無垢なる少女を救え2
とある村の近くの川。
そこに複数の村人達に混ざってお手伝いをする女の子が居ました。
その子の名前はサラ。
ある人からは唯一の癒やしで天使、またある人達からは恋のライバルと称されている。
本人はそんな事露知らず、今日も家族と一緒に結晶石を探している。
父親に首都での楽しかった思い出話を聞かせながらいつも明るく楽しそう。
「お父しゃん、それでね、それでねーアリスお姉ちゃんが」
「こらこらサラ、お手伝いさんなのに手が止まっているぞ。手も動かしてくれるとお父さんは嬉しいな。」
「あうぅ…ごめんなしゃい。」
「それだけお姉ちゃん達と遊んでもらって嬉しかったのよねー。」
「うん!また会いたい!」
「そうか、今度会えたらお父さんからもお礼を言いたいな。」
着実に争いの火種が燻り始める中でなんともほのぼのとした一幕。
ここに居る誰もが戦争が起きているなんて知らない。
けれど、もうすぐ知ることとなる。
川での結晶石探しを終えて、お空は夕暮れを迎えていた。
村に点在する各家ではそれぞれがそれぞれの家族と仲良く夕飯作りやはたまた既に食事を始めていた。
そんな日常風景に終わりを告げる足音が。
村へ逃げ帰るように走って来た青年。
門番を務めるおじさんは何事かと青年へ問う。
告げられた回答は、まだ距離はあるもののかなりの兵士達がこちらの方向へ行軍しているとの事。
この村に着くのは早くても明日の朝。
遅ければお昼、出来るなら来ないで欲しい。
青年が必死に疲弊しながらも伝えてくれた貴重な情報は門番から村長へ。
そして、村長から全ての村人へ伝達されていった。
あれほど明るくほのぼのしていた村の雰囲気はまたたく間に不安、恐怖や絶望へ塗り変わってしまった。
ある者は急いで荷をまとめて村を出る準備を。
ある者は逃げた後の宛もなくただ茫然と死を待つ。
またある者は家族とこの村を守る為に鍬や鎌を武器に抗戦する意思を見せている。
サラちゃんの父親が選んだ選択肢は家族の為に抗戦。
当然ながら妻はそれを許容出来ない。
「貴方、一緒に逃げましょう。宛はなくても3人一緒なら生きていけるはずよ!」
「駄目だ。まだここに迫る兵が敵か味方か分からん。もし敵ならお前達の命が危ない。それに奴らの行軍の速さだとお前達が何処かの街や村に着く前に追い付かれてしまうだろう。だから、俺は足止めとしてここに残る。」
「そんな…嫌よ!一緒に来て、お願い!」
「分かってくれ…。俺はお前達さえ生き残ってくれればそれだけで幸いなんだ。」
「あなた………馬鹿。」
「あぁ…すまない。」
「むーお母しゃん達ずるい!サラもギュッてして!」
夫婦はまるで最後の別れを惜しむように抱き締め合う。
それを何も知らない少女は羨ましそうに口を尖らせていた。
そして、次の日の朝。
運が良いことにまだ兵士達の影は無い。
だが、時間の問題だ。
村の住人達は残る者を除いて去り始める。
「ねーねーお母しゃん。どうして村を出るの?またお祭りー?」
「…………ううん、違うわ。少し出掛けるだけよ。お父さんに行ってきますのチュウをしてあげましょうね。」
「うん!」
少女はいつものように明るく行ってきますと父親な頬にキスをする。
その時、どうしてお父さんが泣いていたのかまだ少女には分からない。
こうしてサラちゃん御一行は村を去りました。




