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今日も聖女は拳をふるう  作者: こう7
巡礼と唸る拳
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番外編 反省ノートンはボロ雑巾



姫様の暴力的な挨拶から始まった特訓。

まだアリス様的には準備運動だというのにもう横腹を痛めた。

調査期間はおよそ一週間を目処にしている。

それまで保つだろうか…。


それでも仕事は仕事。

まずは、情報といえば酒場だ。

冒険ギルドに併設されているあそこに行こう。


相変わらずまだまだ陽が高い位置からでも酒呑みはよくいる。

フリード元殿下の目撃情報とか聞き込みますか。


酒場のマスターに伺うか。

近付こうと歩を進める私に酒を呑んで談笑していた者達が次々と足を曝け出し、引っ掛けて来ようとしてきた。


な、なんで…。

普通、騎士の格好をしている人間に喧嘩をふっかけて来るようなものは殆どいない。

居たとしても側にいるものが急いで止めたりする。

なのに、この酒場にいる者達はみな私の足を引っ掛ける気満々だ。マスターもどこ吹く風の如くグラスを磨いて気にする素振りすらない。


と、とにかくこんなあからさまな引っ掛けにはかからぬように慎重に避けて近付く。


ガタガタガタ!


「「「おうおう、人が楽しく呑んでんのにぶつかってんじゃねーよ!!!」」」


当たってない!

こんな前代未聞な言いがかりは初めてだ。

なんで全く私の足と縁の無い位置にいる人も立ち上がってるんですか。

元々、立っていたマスター以外の全員が仲良く起立。



おうおうおうと言いながら徐々に距離を詰めてくる理不尽。

でも、一人が代表して話しかけて来ました。


「あ、すみません。一応、確認ですがノートン殿で間違いないですか?」


「あ、はい。」


「そうですか………こほん、おうおうおうよくも足を蹴ってくれたなぶっ飛ばしてやる!詳しくはマスターに珍獣野郎の情報を聞き出したいなら俺達の攻撃を躱して辿り着くことだな!」



……………信者かっ!


よく見ると酒を呑んでたという割に顔が赤くない。

マスターも微笑みながら私の元までおいでと茶化すように両腕を広げて小首を傾げている。


聞き込みする前に殴りたい。

ほんのちょっとアリス様に近付けた気がした。


私は大きく息を吸って吐いて覚悟を決めた。

室内なのでそこそこの雄叫びを上げつつ死地へと飛び込む。


照準をしっかりと私に定めた拳と蹴り。


正確に投擲される椅子やテーブル。


マスターからの空の酒樽。


もちろんそれらを全て確実に避ける方法など持っていない。

持ち前の剣で弾いたり自身の身体を全力で捻ったり捩ったりと動かす。

でも、捌ききれない一撃一撃がどんどん私の至るところを虐めていく。

特にマスターからの酒樽が頭を正確無比に狙ってくる。




けれど、ようやく無限とも思えた茨の道を抜け出すことが出来ました。

鎧は傷だらけのひびだらけ、身体はボロボロ精神ボコボコ。


着いた頃には謎の達成感と一緒に酒場の床と添い寝。


気絶から覚めると目の前にはマスターが。

お・つ・か・れとキュピーンと労ってくれた。白髪の渋めお爺さんがなに言ってるんですか。



頑張ったで賞にミルクを頂きちょっと一息。

それと集団暴行を行なった野郎共はもう既に誰も居なかった。

ただ伝言を残したようで内容は、『がんばれノートン! まだまだあるよ~!』と。


マスター、ミルクをもう一杯。


アリス様の準備運動とやらを私は侮っていたのかもしれない。

私の中のもう帰りたい君がずっと主張を続ける。


でも、仕事だから聞き込みをしないと。



当初の目的であったフリードのせいでこの野郎の目撃情報は無いかマスターに確認する。


………何もありませんでした。





帰りたい。



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