嵐の前の誕生祭3
新たなお友達サラちゃん。
会って少しの間で親しくなれるほど元気で明るい女の子。
そんなサラちゃんを連れてまだまだお祭りを楽しむ予定。
ただ俺達は共和国の地元民ではないので誕生祭にどんな催し物があるのか分からない。
だからこそのサラちゃん。
誕生祭参加歴2年目の先輩。
頼りにしている事を伝えればムフフンと鼻を一発吹いて自信満々に任しぇて宣言。
これは頭を撫でたくなる愛嬌。
妹みたいな変態や妹のような変態、姉だと思いたい姉?に囲まれる中で唯一の癒やしになるやもしれない。
「こっちだよー!」
誕生祭でおすすめの場所をお願いしたら、案内する気メラメラに小走りで先導してくれる。
転ばないよう注視しなきゃね。
サラちゃんが最初に教えてくれた所は小魚を薄い紙で出来た小さな網で掬う遊び。
なんと掬った小魚はその場でカラッと揚げてくれるらしい。
ゴクリ、これはやるしかあるまい。
四人分のお金を支払う。
一回やり直しが出来る。
小網を構えて小魚の動きをよく見る。行動を予測してその動き出しに合わせて流れるように。
失敗。
破れた小網を新たな物と交換。
さっきは狙った小魚の活きが良すぎた。隅の方で大人しくしているのを狙おう。
ゆっくり掬おうとして失敗したから次は速さを意識しよう。
セイル様と渡り合った時並みの速度で小網を繰り出す。
…………失敗。
誰にぶつけて良いか分からない怒りがふつふつと湧き上がる。
ふと他の面子を見るとサラちゃんは経験者なのかもう三匹目を獲得していた。
ロコルお姉ちゃんやミーナちゃんも掬った小魚を入れる容器の中には既に一匹ほど存在していた。
お、俺だけ…。
誰かが落ち込む俺の肩をポンと叩く。
変た……スゥ様だ。
「お姉しゃま、私にお任せ下さいませあ…ましぇ!」
なんで無理に噛んでいるの?
俺の生まれた疑問に答えることなく姫様は生簀の前に立つ。
少女は小網を側に捨てて容器を生簀に浸ける。
そして、ただ語る。
「貴方達、我らが偉大なる女神様がお前たちに使命をお与えて下さった。それは、お前たちが糧となり偉大なる女神様と一つとなれる使命である。さぁ、こちらに来るのです。女神と共にこの世界の行く末を見守るのです。」
な、何をやっているんだ…。
浸けられた容器の周りで何故か集まっていた小魚達はやがてゆっくりと一点に集束して行く。
気が付けば、姫様の容器は山盛りの小魚さんでいっぱい。
唖然とする俺と店の店主と護衛と周囲で偶々見ていた人達。
ロコルお姉ちゃんとミーナちゃんはうんうんとどうしてか納得していて、サラちゃんは単純にしゅごーいと大はしゃぎ。
山盛り容器を片手に姫様は笑顔で振り向く。
「お姉様あ…しゃま、敵は取りましたよ!さぁ、たーんとお食べ下さいませあ…しぇ!!」
…………………頂きます!
もう訳分かんねぇ、もう知らん。
小魚の揚げ物がたらふく食える、もうそれでいいや。
この後、小魚達は全て美味しく頂きました。




