無垢なる少女を救え
事情聴取。
俺の真摯な説得が功を奏して色々と吐いてくれた。
フォルクスとの関係は交流会よりもずっと前からの仲だったそうだ。時期的には俺と初めて出会った日から一月も経たない内に帝国へ援助をこっそり行なっていた。
全ては俺を殺す為。
たかが小娘一人にどんだけ全力だよ。
それだけ貴族主義が根深いようだ。
フォルクスについてはひとまずこれで良し。今度会ったら殴る何が何でも殴る。今までの騒動の一端なんだから絶対殴る。
お次は帝国の動向。
これについてはトワレ様達も混じえて話さないとここらの地理に詳しくない俺らでは分からないことだらけだ。
それで話し合いしたいんだけど………どうした?
お姫様二人が俺に跪いた。
声を掛けたらいきなりだよ。
「えーと、あのーどうしましたか?」
「女神様のご慈悲で私達は命を繋ぐ事が出来ました。でしたら、この命は女神であるアリス様のものでしょう。アリス様の僕として私達は忠誠を誓います。」
「誓います!」
………………。
ノルン様は感染の兆候が見られたから分かる。けれど、トワレ様はどうしてなの?
はっ!
俺は三人娘を見る。
揃って綺麗に明後日の方向へ顔を背ける。
あいつらか…。
「さぁ、女神様私達になんなりとご命令を!」
「命令を!」
他国にまで感染したらいよいよ終わりだ…………よし。
他所の子ましてや王女様達にこんな事はしたくなかったけど仕方がない。
ごめん。
俺はキラキラした目で見つめる二人のお姫様目掛けて拳を振るう。
悪い人達相手みたいに思いっきり殴らない。顎を掠めるように脳を揺らす。
これで気絶になりかけるからトドメに即頭部へ優しい掌底。
外部ではなく内部へ伝わる衝撃。
俺への信仰心だけ消えてくれ。
そのまま二人は地べたへまたしても倒れ意識を失う。
ここしばらくお姫様達の扱いが酷くなっている。でも、正気に戻ればまた元通りだ。
やがてまた意識を取り戻したトワレ様達。
トワレ様はどうにか元のお姫様の戻ってくれた…………でもノルン様は…。
また小さな女の子が不治の病に。
また同じ事をやったらそろそろ身体に影響が出るかもしれないから出来ない。
もう諦めるしかない。
こうして共和国での何十人目かの信者が誕生しました。
もう今の出来事は置いて一連の流れを怯えながら見ていたガナッシュに帝国の動きを聞く。
「それで帝国は今共和国の首都を目指しているんですか?」
「あ、あぁじゃないはい!そうであります!ただまずは周辺の村や街へ侵攻し国力を削ぐ作戦であります!」
周辺の村。
いや、いやいやまさかそんな事にはならないよね?
サラちゃんの住む村は周辺の村に含まれないよね?
拭えない不安が押し寄せる。
このままフォルクスを追いかけて王国へ行こうかと考えていたけど変更したい。
サラちゃんが無事だと確認したい。
でも、今は俺だけでなくスゥ様達やトワレ様達がいる。
俺の勝手な我儘に付き合わせられない。
「皆、よく聞いて。みんなはこのまま王国へ向かって。私はサラちゃんの村へ行きます。だから」
ロコルお姉ちゃんの人差し指で口を閉じられた。
「アリス様を一人だけでなんて行かせられません。行くなら私達も一緒です。」
「そうです、お姉様。私達は一蓮托生一心同体一生一緒に居てくれやです。」
ロコルお姉ちゃん、スゥ様…。
「アリス様、私達もついて行きます。やっぱり自分の育った国を見捨てられません。」
「我が身は女神アリス様の為のもの。この身は御身の為にあり。」
トワレ様、ノルン様…。
ノルン様口調変わっていない?
皆の決意は固い。
なら、もう何も言わない。
待っていろ、サラちゃん!




