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引っ張りこまれた。
まだ異世界には行ってないです。
ホームから、落ちた
その日は、いつもと同じ日のはず、だった。
いつもと同じ朝、いつもと同じ通学路、いつもと同じ駅…。
昨日までと同じように定期で改札を通って、いつもと同じ時間に来る、いつもと同じ車両を待って、ホームのいつもと同じところに立っていた。
変わらないアナウンスと、よく見る電車の先頭。
その日がいつもと違ったのは。
背中に衝撃。
バランスを崩して、体が前のめりになる。
咄嗟に体勢を戻そうとするけど、髪が引っ張られた。
引っ張られた方向に体が持って行かれる。
頭が足より前に出て、目の前に線路が見えた。
視界がスローモーションになった。
なぜ目の前に電車があるのか、ということよりも、頭に浮かんだのは。
マジかよあいつら
最後に見えたのは、電車の運転席にいる人の、目が見開かれた顔だった。
だから、運転手さんには申し訳ない、とだけ思った。