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今日も聖女は拳をふるう  作者: こう7
巡礼と唸る拳
110/223

番外編 反省ノートンはボロ雑巾2


地獄の聞き込みが始まりました。

最初の酒場での一幕で心はもう限界。

それでも仕事、私情でサボるなんて私には出来ない。



さて、お次は屋台群にでも伺ってみよう。

どこまでアリス様の信者の息がかかっているのだろうか。



活気のある大通り。

いくつもの屋台が立ち並び、私の鼻孔をくすぐる。

でも、食欲は湧いてこない。

酒場でしっかりとボロボロにされて早くお家で休みたい気持ちしか出て来ない。

それに加えて背中でおんぶしている大岩が順調に全身へ負担を与えてくる。

全然大したことない訳がなかった。

アリス様は後々来るこの重みも考慮していたのかもしれない。

無邪気な少女かと思えば、いったいどこまで先を見通しているのでしょうか。


おっと、屋台の方々にお聞きしなければ。



まずはそこの串焼き屋のおじさんに。


「お仕事中失礼します。少しお伺いし…。」


屋台を支える柱に突き刺さる一本の小さな槍もとい串。

あともう少しずれていれば私の眉間を貫いていただろう。

この事から判断出来たのは、このおじさんは間違いなくアリス狂信者だ。


「よ、ノートンの旦那。今のは挨拶代わりさ。この大通りを最後まで抜けたら代表として俺が旦那の話を聞こうじゃないか。」


「え、え…。」


「アリス様の温情に感謝し励めよ。よーい、はじめ!」


串焼き屋のおじさんは合図とばかりに大声を上げた。


私は震えた。

進まなければならない大通りから感じるいくつもの殺意。

ほ、本気で殺す気は無いですよね?


それにこの人だかりの中で私に攻撃なんて無理だよ無理ですよ。

もしさっきみたいに串を飛ばしたら大騒ぎになって通りが大混乱になりますからね。



自分へ必死に言い聞かせて一歩を進む。

たった一歩、たった一歩なのに足元へと刺さる串や包丁。

わぁ、私の足跡がはっきりと分かります。


そして気付く。

この大通りの異常さに。


明らかに串や包丁が飛んできた射線上には行き交う住人達が居たはずだ。

なのに、その道筋は綺麗に通るよう割かれていた。

そう…邪魔にならないよう協調性に満ちていました。

談笑する主婦達、立ち食いを楽しむ青年もみんなが私を見ていた。


あぁ、この眼…そうかここにいる人達全員信者の方々かぁ…。


改めて感じる恐怖。

どこまで浸透してるんだアリス教。

あと、アリス様準備運動から本気出し過ぎでは…。



でも、それだけ期待してくれていると思おう。

ガクガクと震える膝を思いっきりぶっ叩いて歩く。

一歩進める毎に肩や足、脇腹と傷が積み重なる。ぎりぎりで避けているが多分避けさせて頂いていると思った方が良い。

こんなにも重くなった身体で普段以上の動きが出来ていないのに避けれる訳が無い。

彼らの優しさだろう。



トス。


撤回、半分過ぎた辺りから本格的に刺さってきた。

でも、急所は外れてる。

や、優しいなぁ…。


私は明日の朝日を拝めれるかな。


おそらく慈悲が込められた無数とも呼べる雨に晒されながら残りの距離を縮めて行く。







最後は倒れて腕だけを動かして匍匐で前進した。

背中には岩があるので包丁を弾いてくれますからね。

二足歩行よりよっぽどましです。



到着した先には始めに出会ったおじさんが。


「よ、お疲れさん。とりあえず、おいお前ら治療してやってくれ。」


おじさんが指をパチンと鳴らすとそこらへん歩いていた人が私に近寄り、身体に刺さったあれこれを抜いていく。

そして、丁寧に布も巻いて下さった。


「ちゃんとした治療はいと尊き御方であらせられるアリス様に施して頂くと良いぜ。さて、話を聞こうか。」


「あ、ありがとうございます…。」


自由が効かない身体を無理矢理起こす。


さ、さあ…き聞き込みき、聞き込み…。





帰りたい






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