表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日も聖女は拳をふるう  作者: こう7
戦乱の帝国にて聖女と三姉妹は踊る
217/223

聖女、まかり通る


共和国から全力疾走を始めておよそ4日目。

ついに帝都が見えた。

人の出入りも多く小さな町や村には見られなかった仰々しい検問も見られる、間違いなく帝都。

ここまで短かったような長かったような。

着く先々の村や町で帝国兵が横暴を奮ってたりこの機に乗じた野盗やらが活発に馬車や旅人を襲ってたりってやたら事件と遭遇しまくりだった。


それでも俺の進行に遅れは無く最短で来れたと思う。流石にちょっと汗をかいたけどね、姫様達関連の冷や汗以外では久しぶり。


早速入らせて頂きましょうかね。


大人しく検問に並んでいられない。お父さんお母さん初めて俺は悪い子になります。

ちゃんと並んでいる人達には悪いけれど友達を救う為に今だけは規則を破る。


並ぶ人達の横を覚悟を決めて通る。当然の如く視線が注がれるが気にせず進む。心の中で一人一人にちゃんと謝っておこう。


ごめんなさい。



「こらこらお嬢ちゃん割り込みはいけないよ。ちゃんと並ぼうな。」


検問最前線まで訪れた所で検問をしていた衛兵の一人に声を掛けられた。

大柄ながら優しそうな雰囲気を持つおじさん。

帝国の兵だからって皆が横柄ではないようで優しく注意してくれる。でも、申し訳無いけどそれには答えられない。


「ごめんなさい衛兵さん。でも、私は急いでますので通らせて頂きます。」


「いやいや、駄目だよ。時間はそんなに掛からないからお嬢ちゃんの番まで大人しく待っててくれないかな。」


強く言ってこない。

そこに罪悪感が重くのしかかる。

でも…それでも…………ごめんなさい。


両足に力を込める。


「おじさん、ごめんなさい!!」


軽い地響きを起こしながら検問をする衛兵の間を搔い潜るように駆ける。


「ちょっ…はや!?お嬢ちゃん待ちなって!!」


後ろからおじさんの驚きと制止を促す声が聴こえる。


「俺はまだ29だあぁ!!!」


………お兄さん、ごめん。





そして、始まりました衛兵さん達との追いかけっこ。追われているのは俺、俺を捕まえられるかな?


終着点は少し遠くに見つけた王城。

絶対たどり着いてやる。


でも、どう連絡してんのか分からないけど前方からあのおじ…お兄さんと同じ軽鎧を纏った人達が何人もこちらへ走って来ている。

進行方向と視線を交わした事からおそらく俺を捕えるつもりの様子。


「居たぞ、捕まえろ!!」


「チッ…。」


俺は狭い路地裏に逃げる。

遅れてあの人達も後ろからついて来ている。

狭いお陰で上手く追い付けないみたい、これなら撒けるか?


「見つけたぞ、お嬢ちゃん!さぁ、観念してちゃんと列に並びなさい!」


あの時のおじ…お兄さん!?

なんだこの衛兵さん達の執念は…。

たった一人のか弱い女の子がちょこっと強引に入っただけでここまで追いかけてくるのか。

戦争中だから厳戒態勢ってヤツか?



しかしこのままでは不味い。

完全に挟まれた。

踏ん切りがつかず思わず立ち止まってしまった。それを見たおじさんは俺が観念したと思いホッとしながら近づいて来る。


「お嬢ちゃん、帝都が楽しみで来たのかもしれないが規則は規則だ。ちょっとだけ詰め所でお説教するがすぐに解放するから大人しくするんだぞ。大人しく出来たら屋台で何か奢ってやるからな。」


とことん優しいおじさん。

大変魅力的な提案もされた。

でも、ごめん。


俺は行く。


道を塞がれたなら壁を走れば良いじゃない。

と言う訳で、爺ちゃん直伝壁走り。

身体の重さが地面へ誘おうとするも強引な脚力でそれを無視する。

おじさんの横を通り際にそっと謝る。


「ごめんね、おじさん。それでも私は行かなきゃいけないの。」


無事、衛兵達との追いかけっこに勝利して王城へ辿り着くことに成功しました。



「俺はまだお兄さんだあぁぁ!!!!」



何処かで誰かの声が木霊した気がする。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] アラサーはローティーンにはおじさんかな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ