱罪状恐喝汚職淫乱恥辱殺戮他殺圧殺殺傷焼死水死死火葬土葬死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセあらゆる負を自分に解き憎い憎い憎い放てててっててててててててててててててててててててててててててててててててててててて憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い自分がなによりうも憎くて壊したて、破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊自殺破壊滅壊崩壊破壊滅壊し死4志シ崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊破壊滅壊崩壊ナニヨリないよりも誰世理喪自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自殺自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自自殺滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自殺自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊し死4志シし死4志シ自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自殺自壊自葬し死4志シ自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬絶望自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自存崩壊葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自殺自滅自壊自葬自滅自壊自し死4志シ葬自滅自壊自葬し死4志シ自滅自壊自葬自滅自壊許せない許せない許せない許せない自壊自葬自滅自壊自葬し死4志シ自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自殺自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自し死4志シ自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自し死4志シ滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自滅自壊自葬自殺その行動許せはしない絶対にありえない壊すなら自分を憎い自分を壊して殺して壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ自分と手で完膚なきまでに滅殺滅殺滅殺滅殺滅殺滅殺滅殺滅殺滅殺滅殺滅殺滅殺滅殺


「あああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」


 皐月鐘は絶叫しながら、その場で崩れ倒れた。

 その光景を目の当たりにして、加害者であるヒメキは痛まれない気持ちになるが、こうなるのは解っていた。

 結論的に皐月鐘自滅した。自滅させた。

 ヒメキが皐月鐘にしたのは、さきほど開花したばかり、しかもぶっつけ本番の一撃だ。オーガ―相手には全力でしたが、人間相手だと若干不安だった。

 触れた相手に暴力的な敵意を自身の中で集中し爆発せる。自己嫌悪させる自滅誘導技。

 触れるだけでいい。けして指先に触れただけでも、自滅する。オーガ―たちも自我が崩壊し、消滅したのだ。

 悪意や敵意を感じ、触れれば相手の中の負の感情すらコントロールさせる。


悪意操作(マリスコントロール)


 それが天乃眩によって自覚させたれた、今後、《極罪》の《再臨者》として《特異技術》だ。


「カナカさん」


 崩れた皐月鐘から鎖の束縛を解くとウィヌスがやってきた。


「大丈夫ですか?」

「ああ。俺より動けない黎が心配だ。俺は黎を見に行くから、リュミエールさんたちは先生を頼む。あっ、でもいきなり殺したりしたら駄目だぞ。今は軽い失神状態だから。事情は天乃眩先生にでも聞いて」

「貴方がそういうなら・・・・・・」


 そうやって、ヒメキは黎のもとに駆け寄ろうとして、すぐに振り返り、ウィヌスに抱きついた。


「!」


 いきなり、抱きつかれ、思わず剣を手放してしまい、そのままウィヌスはヒメキと一緒に地面に倒れる前に、


 ヒメキの背中から爆発がした。


「っ!!」

「ヒメキ!?」

「カナカさん!?」


 煙を立てながら、ウィヌスと一緒にヒメキは倒れる。


「過剰な自己嫌悪での暴走―――でも、生憎と、そんなものはとっくの昔に体感した。もう少しきつければ危なかったが――」


 ゆらりと、ウィヌスが落とした剣を拾いあげて、皐月鐘は立ち上がる。


「私の剣を!?」

「悪い、俺がいきなり――」

「カナカさん!? いえ、貴方が助けてくれなかったら、私はやられてました。それより怪我が!」

「……、殺すつもりだったのに、喋れるだけ元気なんて、まったく予想外だ」


 皐月鐘はウィヌスの剣を持ったままヒメキたちに近づく。


「ヒメキ! ヒメキ! ヒメキっ?」


 黎はもう一度《再臨者》を引き出そうとしたが上手く力が入らない。無理に動こうとして再び地面に倒れる。が、はいつくばっても近づこうとする、しかし、それもできなく、歯を食いしばって何度も叫ぶしかななかった。

 ヒメキはウィヌスから体を離すようにして起き上がり、近づく皐月鐘からウィヌスを隠すように立ち上がる。

 ウィヌスも立ち上がろうとしたが、激痛が走り脚がおもう様に動かなかった。ヒメキがほとんど庇ってくれたが、自分にもダメージがあった。しかも、運悪く脚にだ。聖剣からのバックアップで身体能力補助があれば、その剣は、いま敵の中にある。

 やきもきしながらウィヌスは自分の前に立つヒメキを見上げる。以前も見た背中は、着ていた制服は焼け落ち、そこから覗かせる肌は浅黒く歪んでいた。


「っ! アマノクラ! カナカさんを退かせて治療を! 聴いてますか、アマノクラ!」


 ウィヌスの叫び声は当然、天乃眩の耳に届いている。だが、天乃眩は微動だにせず、ことのなりを静観しているだけだった。


「さっきの攻撃。本気じゃなかっただろ? もしも、本気なら私は廃人でもなってだろう。その甘さが奏日の敗因だ」

「……」


 確かにヒメキは手加減した。彼がこの場で着たのは、黎とウィヌスを助けるためであり、そして、目の前にいる人を止めるためだ。だから、殺せなかった。


「なんで、殺さなかった。君は彼女たちを救いにきたのだろ? それとも、自分の大切な人間を壊す人間すら守るというのか? それはもうお人よしじない。屑よりも劣る」

「俺は先生を止めにもきた。この先にあることは誰も望んでいない。あの子もだ!」


 その言葉に、今まで冷ややかな空気の皐月鐘にゆらりと黒い炎の影が宿る。


「……月久に聴いたか……」

「ああ。先生が夕代の姉で、今回のことは全部、あの子のためだってな!」



 夕代渚。離婚の際に、母親に引き取られて、以後、母の旧姓、皐月鐘渚となる。

 フォラスの《再臨者》。

 フォラスとはソロモン王に封印された七十二柱の悪魔の一柱。召喚者の前に学者風の人間の姿で表れ論理学や医学に関する知識を授けてくれるという。またモノを見えなくする能力を持つ。二十九軍団を指揮する地獄の騎士にして大総裁であり、医学的知識以外に占いや修辞学など多彩な能力を持っているとされている。

 ゆえに医療の知識は豊富であり、自身や使役する魔物を透過が可能。彼女がその力に目覚めたのは小学生の頃。突発的な覚醒。以後、医学の知識を使い大学は医学部に入学。その頃に天乃眩と出会う。彼の付き合いでともに教員免許を取得。もともと医学の知識は彼女にとってあまり学ぶことがなかったので、教員免許取得と医者への二つの勉強は困難ではなかった。なお、この頃に《特異技術》に関しても、天乃眩から詳しく学ぶ。

 《再臨者》としての力は魔物を便利な小間使いとしか扱わず、悪用は今回の事件まで一度も犯さなかった。

 若くして、とある病院に在籍する。以降、様々な重病患者を救うことになった。

 二年後、妬みの視線を浴びながらも医者と成功しつづける彼女の元に、一本の電話が入る。

 父親が死んだ。原因は事故死らしい。そこになにも感情は抱かなかった。両親が離婚して直ぐ、母親が死んで親戚中をたらい回しにあう。父親に引き取られなかったのは、彼が顔も忘れてしまった妹の世話で精一杯だからだ。妹は昔から病弱であった。一緒にいた頃は自分の力で直ぐにその時の症状を無くしてやったが、自分がいなくなった今となっては大変だろう。そしてその妹は大事にし、自分は大事にしないと幼心は傷つき、一時期は父を恨み、妹を妬んでいた頃もあった。

 だから、仮に父親が死ねば気分は晴れるかと思いもしたが、語った通り感傷が湧かなかった。私のもとにきたら治せたのに、と医者として少し残念に思っただけだ。娘としての心はない。

 問題は妹だった。父親側の肉親たちはいなく、彼女にとって頼れる肉親は自分だけになる。なし崩し的に妹を引き取ることになった。世間体を考えて引き取ったまでで、正直なとことほとんど顔も合わせていない妹の相手をするのは面倒だと思った。

 妹は難病にかかっていた。初めは驚いたが、自分がすぐに治せばいいと思った。それで変に懐かれたら面倒だと思いもした。

 が、治せなかった。現在の医療技術では妹は治せなく、自分の《再臨者》として目覚めた治療の力で、なんとか気力を持たせて、短い期間学校に通わし、再び病院、その繰り返しかできなかった。


 病名は原発性免疫不全症候群。


 正常人では体内に最近やウイルスが侵入するとこれらを排除する為に防衛反応が生まれるが、先天的のこれらの免疫部分が欠陥あるのが疾患の総称だ。幼い頃から病弱だったのはこれが原因であり、彼女自身が大事になる前にその場凌ぎで症状の悪化を治してしまっていたため、今の今まで気付かなかった。

 そして、医者として忙しかったため、妹に掛りきる時間は少なかった。もしも、妹が彼女の務める病院で入院することにならなければ、時間は皆無に等しかっただろう。

 妹の触れ合いの最初は義務的なものだった。医者と患者。それだけだった。妹も無関心で、私も無関心だった。


 だが、ある日、妹が泣いた。怒鳴った。彼女は詳しいことは憶えていない。ただ彼女も怒鳴った。色々とお互いに吐き出した。思えば初めての姉妹喧嘩なのだろう。最終的に彼女が妹を口で黙らす形で終わった。以降、ききわけがよくなった。最初は怒られるのが恐れているのかと思ったが元からできが良い子なのだと彼女はのちに解る。

 喧嘩以降、妹の距離が近くなった。ききわけが良すぎて、偶に我儘を言ってほしいと思った瞬間、彼女は気づく。彼女は妹を愛しく思うようになったのだと。

 気づいた瞬間、絶望した。愛してしまったから、妹の状況が不憫で堪らなかった。

 自分は何より大切な子を助けていないのに、いつも他人の命ばかり救う。

 それが溜まらなくて、彼女は病院を止めた。教職についたのは天乃眩の誘いがあったからだ。

 彼女は以前よりもできた時間で、妹を救う手段を探した。

 そして、到った答えは、禁術。

 大規模な生命力、魔力を糧にして、万人の病を治す。百を犠牲にして、一を犠牲にする。命の天秤が平等であれば、そんな決断ができなかっただろうが、もはや妹が彼女にとって一番大切だった。空白だった心に温もりを与えてくれた。

 犠牲になるべき存在は、かつて自分が救った人間にしよう。恩返しといえば聞こえがいいが、彼女はただ、妹でないのに救ってしまった命が気に入らなかったのだ。

 事件が起きれば、天乃眩が言っていた《特異技術》を管理する組織が動く。大量の魔力はその派遣された人間から貰おう。

 

 そして、必ず、妹を、愛美を救ってみせる。


 ◆


「誰かを犠牲にして、夕代が喜ぶとは思えない!」

 

 ヒメキは天乃眩から皐月鐘渚が使用とするべきことを聞いた。

 妹のために姉が動くのはとても素晴らしいとは思う。けど方法が間違っている。


「言わなければいい」

「アンタは夕代に自分がやってもいないことの罪を背負わせて、生きろと言うのかよ!」

「あの子の罪じゃない。あるとすれば私だけの罪だ」

「姉が罪を背負って喜ぶ妹がいるか!」

「私はあの子を愛してるが、あの子が同じか解らない。まだ、一度も私を姉だと言ってくれない。全然我儘を言ってくれない。でも、それでも私はあの子のためにしてあげたい」

「こんなことじゃなくても、他に方法がないよ」

「方法? ふ、はははあはははは!」


 皐月鐘は高笑いした後、剣の切り裂きをヒメキに向けた。


「ない! あったとしても、もう時間がない! でないと今夜のうちに、あの子は死ぬ!」

「「「!?」」」


 ヒメキ以外にも黎やウィヌスがその言葉に絶句した。


「奏日たちが昼、楽しくおしゃべりをしていた時間、あの子は死にかけた。いや、私が駆けつけなかったら、もう死んでいた! あの子の体はもう限界なんだよ!」

「そんな……」


 信じられなかった。少し前まで、楽しく話していたあの子が、死んでしまう。

 確かに、帰り際、苦しそうにしていた。だが、そこまでとはヒメキも思わなかった。


「君からメールがあった時、あの子は死にそうなのに、嬉しそうにして、友達にお願いされた、頑張らないと、新しい子が来る、友達になれたらいいな、自分でも、もう長くないって解っているのに、あの子は、辛そうに、涙を流しながら、それでも笑顔で君の相談に必死に悩んで、それで君たちが来るのを待っていた。そんな些細なことすら必死だった! 私はこれ以上、あの子を辛い顔も嫌だ! あの子が死ぬのは嫌だ!」

「だから、殺すのか」

「ああ。転校生と星明のお陰で魔力は十分。ここの魔方陣は特定の対象から吸うものだ。あとは一人分の命。なんなら、その後ろの子だけもいい」


 ビック! と、ウィヌスの体が震える。


「元々その予定だ。所詮、その子は昨日今日来たばかりの人間だろ? この場にいる誰を切り捨てるなら、最良の人材だ」

「――しろ」

「なに?」

「殺すなら俺にしろ」

「ヒメキ!?」

「カナカさん!?」


 皐月鐘は冷たくヒメキを睨む。


「なんでだ? 星明ならともかく、彼女はそこまで君が命はるものか?」

「まだ彼女は俺たちと変わらないのに、人のために命をかけて戦える子だ。夕代とも仲良く喋っていた。俺から見れば二人はもう友達だ。たった二日しか会ってないけど、それだけでも俺にとっては黙って死ぬのを見過ごせない」

「カナカ、さん……」

「それで、代わりに君か?」

「俺はご存じの通り、危険な存在だし、嫌われ者だから泣く人間も少ない」

「やめてよ! ヒメキが死んだら、私が絶対に許さない!」

「そうです。自ら命を差し出すのは愚の直行ですよ!」

「……………だったら、覚悟しろ」


 すっと、皐月鐘は左肩に添えるようにして剣を構える。


「ま、待ってください! カナカさんが、死ぬことは! それなら、いっそう私が! どちらも見捨てくない!」

「やだ、やだやだやだやだやだやだ! まだ言ってないよ! ヒメキヒメキヒメキっ! 私にしなさいよ! 私なんかといたよりも! あの子ほうがいい! だから止めて!」


 黎はボロボロと涙を溢れながら動こうとする。だが動けない。ウィヌスも何とか庇おうとするがおもう様に動かず、悔しくて、目の少年が死ぬのを黙って見過ごすのに涙した。

 ヒメキは二人の少女が自分のために泣いてくれるのは、心苦しかったが、同時に嬉しかった。

 嫌われるだけの人生だ。それでも好きでいて、こんなに泣いてくれる子たちがいて、友達のために命をかけられるのなら、悪くないと思った。


 ヒュン と、風切り音が鳴る。

 ビチャッ と、紅い血が流れた。

 バタン と、体が倒れて

 カラン と、手に持っていた剣を落とした。


「え? ……………………先生!」


 ヒメキは自分の首を斬って倒れた皐月鐘のもとに駆け寄る。黎とウィヌスは呆然とし、ずっと静観していた天乃眩も倒れた皐月鐘の元に近づく。


「ああ、死なんか。流石悪魔の《再臨者》。でも、治癒をしなければ、死ぬな。うん」

「な、なんで、先生が!」

「なんだ? 自分や友達を殺そうとした人間のために涙を流してるのか? お人よしだな」

「渚」

「月久か……」


 近づいてきた天乃眩のほうを瞳だけ動かしてみる。


「どうだった? お前が見たいものは見れたか?」

「まぁ、美しい姉妹愛、友情は見れたな」

「くだらん」


 直前まで本当に皐月鐘はヒメキを殺すつもりだった。

 だが、やめた。

 それはヒメキの言葉や彼女の嘆きに心をうたれたのからではない。そんなことになるなら、最初からこんなことはしなかった。

 言葉一つで変わるほど、この心は譲れるものではない。

 結局のところ、終始、皐月鐘は愛美の、妹のために動いた。

 馬鹿だろう。自分の大切な人間のために自分の命を差し出すなど。しかも肉親にでもない赤の他人のためになど失笑ものだ。こんな人間のことを、妹は自分の命が危ないというのに気にかけていた。


 だから、いなくなったら哀しむのだろう。あの子は泣くだろう。

 自分がこうなったのは、ヒメキ引き起こした自己嫌悪が発端なのかもしれない。

 だが、間違いなく、あの子の泣いている顔ももう見たくなかったからだ。

 大切な、大切な、たった一人の、私の妹。


「――満足したなら、愛美の、こと、頼む」

「ああ」

「先生、どうして、自分が?」

「人のこと言えるか? 自分も命を差し出しただろ? でも、今は私のほうが愛美のことが好きだからな、それなら私がなるべきだろ。お前を死なせると愛美も泣くし、あの二人も友達なら、同じだろうな」


 渇いた笑みを浮かべる皐月鐘に対し、ヒメキは叫んだ。


「先生が死んでも泣くに決まってるでしょ!」

「そうか? そうだといいな。でもこれで、解っただろ? 死ぬのは、やっぱり、つらい、去るのも、残るのも、だから、お前は、今度から簡単に差し出すな、最後まで悪あがきしろ、じゃないと、愛美が泣くし、あの二人もそうだ、お前のこと、私も嫌いだったんだ、だから、そこは、なおせ、だったら、わたしも、いちせいととして、は、すき、でいて、や…る」

「……はい。以後、気をつけます」


 ヒメキがぼろぼろと泣いている。ああ、純粋な子なのだな。だから自己犠牲を簡単にしてしまう。それは素晴らしいことなのだろう。だが、その輝きは目を細めるほど眩しく、疎ましい。

 きっと、彼が《極罪》の《再臨者》でなくても、その輝きを疎むものがいて、嫌うものが多かっただろう。

 だが、光は光だ。

 その眩しさに憧れる存在はきっといる。


「ああ、綺麗だな」


 ドーム全体が紅く光る。紅い光の蛍のよなものが地面からあふれ出る。赤、血の色。

 ヒメキが頷くと皐月鐘は満足したように笑う。

 最後に、一つだけ、後悔を残して――


「あいみに、もういちどぐらい、おねちゃんてよんでほしかったな」


 それは小さな頃、まだ幼かったころの記憶。

 一緒に笑っていた。あげたかったのはそんな未来。



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