この手は神か悪魔か2
瀕死のセイル様達の前に現れたのはアリスの悪しき天敵、エルド。
性懲りも無く原産国共和国の信者を従えていた。
しかし、今この場において彼等の戦力は非常に大きい。セイル様もあの少女を信仰する者達の噂特に異様な戦闘力は聞きしに及んでいた。
兵士でも騎士でもないただの一般人が謎の強さを見せるなんて眉唾物。
けれど、セイル様は信じる。訓練場で手合わせしたあの少女に付き従う者達なら当然の強さであると信じているからだ。
「不甲斐ない有様だが、どうかそなた達アリス狂の力をお借りしたい。よろしく頼む。」
一文字違うけどあながち間違いではない。
「その言葉しかと聞き入れた。貴殿らはそこで女神アリス様にお祈りを捧げていると良い。」
「いや、幾ら何でも私達と協力しながらの方が…。」
「任せておきなさい。我らなら大丈夫です。何故なら女神アリス様の使徒ですから死にません。」
人はいつか必ず死ぬ。
なのに、彼の言葉には力がある。というか彼らはしぶとく生きそう、どこぞの黒光りした昆虫並みに。
「しかし…。」
「そんなに心配ならもし危ないと思えば加勢すると良い。」
「…………分かった。だが、無理はしないで欲しい。君達に何かあればアリス殿…じゃなくて女神アリス様が悲しまれる。」
ちょっと呼び方間違えただけで眼光を光らせないで。
「安心せよ。我らには女神アリス様の加護があるのだからな!」
「「「おう!!!」」」
そう言って帝国兵達に向き直る。
このやり取りの間はモリモリ筋肉集団ですら律儀に待っててくれていた。
「お前達、女神の息吹を準備せよ!」
「「「はっ!!!」」」
エルドの号令を合図に白装束達は胸元から絶対そこに入ってるのはありえないくらい大きな桶を取り出した。
それを横一列に並べてその桶に液体を入れている。
その液体が女神の息吹の源、とある薬屋のお婆ちゃん作だ。
桶に入れられた液体から白い靄のような煙が発生している。
「団扇をよーうい!!」
全員が桶を挟んで帝国兵達と向き合うように並ぶ。
手には大きな団扇を装備して。
「女神の息吹、発動!!あおげ!!」
一糸も乱れず家族以上の連携で液体から発生した女神の息吹もといとてもすごーく眠くなる煙を帝国兵へ流していく。
ずっと律儀に待っていてくれた帝国兵達も流石に警戒する。
だが、遅かった。
団扇であおいだところで途中で霧散するかと思えば何かの意志を宿ったようにしっかり帝国兵へ届く。
そして一人また一人と煙を吸い込んではバタリ倒れて眠っていく。
最後に残ったのは筋肉集団のみ。
彼らはやはり本能のままのお陰か眠りはしなかった。けれど、多少は動きを鈍くすることに成功したようだ。
こうなれば、図体のデカイ的。
白装束集団はそれぞれの得物である鍬や鎌、金槌、名状しがたい鉄の棒のようなものを取り出して声を合わせる。
「「「テメーらの血は何色だあぁぁっっ!!!!」」」
そこから先は世紀末。
共和国の首都で肉屋を営む仲良し夫妻も包丁片手にヒャッハー。
共和国の町にある商会の娘さんも会長の椅子を持ってヒャッハー。
これらは皆アリス教の信者の方々です。
貴方も是非入信を!
ちなみに、帝国兵及び筋肉集団は仲良くおねんねしました。




