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今日も聖女は拳をふるう  作者: こう7
巡礼と唸る拳
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戦場で聖女は微笑む


ひとしきり泣き続けた俺は、ようやくノートンの胸から顔を上げた。

そして、すぐに赤くなる。

だって、みんなが黙って見守っているんだもん。


俺は深呼吸して両頬を叩く、よし。


「皆様方、私のせいで大変危険な目に遭わせてしまいました。申し訳ございません。」


集まった住民達にしっかりと謝罪をする。

こんな町中での暴漢に馬鹿兵士達の殺傷。

この町の人たちの日常を害する出来事ばかりだ、本当に申し訳ない。


「女神様は悪くないですよ!」「そうだそうだ、悪いのはあいつらだ!」「あの逃げた奴ら次会ったらこの鉄串の餌食にしてやる。」「女神様万歳ばんざーい!」



聖女です。

普通の人達を狂暴な信者に作り上がってしまったのも申し訳無い。

数で圧倒していたといえ、全くの無傷とはもう立派な戦士だね。



みんなにお礼を伝えつつ町長の屋敷に戻る。

ちなみに町長自身もこの騒ぎに参加していました。

50代後半のおじちゃんとは思えない立ち回りで賊の腹をこれでもかと蹴ってたよ。


町長と一緒にお家に入るとシーナさんが鬼気迫る顔で駆けつけた。

町中で起きた事を聞いたようだ。泣きそうな顔で心配するようにギュッとされる。

ロコルお姉ちゃんと同じ温もりを感じる。今回ばかりは大人しくシーナさんのされるがままにしておこう。



ノートン達によると、あれからこの町の衛兵達と協力して逃げた珍獣一味を探しているそうだ。

結果は芳しくないようだけど。

発見次第殺しにかかりそうな信者達が蔓延る町に居続けられる訳がない。

多分、もう何処かへ逃げたでしょう。



ノートンの報告も終わり、今日はこれでお終い。

まだ巡礼は折返し地点を過ぎたくらい。

いつまでも挫けていられない、もう過ちは犯さない。


でも、今晩だけはシーナさんにお願いして一緒に寝てもらおう。

ちょっと顔が赤くなったけど、シーナさんは快く了承してくれた。




明日も頑張るぞ。



目覚ましは激しく扉を叩く音でした。

まだまだ瞼の開きが鈍い。

まだお外は朝日が昇り始めたくらい、早朝も早朝。

今日の予定はまだ出発準備やらでこんな朝早くから急ぐことじゃないよ。

もしかして急患?



あくび一つに軽く目を擦り、シーナさんが開けた扉から現れたのはノートン。

こんな朝からレディーの寝室に失礼しちゃうわ、なんてね。


「おはよー、どうしたの?」


「アリス様、こんな時間から申し訳ございません。緊急なので急いでお伝えに参りました。」


「ううん、大丈夫だよ。誰かが怪我か病気でも患った?」


「いえ、魔物の大群です。衛兵が外を巡回中遠くから地響きがしたそうです。不審に思い馬を使い調査を行なったところ、この町に向かって数百と魔物が押し寄せているそうです。」


「どうしてこの町に?」


「分かりません。しかし、我々が巡礼中に魔物との接敵率が多かった。これがこの大群の予兆であったのかもしれません。」


そういえば、いつもより魔物がよく出てくるって言ってたね。


「とにかく町の人達に伝えて避難をして貰いましょう。町長さんには伝えた?」


「はい既に。今は談話室にて調査に行かせた衛兵からより詳しく聞いていると思います。」


「ん、分かった。私も着替えたらすぐにそっち行くね。」


俺は絶賛寝間着姿。

ハッと思い出したノートンは珍しく動揺したように部屋を後にしていく。


シーナさんによる強制お着替えでいつものローブ姿に変身。

俺も詳しく事情を聞きたいです。



談話室にて色々とお話を聞いてまとめると。


・魔物の種類はゴブリンやウルフと定番のものからジャイアントトロールにオーガ、ワームなどと豊富。

・数は推定600。上位の魔物も混じってることから、被害は甚大となる可能性が高い。ヤルタの町が壊滅する規模だそうだ。

・幸い次に俺達が向かうアムネス方面からは魔物の群れは来ていない。逃げ道は一応確保出来る。



やっぱり住民達に説明してここを脱出してもらうのが一番安全か。

俺達は残って魔物達を相手取るだね。


そう提案したところ、町長が慌てたように反対する。


「せ、聖女様が残るなど危険です。貴方様はこの国の宝です。一番に避難すべき御方ですよ!」


えー、違うよ。

でも、ノートン達も町長の意見に賛同するように頷いている。



「町長さん、それは違います。守るべきはこの町の人達。私はその人達が全員無事逃げられるまで、魔物共を食い止めること。決して救うべき人達を置いて逃げることが私の役目ではございません。」


決して魔物達と戯れたいからじゃない。

うん、違うよ。


俺の真剣な顔つきに気圧される面々。


ノートンは少しだけジト目になってるけど無視。

た、戯れたいからじゃないもんね。






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