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今日も聖女は拳をふるう  作者: こう7
他所の聖女と異界の勇者
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番外編 こうして狂信者は造られる2



アリス教聖堂の地下の先にあったのは俗に言うトレーニングルーム。エルドさん達の界隈では芽吹きの回廊と呼ばれている。聖女様への真の僕となれるよう開花する為の試練場だそうです。


次にここでのルールを説明された。

一つ、アリス様を真に想うのであればこの場で弱気泣き言を吐いてはならず。

一つ、アリス様を真に想うのであればこの身が幾ら砕け壊れようとも鍛える事を怠るべからず。

一つ、アリス様を真に想うのであればこの身が幾ら傷付こうと笑顔であれ。その為、鍛錬中は聖女様バンザーイ以外は口にしてはならず。



以上、アリス様の血肉となるよう努力に励むように。



「……という決まりです。では、頑張って行きましょう。」


めちゃくちゃ笑顔で言う。

怖くない怖くない自分の感覚よどんどん麻痺れ、よし。



最初に案内されたのは元の世界でも有名なルームランナー、どうやって作ったかは不明。作ったのはアリス教軍需部門が作ったそうです、他にも色々な部門があるみたいだけど宗教とはなんだろう。


ルームランナーの規模は通常の物より大きく走れる長さは5メートルくらいある。その走る道を前後左右を直径50センチほどの筒状の配管が幾つも囲っている。配管が何故何処に繋がっているかは分からないけど碌な事が無さそう。


引き攣る僕にエルドさんから一言。


「タロー殿はまず基礎を上げて行きましょう。こちらでひたすら走り込んで下さい、速度はとりあえず以前出くわしたボアの突進くらいの速さです。私が終了と告げるまで頑張って走って避けて下さい。」


「はい、頑張って走り…避ける?」


「ふふ、ささどうぞどうぞ。」


有無を言わせない笑みでエルドさんが指をパチンと鳴らす。すると、白装束の人達が僕の両腕を掴んで半ば強引にそのルームランナーへと乗せられてしまった。


まだ呆然とする僕を無視してルームランナーへ鉄格子が設置されていく。まるで逃げられないように見えるのは気のせいと思いたいです。


「楽しい楽しい鍛錬の始まりです。笑顔を忘れないで下さいね、ではでは。」



エルドさんの微笑みはずっと死刑執行人を連想させる。

これを合図に動き出すランナー、ゆっくりと確実に速さが増していく。

気付けば全力疾走の2歩手前。

今はまだ余裕、でも1時間くらいで息を切らす自信がある。



上手くリズム良く走ろうと意気込む僕にアリス教の洗礼が始動した。

ずっと気になっていた筒、そこから飛び出てきたのは岩!?


咄嗟に身体を反らして回避してもまた別の筒から今度は矢………矢!?


それからも絶えず飛び出てくる岩や矢、それにナイフ。


「し、死ぬ…。」


「ナイフや矢はちゃんと殺傷力の無いよう処理しておりますので刺さりませんよ。当たりどころによってはちょこっと危ないと思いますけどね。」


最初の基礎から容赦無し。

殺意が無いと分かっても死ぬ気で避けてやる。




こうして始まった僕の異世界鍛錬生活は聖女様が聖都を去る日まで続いた。エルドさんは結局一切止める素振りを見せなかった。飲み物や食べ物は鉄格子越しから投げ入れられ、トイレは………何も聞かないで欲しい。眠気に負けたら岩やナイフが起こしてくれる、なんて親切設計。



もう目が霞んで身体はボロボロ。エルドさんの肩を借りないと動けないほどの痛みが全身を走り続ける。

そんなボロ雑巾になった僕をアリス様はとても心配そうに治して下さいました。誰もが走る僕を気にかけてくれなかったのに、アリス様だけはいや女神様だけはその優しく温かな光で包んで下さいました。


思わず涙が溢れる。



あぁこの御方についていこうこの身を全て捧げよう、改めてそう思いました。




後からエルドさんに教えてもらった。

王国にも同じ鍛錬場があること。そして今回は基礎に過ぎない本番は王国でということ。



膝から崩れ落ちたのは仕方ないと思う。



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