嵐の前の誕生祭2
小休憩を挟んでしばし、ようやく俺ら一行は動き出す。
まず着替える。
ローブ全身がベットベト。
広場にある茂みで瞬間着替え、見張りはロコルお姉ちゃん。護衛の覗きは心配していない。
ミーナちゃん達を警戒している。同性だから覗くぐらいならどうってことはない、でもね……。
脱ぎ脱ぎして着替え終えたら茂みから出る。
護衛の騎士4人総出でお姫様とお嬢さんを取り押さえる姿がそこにあった。
全くこんな俺の身体を見たい理由が分からない。そう思うよね、ロコルお姉ちゃん。
「くふ…しゅごい…。」
ロコルお姉ちゃん?
鼻の両穴から綺麗な赤い縦線がお通りしている。
お外の暑さにやられただけだよね?
決してロコルお姉ちゃんは違うよね?
鼻を抑えても止まる様子の無いお姉ちゃんに一抹の不安を覚えちゃう。
まともであれと神様に願ってスゥ様達の拘束を解除する。護衛さん達ありがとう。
スゥ様達が親の敵のような目付きで護衛を睨む。青褪めながらも決して目が合わないように逸している。
うん、怖いよね。
怒り狂う彼女達をどうにか俺の両腕を代償に宥めることに成功した。
事態が収束したなら広場の露店を回りましょう。
まずは真っ先に目についたお菓子。
今日初めてお肉以外を食す。
名前はわたがし。
雲みたいにフワフワで口に入れた瞬間溶けてなくなり、甘さだけが残る。
こんなお菓子があるなんて知らなかった。なんでもふらりと村にやって来た老人が伝授してくれたらしい。
世界には色んな人が居るんだね。
次に訪れたのは母娘で装飾品を売っているお店。
「ようこしょ…いらっしゃいましぇ!!」
ミーナちゃんよりも幼い女の子の名前はサラちゃん。たどたどしくても人見知り無く一生懸命で愛らしい。俺達以外のお客さんも微笑ましそうに眺めている。
サラちゃん達のお店で売っているのは、村の近くにある川で取れる結晶石を加工して指輪や腕輪、首飾りにした装飾品。
色は結構豊富でどれにしようか悩む。
俺は最終的に紅蓮色の結晶石が埋め込まれた腕輪にした。
本当は誰かに選んで貰おうかななんて考えたけど、3人が急に大乱闘でも起きそうな殺伐とした雰囲気を醸し出すから断念。
お姉様を私色に染めたいと供述していました。
さて、次のお店へ行こうかなって思っているとサラちゃんがもじもじしながらこちらを見ている。
どうしたんだろう?
「サラ、お姉ちゃん達と遊びたいの?」
「………うん。」
母親は流石というべきか察するのが早い。
サラちゃんは少し俯きがちにコクンと頷く。
「ごめんなさいねぇ。村に同い年くらいの子が少ないからつい貴女達を見てたら遊びたくなっちゃったみたい。」
「そうなんですか。私達だったら別に構いませんよ。」
他の3人も頷く。
サラちゃんの目が輝く。
でも、すぐに眉を八の字にして母親の方を見る。
「お母しゃん、そにょ…遊んでもいーい?」
「ふぅ、しょうがないわね。お店は私一人でどうにかなるでしょう。ただしお姉ちゃん達にご迷惑を掛けちゃ駄目だからね!」
「うん…はい!」
嬉しさのあまりピョンと一回飛び跳ねる。
やばい、可愛い。
こうして、新たに可愛いお仲間が出来ました。
「お姉様にはああいう感じが受けが良いみたいですね。」
「私達も今度からそれで攻めてみますか?」
「そうね、サラちゃんで学びましょう。」
聖女様本人にはどうしてか不可思議に聴こえない声で相談する変態共。
天然物に人工が勝るのか、それは神のみぞ知る。




