哀いっぱいのメイドは狂りと回る
勤め先の人達に狼メイドにされたショコラさん。
その背中はドラゴンを背負っているかのような覇気を纏っている。
そんな彼女に怯えながら怒らせないよう付いて行く。
しかし、彼女への燃料投下は止まらない。
練兵場での出来事を知らない城でお仕事中の人達は事ある毎に俺達の歩みを止める。
見知らぬ子供がいれば当然といえば当然。
そして、質の悪いことにその度にショコラさんが王様の所へ連れて行けって俺に脅されていると説明するも信用されず、子供を勝手に入れてはいけないでしょうと注意される悪循環。
ゴゴゴと背中が震えるメイドラゴン。
いつどこで爆発するか分からないので止めて来た人達を次々気絶させていく。
俺はどんどん罪を重ねていく。こりゃあ神様から聖女剥奪されるかもね。まぁ友達の安否の為なら安いもんだ。
それからまたしばらく歩き、おっかなびっくりの案内はようやく終盤を迎えた。
そこは城内でも装飾が人一倍豪華な部屋でその扉の前には騎士が二人待機している。
いかにも王様はここだぜって言っている。
「えーと、ショコラさん?王様はここに居るの?」
「……………えぇ、あそこに元凶が居ます。」
「そ、そう。じゃあ、お姉さんここでもういいよ。ここからは危険そうだからね、あ案内、ありがとうございました。本当にごめんなさい。」
この背筋が寒い空間から早く抜け出したい。
「…………いえ、私もご一緒します。この私の孤独を癒やすには元凶をぶっ殺…ぶん殴らないと気が済みませんので…。」
「あ、はい。そっすか…。」
サラちゃんを攫ったのがここの皇帝であってくれ。
もし違ったら目の前の復讐メイドが冤罪で皇帝を殺しかねない。
俺の願いが届くかさておきいざ突入。
「なんだ貴様達。ここは王の私室である。許可無き者はすぐに立ち去れ。」
突如現れたメイドと少女に一切驚くことなく務めを全うする騎士様。
ここはいっちょ俺が
「どきなさい。私はこの中に居る元凶を殺しに来たのです。よくも私を痛い子ちゃん可哀想な子扱いにしやがって…。」
先走るメイドラゴン。
流石の騎士様達も困惑顔。
それもそうだ、メイド服を着た狂人が目の前に現れたら誰だってそうなる。
「な、何を言っている?」
「私はこの子に脅されて王様の元まで案内しに来ました。シンジテクレマスカ?」
「は、はぁ?何を言って」
「ホラ、ヤッパリシンジナイィィィ!!!」
ちょっとチビるかと思いました。
金切り声に近い叫びを上げながら狂ったメイドさんは騎士様二人に襲いかかる。
距離の近さから咄嗟に剣を抜く事も出来ない。
結果騎士様二人は唯一鎧で護られていない顔、主に鼻の両穴に指2本を突っ込まれた。
そして、そのまま勢い良く背負い込むような形に移って投げ飛ばした。
彼らの鼻穴は確実に広がったことだろう。
「しンジナいカラソうナルノ…フフ…フフフフ。」
また真後ろに居る俺へ首だけグリンと向けて声を掛けてきた。
「さァ、イキマショウ…フフフ。」
どうして彼女はこうなってしまったのか。
謂れの無い孤独が一人の殺戮メイドを生み出してしまった。
彼女の次の標的はもうすぐ。




