嵐の前の誕生祭4
またお腹がしっかり膨らみました。
女神ではないけど糧にはなったよ、小魚さん達。
次やる機会があればまた挑戦したい。
続いてサラちゃんがおすすめする場所は劇場。
誕生祭の期間限定無料で王様を主題にした劇が催される。
でも、それを聞いた護衛達が苦笑い。どうしてか聞いてもいい?
「劇の内容は陛下がドラゴンに連れ去られた王妃様を救いに行く物語や陛下が国の為に大軍をたった一人で立ち向かうっていう内容だったりとほんのかなり大分嘘が九対一に盛り込まれてまして……。陛下はやめて恥ずかしいって止めようとしてましたが、王妃様が強行的に押し切ったそうです。結果、陛下は自室で悶え転がり続ける事件が勃発しました。」
………ご愁傷様。
それは恥ずかしい。
「スフィア様、劇とは良い案を聞きましたね。」
「そうね、ミーナちゃん。今度、王国に帰ったらアリス教主催でお姉様の劇を行ないましょう。費用はお父様に脅…お願いしてみます。」
「もしお願いが通りそうに無ければ私も呼んで下さいませ。私も僭越ながらご一緒に(物理的に)お願いします。」
「それは心強いです。ロコルさんはどうしますか?」
「私はお願い用の名状し難い鈍器のような物を用意致しますね。」
こんな不穏な会話は偶然にも護衛と談笑していたアリスには届かなかった。
神様の気まぐれか、この世界の男性は誰であっても不遇な運命を辿るようだ。
護衛との会話を終えてサラちゃんに引っ張られるように劇場へ入っていく。
……………………おはよう。
とても楽しい劇だったと思う。こうなんか王様役があれでなんかそのカッコ良かったようなアレでした。
ドラゴンも凄いなんかドラゴンしてたと思う。
ギリギリ寝ていないからね。
夢と現実の狭間でどんぶらこっこどんぶらこって船を漕いでいただけだから。
というか、おすすめしていたサラちゃんも一緒になって眠っていたよ。
「しゅごく眠れるんだよー!」
劇を見るよりも休息の為に寄った感じになってしまった。
その後も露店を巡ったり再度屋台へ突撃したりと充実した日を過ごせた。
そして、夕方。
サラちゃんとお別れの時がやって来た。
短い間でこんなに仲良くなれるとは思わなかった。最後は手を繋いであちこち回るまで親しくなれた。
正直、信者塗れになりつつある中で純粋無垢なサラちゃんの存在は大きかった。
でも、お別れしなければならない。
本当は明日も誕生祭を一緒に楽しみたいけど、サラちゃんは明日の朝一に村へ帰るらしい。
俺が別れを惜しむようにサラちゃんも大きな瞳にいっぱいいっぱいの涙を蓄えて、それでも泣かないよう堪えている。
「……………。」
無言で決壊しないよう耐えている癒やし子の頭を優しく撫でる。
「サラちゃん、サラちゃんの村は何処にあるの?」
「……………あっち。」
自身の服の裾を掴んでいた手を片方離してピッと後ろの方角に指を指す。
合っているのかサラちゃんのお母さんに目で確認を取る。
肯定。
「そっか。だったら、今度サラちゃんの住む村へ遊びに行くよ。」
「…………ほんと?」
「うん、私は友達に嘘なんてつかないよ。すぐには難しいかもだけど必ず行く。絶対行く、だから今は笑顔でさよならしよ?」
「…………っ、うん!」
やっと笑顔を咲かせてくれた。
目が赤くなっているけど、最後に笑ってくれたなら良し。
約束の証に結晶石の腕輪を渡す。
サラちゃんの店で買った物だろうなんて野暮な事は言わないでね。
逆にサラちゃんからは綺麗な石をいくつも繋げて造られた首飾りを渡された。誕生日に貰った宝物らしい。
そんな大切な物を預けてくれたんだ、絶対会いに行こう。
王国に帰ったら報復がてらにアルフを殴ってそのままお願いしよう。
多分、許可をくれるだろう。
最後にギュっと抱き締める。
俺だって寂しくなるもん。
「「はぁはぁ、お姉様私達も抱き締めてめちゃくちゃにして下さいませ。そして、共に快楽に堕ちて逝きましょう!!」」
ちょっと今は自重して。
結局、変態ちゃん達のせいで最後の最後で締まらないお別れになってしまいました。




