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今日も聖女は拳をふるう  作者: こう7
プロローグ
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聖女な一日2


村人全ての治療を終えた私は、村長に事情を伺っているノートンの所へ。


あ、いたいた。

騎士数人で囲んでまるで脅しているようね。

私の接近に気づいた騎士様達はノートンと共に近づいてくる。

さてどんな事情が待っているのかしら。


「ノートン、どうでした?何が原因か判明しましたか?」


「はい、アリス様。この付近に出没した魔物ジャイアントボアが原因のようです。村人が狩りの最中に襲われたそうです。」

「ジャイアントボアね。以前からいたのかしら?」


「いえ、この村周辺は出てもウルフやゴブリン程度。何処か他所から紛れ込んだのでしょう。」


「そうそれは急いで対処しないといけませんね。早速、村長さんに話をつけてすぐに行きましょう。」


「はぁ、分かりました。どうせ危険だから駄目と言っても行くでしょうし。せめて、まだ笑顔になるのはやめて下さい。」


あら、お‥私ったら笑っていたみたい。

ついつい無意識に感情が表に出てたのね。

顔を引き締めないと。

表情を整える私を騎士様達はみな呆れたように見ている。


本当、失礼な人達ね。


顔の整理を終え、村長さんに原因を解決するため動く事を告げる。


「村長さん、騎士様からお話を伺いました。ジャイアントボアが出没していると。」


「はいその通りです。彼奴の出没で亡くなった者もおります。」


村長さんは亡くなられたどなたかを思い浮かべたのか沈痛な面持ちをしている。

亡くなった人はどうあっても戻って来ない。だから、この先の未来のためにやらなければならない。


「村長さん、私達がそのジャイアントボアを倒してみせます。」


「なっ!?聖女様、それは危険ですじゃ。もし聖女様の身に何かあれば‥」


「心配して頂きありがとうございます。ですがご安心下さい。私には回復魔法があります。戦闘を騎士様にお任せするのはとても心を痛めますが、私が全力で後衛を務めます。私がいる限り誰も死なせません。」


「ですが、こんな小さな村のために聖女様方が‥」


最後まで言わせない。


「私は聖女です。聖女は怪我や病気で苦しむ人々のためにあります。心を哀しみで苦しんでいる人達を救うのも私の務めです。どうか私に‥いえ私達に救わせてください。」


「あぁ、聖女様ぁ‥なんたる慈愛の精神か。」


村長さんは涙もろい人だ。先ほども泣いてたのにまた泣いてる。

村長さんは近くで貰い泣きしている村の人にお任せしましょう。

「さて、私達は行きましょう。」


「はっかしこまりました!お前達行くぞ!」


なんだかんだで付き合ってくれる騎士様達の掛け声と共に森に潜む元凶討伐へ。




村を出て、森の入り口に到着。

確かに森の奥からひしひしと大きな気配を感じる。

湧き出てくる興奮を抑え、自分の長ったらしい金髪を紐で1つに纏める。

動きやすいように着ているローブも腕と足の部分を折りたたんで紐で留めて短くしておこう。


森に入っても、ゴブリンやウルフといった魔物は出てこない。森に居座り続けている大きな存在に怯えているのかもしれない。


「アリス様、何も出てこないからといって退屈そうな顔をしないでください。」


どうもお‥私は顔に出やすいみたい。


「ねぇ、ノートンもう良いかしら?村人の方達もいないですし‥」


「はぁ、まあ今は我々だけですし良いですよ。でも、聖女としての印象もありますし出来れば先ほどまでの言葉遣いや礼節をこれからも維持して頂ければ良いのですが‥」


「うふふ、それは無理。」


人の性格を改変しようだなんて、酷い人達。

「はい、分かってますよ。そろそろ本命と接敵するでしょうし、良いですよ。」


許可がおりました。


「いよっしゃあ!じゃあ、お前ら行こうぜ、でっけー魔物が俺を待ってるぜ!」


やっと元の口調に戻れる。

だいぶあの聖女仕様にも慣れてきたけど、しんどいもんはしんどい。


まあこの溜まった鬱憤もこの先にいる魔物ちゃんに晴らしてやる。



抑えきれぬ興奮を胸に進むと、本命のジャイアントボアを発見。

相手も気づいていたのか鼻息荒く戦闘準備万端のご様子。

へへ、腕が鳴るねぇ。


「おーし、俺があいつの相手すっから。お前ら後方で待機で!」


「いやいや、村長に説明したのと真逆じゃないですかぁ!」


「もうノートン、あれは村長を安心させるためって分かってんでしょう?ほんと真面目だねー。はい、下がって下がって。」


俺が大人しく従う訳ないと分かってても一応注意してくる。

他の騎士達はとっくに諦めて後方で待機しているのに、ノートンは真面目すぎる。困ったもんだ。


「さていっちょ聖女として頑張りますか」


俺は首を鳴らして準備運動しつつ、ジャイアントボアの前に歩み出る。




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