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2度目の転生

 悪魔の口、迫り来る牙、潰れる俺の…

 ーーグチャッーー


「ぬぉぉぉおおおおおおおお!」


 …ん?


 乾いた風に、どこまでも広がる砂漠、そして青い空。いや、それよりも…

「うっ…気持ち悪い」

 俺は砂に手をつき、吐きそうになる。すると…ある違和感に気がつく。


 なぜ俺は地面を見ているはずなのに、横の景色や空が視野に入っているのだろうか。


 突然の環境の変化に加え、何故か視野が広がっている。これはどうなっているんだ。ありとあらゆるものが突然変わったせいなのか、とても気持ち悪い。

 落ち着け俺。そうだ、一旦目を閉じろ。


 まず、俺はどうなった?

 わかっている。死んだ。悪魔に喰われた。頭から喰われたし、何度も咀嚼されて…激痛の中で死んだのだ。


 では、今…どうなってる?なぜ砂漠にいる?なぜ視野が広がっている?

 落ち着け。疑問が多すぎる。それに対する情報は少なすぎる。とりあえず、ゆっくり目を開けよう。それから周囲より…まず自分の体がどうなっているかを確認するんだ。


 俺はゆっくりと慎重に目を開ける。そして風景も視野の広さも無視して自分の身体を確認しようと、悪魔の牙で引き千切られた腹を両手で触り、そこに視線を向ける。が、問題が起きた。


 赤い…なんだこれは?


 視界のど真ん中に何かが20cmほど伸びていて、それが邪魔で腹を見ることができなかった。薄々気づいてはいたのだが、とりあえず右手で上から撫でてみる。


 ナデナデ


 …なるほど……間違いなく俺の…鼻らしい。触られている感覚がある。おまけに伸びた鼻も触れた手も…どういうわけか、人間の静脈血のような色をした細かい鱗に覆われている。そんなまさか…

 俺は思わず口を限界まで開けてみる。すると、驚くほど口が開く。というより…頰の面積が極めて少なく、風が舌を横から撫でてくる。


 これは最後の確認だ。うん、俺の予想が当たっていたら、尻にアレがあるはず。


 鼻先が肩に当たりそうだったので、脇の下から自分の……尻尾の有無を確認する。

「あった…動くのか?…動いた」

 尻尾があるのを確認。そうして俺は1つ、認めなければならないことができた。


「俺、蜥蜴になっちまったのかよぉぉぉおおお!」

 だだっ広い砂漠の大地に俺の叫びが消えていく。


 しかし、嘘だろう?今までスノリ・ブラウンは人間だったではないか。それなのになぜ今俺は蜥蜴…蜥蜴人(リザードマン)になってしまったのか。尤も、思い当たる節があるわけだが…


「3度目の転生が人外だとは…」


 人間佐藤拓郎、人間スノリ・ブラウン、そして蜥蜴人の…名付け親がいない。仕方がない、スノリ・ブラウンを引き継ごう。でも…本当になんで蜥蜴人なのか。


 俺は改めて全身を確認すると、上半身裸で、下半身は前掛けのボロ布に尻尾だけが出たボロいサルエルパンツを穿いている。

 そういえば蜥蜴って…総排出腔に半陰茎…いや、身体の詳細はおいおいだな。


「装備品なし。さて、どこに行こうか」


 俺は蜥蜴人に転生したようだが、問題はここが…ムムール帝国のある世界なのか否かだろう。ムムール帝国内なら、こんな大規模な砂漠は帝国東部にあるオーフィン砂漠しかありえない。

「とにかく人か街を見つけなければ」

 よくよく考えると、物資がない状態で砂漠に立っているとか危険すぎないか?

「おーーーーーい!誰かいないかーーーーー!…いないか」


 こうなっては適当に前だけ向いて進むとしかない。蜥蜴だとするなら、視野は真後ろ以外見渡せるし、誰か見つけたら、その人に拾ってもらおう。

「くそっ…何でこうなった」

 俺はあの悪魔にも負けない鋭い足の爪を砂漠の大地に刺し、ただひたすらに真っ直ぐと走り出す。

「おぉ…ふはっ…速いなおい!」


 転生したからには…まずは生き抜くことから始めよう。

小鬼か人狼か蜥蜴人か…人間の神は悩んだ結果、蜥蜴人の神に1つお願いをしたようです。



しかしながら、蜥蜴人は変温動物なのか…恒温動物なのか…設定が謎ですね。

蜥蜴人が出てくる作品を読まねば。ということで、参考になりそうな作品を教えて欲しいところ。

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