らしくある為に
王国へ向かう途中、帝国兵によって行く道を阻まれてしまった。
しかも、俺達の中に裏切り者がいて危機的状況に追い込まれていく。
「では、そろそろ私はお暇させて頂こう。ガナッシュ殿、あの愚か者共の始末確実にお願いしますよ。」
フォルクスはそう言うと剣を突きつけていたトワレ様とノルン様をガナッシュ側に連れて行く。
そして、冷酷な笑みを浮かべる。
「おぉっとガナッシュ殿、あの賤しき聖女には十分お気をつけを。まぁ人質が居れば動けない小娘なので問題は無いでしょうがね。」
「そうか、忠告感謝する。そなたとの約束は必ず果たそうぞ。」
そう挨拶を交わしてフォルクスは王国方面へ馬車を走らせ去って行く。
もちろん護衛だったはずの兵士達も一緒に。
俺達はそれを黙って見届けるしか出来なかった。
「さて共和国のお姫様方はこれから帝国へ連れて行くとして、貴方がたには死んで頂きましょう。約束ですからね。」
武器を構える兵達は徐々に囲うように円を作っていく。
俺達も警戒して拳や武器を構える。
「おやおや、先程の会話をお聞きにならなかったのかな?抵抗したらこちらのお姫様方が死んでしまいますよ。」
「「ひぃっ!?」」
トワレ様だけでなくノルン様の喉元にも剣を添える。刃先が少し食い込んでいるのか刃から赤い煌きが見える。
思わず奥歯を噛み締める。
俺は拳を解く。
仕方がない、よね?
「………分かりました。ですが、スフィア姫や他の子達には手を出さないで頂けませんか?殺すならあの男の標的である私だけで十分でしょう。どうかお願い致します。」
「「「お姉様(アリス様)!?」」」
3人の悲鳴に近い叫びを無視して頭を下げる。
被害は少ない方がいい。
三人は俺が巻き込んだようなもの、ならどうせ死ぬなら俺一人で上等だろう。
「おー女性に対して失礼かもしれませんが、なんとも漢らしい戦士のような聖女様だ。つい貰い泣きしそうな程です…………ふむそうですね、良いでしょう。私も一戦士として同類の遺言には出来るだけ答えましょう。」
おぉ、案外良い奴。
騎士や兵士でしかも隊長格や将軍格の人って結構優しい人が多いね。
俺の命一つで3人の命が守れるなら安い安い。
「ありがとうございます。」
「いえいえ、我々も娘と同い年くらいの少女を殺すのは心苦しいのですよ。ですが、貴方には死んで頂きますこれは約束ですので…。」
「それは仕方がないです。でも、私との約束も守って下さいね。」
「はい、もちろんです。」
契約成立。
これで一安心。
最後になっちゃうかもだからちゃんと三人にお別れをしておこう。
後ろを振り向く俺。
広い平原の中、小気味良い衝撃音が頬から流れる。
会話が成立するほど静まる中で、やけに音が通る。
頬を叩かれた。
ロコルお姉ちゃんだ。
腹に正拳突きをくらった。
スフィア様とミーナちゃんだ。
威力は決して強くないのにやけに効く。
でも、何よりも痛く感じるのは三人が涙を流して泣いているから。
キッと俺を睨む三人にいつも慕ってくれる面影は無い。
「「「お姉様(アリス様)……………………………………ふざけんなっっ!!!」」」
大地が震えた?
気のせいかな?




