純真無垢でお馬鹿さん
サラちゃんが居るかもしれない帝都のお城へついに到着した。
あのおじさんには申し訳無かったけど今だけ悪い子でいさせてくれ。
お城の大きな門の前には兵士が3名待機している。王様とか偉い人が居るお城だ、当然の護りといえる。
これでは何の許可も無いただの平民な聖女では入れそうに無い。
どうしたもんか…。
「これはこれはお嬢さん、どうされましたか?」
俺は咄嗟に声のした方から距離を取る。
日焼けしたみたいに小麦色のお兄さん。
全く気配を感じられなかった。
この貼り付けたような笑みを浮かべたお兄さんは何者?
「………誰ですか?」
「これはこれは驚かせてしまいましたね、昔から存在感が薄くてよく怯えさせてしまうのですよ。私はただのこのお城の方々にご贔屓頂いている商人です。お嬢さんがお城をジーッと見ておりましたのでつい気になり声を掛けただけですよ。」
細目で真偽を確かめられない。
でも、仮にこのお城の兵士とかだったとしてもあの距離まで迫って何もして来なかったってことは今の所敵じゃないかな。
「それでお嬢さんはどうされたのですか?」
この人は城御用達の商人。
なら、上手く説明出来たら入る方法を教えてくれるかもしれない。
「実は、かくかくしかじかで友達がしかじかなんです。」
「なるほど…。」
正直に全てを話した。
これで協力してもらえなくても構わない。
その時は正面突破で突き進むだけだ。
「まさか帝国の兵士が子供を攫うなんて…とても信じられません。しかし、お嬢さんは親友が居るかもしれない可能性にかけてここまでいらっしゃったのですね。その熱意に感服いたしました。私にお任せ下さい、なんとか侵入させてみせましょう。ですが、その後は何も保証出来ませんよ?」
まさかの了承。
怪しいとか思って疑っちゃったけど実は良い人っぽい。
俺の勘も外れる時は外れるな。
「構いません、中に入れたら後は探すだけです。でも、本当に良いんですか?」
「良いんです。友との熱い友情に感動致しました。是非再会出来る事をお祈り致します。」
「ありがとうございます!」
良いお兄さんだ。
頼もしい協力者に出会えたところで侵入作戦に移行する。
侵入方法は至って簡単。
このお兄さんの荷馬車に隠れるだけ。
毛布に包まって門を通り過ぎるのを待つ。
その後、荷馬車から降りてサラちゃん探し。
完璧な作戦過ぎてちょっと頭が良くなった気がする。
作戦内容の確認を終えてお兄さんの荷馬車の中の荷物に紛れて隠れる。
ガタガタとゆっくり馬車が動き出したと思ったらすぐ止まる。
もう門番前。
お兄さんと門番達のやり取りがボソボソっと聞こえた後にまたゆっくり動き出す。
それから少しの間揺られてまた止まる。
「どうぞお降り下さい。私の役目はここまでです。」
どうやら何事もなく侵入成功した模様。
場所はお城を囲うように作られた庭園の一角。幸いにも人気は無い。
「お兄さん、ありがとうございました。今度会えたら改めてちゃんとお礼させて下さい。」
「これはこれはとんでもない。私はただここまで運んだだけです、お礼など要りませんよ。それよりも無事にご友人とお会い出来る事を心より願っております。」
「はい、必ず友達を見つけて来ます。それではまた!本当にありがとうございました!!」
俺は全力で感謝を告げて城の内部への侵入経路を探しに行く。
「えぇ、無事に見つかると良いですね聖女様。」
後ろから最後まで心優しい言葉を投げかけてくれたお兄さん。
本当にありがとうね。
………………あれ?
そういえば、俺が聖女って名乗ったっけ?
まぁ良いか今は何よりもサラちゃんだ。




