殴って縛ってじゃんけんグー
たった百人ちょっとの帝国軍隊はたった四人の女子供によって壊滅してしまった。
ほぼ全員が意識を失う中で唯一人意識を失わせてもらえなかった男、ガナッシュ。
ゆっくりと微笑みながらやって来る女神と称される少女に年甲斐もなく怯える。
本能から敵対してはならなかったと自らの過ちを今更ながら後悔している。
「さて、残りはおじさん一人だね。よくも苛々を溜めさせてくれたね。とりあえず一発殴らせろ。」
女神様なのに少し言葉が汚い。
でも、苦言も何も言えない。少女の纏う闘気がそれを許さない。
「はーい、じゃあ歯を食いしばって。色々聞きたいことはあるけれどひとまずお鼻を潰そう、ね!!」
けたたましい音が空へ響き渡る。
殴打で出る音とは思えない。これでも本人的にはちゃんと加減をしているらしい。
こうして、ガナッシュは一切の抵抗も出来ぬまま一度意識を深い闇へ落とすのでした。
「ふー、これで一旦危機は去ったかな?」
敵の将軍をぶん殴ってスッキリ。
鼻が潰れて歯も結構取れちゃったけど殺してはいないよ。聞きたいことが沢山あるもん。
「お姉様、この眠ってる者共はこの縄で縛っておきますね。」
スゥ様とミーナちゃんが胸元からいくつもの長い太縄を取り出す。
どこにそれだけしまっていたのとか入ってた割に膨らんでいなかったねとかそんな事触れない。
もう姫様達はそういうものだと思っている。
百人以上を二人一組とはいえ縛るだけの縄があってももう不思議じゃない。
目下戦争中なので急いで縛る。
緩かったら逃げられるので爺ちゃん直伝のキーコー縛りというのでしっかり縛る。
これに猿轡があれば完璧らしいけど残念ながらここには無い。
でも、これだけで十分抵抗出来ないだろう。
全員をキーコー縛りで動きを封じたところでようやくトワレ様やノルン様が目を覚ました。
「あれ?私達生きてる…。」
意識が覚醒し辺りをキョロキョロ見渡し自身の身体を触りながら確かめる。
「トワレ様にノルン様、ご無事で良かったです。さっきまでの出来事覚えていますか?」
「え?確か…帝国兵に刃を向けられて絶体絶命で…それで何か大きな物がいきなり……うぅ頭が…。」
記憶が曖昧になっているのか頭を押さえる。
思い出さない方がいいよ、それ禄な思い出じゃないよ。
「トワレ様にノルン様はまだ記憶が混濁しているようですわね。お姉様、私達でトワレ様達に調き…こほん状況説明をしますのでお姉様はそこのガナッシュという愚者から聞きたい事を聞いていらして下さいませ。」
「ん?うん、そうしてるね。」
三人娘はトワレ様達を囲うように陣を組む。
まるで逃さないように見えるのは気のせい。
だから、俺はガナッシュの方へ。
未だピクピクしながら夢の中に居るおっさんの頬を平手打ちで叩き起こす。
バチンバチンバチンバチンバチンバチンバチンお?起きた?
7回目でようやく起床、おはよう!
「ガナッシュだったよね?お目覚め早々悪いけれど色々教えてちょうだい。フォルクスとの関係とか帝国兵は他にも増援が来るのかとか色々ね。」
「だ、誰が教え…。」
シュポン。
この音は地面に穴が開いた音。
おっさんの首横すれすれに綺麗な円形の穴。
「教えてくれるよね?」
「へい、喜んで!!」
うん、良い返事。
さぁいっぱい教えて頂戴な。




