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今日も聖女は拳をふるう  作者: こう7
巡礼と唸る拳
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寄り道とアムネス



アムネスへ向けて俺達は馬車を動かす。

なんて言うものの町までは結構な距離がある。

途中にある村を無視して行けば二週間くらい。


あの馬鹿達に追いつく為なら無視するのが妥当。

護衛達もあのムカつく野郎共を優先してアムネス直行行きを提案してくる。

でも、彼等は一応の提案だけで俺に決定権を譲る。

俺がどうしたいかなんて分かっているとでも言うように。


「ちゃんと全ての村へ向かいましょう。どんな理由があれ最優先すべきは人の命でしょ。」


俺はニカッと笑う。

苦笑を返されるかと思えば、最敬礼で承れる。

ちょっと騎士っぽくならないでよ。


アムネスまで村は3つ。

どんどん行こう!



そうして再開した巡礼の旅。


まぁなんとも平和な旅路。

あんなに頻繁に出ていた魔物も殆ど出ない。

出てきても数日に一度あるかないかで少数のみ。

護衛一人で十分な戦力。

なのでお預け、でも欲求不満には陥らない。

なぜなら護衛達が訓練がてら試合を申し込んで来るからね。

ヤルタでの護衛としての不甲斐なさと狂戦士達の闘いぶりを見て思うところがあるみたい。

護るべき相手に頼む事では無いだろうけど、俺はもちろん了承。

一人だろうが多数でだろうが御相手しましょう。


俺の獰猛な笑みに対してこいつに護衛っているのって顔は止めて。

私はこれでも幼くか弱い聖女なレディーですわ、へへへ。



そして、今日も築かれる倒れ伏した護衛の山。

隊長のノートンは不参加、全員が護衛をしないのは駄目だもんね。

ほい、治療。


連携は目を見張る高さだけれど決定的に攻撃力が足りない。

そんなことじゃあ拳でアイアンゴーレムは砕けないぞ。

俺の親切な助言にドン引きな面々、ひどくない?

でも、多少はやる気が上がったようでほぼ毎日俺に挑むようになってくれた。




それでは時を進めましょう。

チュンチュンのチュンでグーグーグーのグーであっという間にアムネス到着。

ここが一番大きいかもしれない。

入るために検問に並びますか。


アムネスまでの道のりを特別語るような事はない。


日課になった護衛達との一対多数試合からの屍の山。

村では治療。

これを3村繰り返す。

そして、各村で出来上がってしまう信者達。未来の狂戦士かな。



もうこの巡礼で何度も起きてしまった住民達の覚醒、もう慣れちゃったよ。

俺関連で狂信者化するようだし日常に支障は出ない…はず。



それと馬鹿達とは結局出会えていない。

ただ2つ目の村で痕跡は残していた。

ヤルタの町が魔物達に襲われて聖女が死んだと触れ回っていたらしい。

だから、俺らが訪れた時驚いてたよ。

全くあいつらは迷惑しかかけないな。



おっと、ようやく俺たちの順番がやってきた。

町の入口を守る兵士にノートンが説明している。


説明していくうちに兵士の表情が変わっていく。

どうしたどうした?


ちょっと待つようにと待機所みたいな所に案内され、その兵士は急いで何処かへ走っていった。

しばらく待つこと数十分。


さっきの兵士が厳格そうなおっちゃんを連れてきた。上司の兵士かな?強そうな風格を漂わせて俺の戦闘意欲が少しくすぐられちゃう。



「大変お待たせして申し訳ありません。私は、リートン・ヤルタ・アムネスを統治する領主ロンベルト様の筆頭護衛ハイドンと申します。私が領主邸までご案内致します。」



へーこの町に領主様が住んでいるんだ。

でも、この慌て様どうしたんだろう?


あとでゆっくりと聞けるかな。


俺はシーナさんと一緒にもう一度馬車に乗り込んだ。




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