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異能研  作者: 大和
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初任務(3)

「は?」

驚いた声を出した男は、まだ今の状況が信じられないという顔をしている。

ドサッという音を立てて背の高いひょろ長の男がその場に崩れ落ちた。

つい今しがた僕を背後から襲おうとした男だ。

まあ、その男が僕向けたナイフは、僕が回し蹴りで男の顎を砕くと同時に蹴り飛ばし、道に転がっているが。

空手。

僕の料理と並んで得意とするものだ。

生まれつき何故だか人の気配には敏感なのだ。

(しかし今回は気づくのが少し遅かったな。)

そんなことを考えていると、

「海斗くん、君ってやつは。」

「すごーーい!! かっこいい!!」

「先生びっくりしちゃった!」

とみんなが驚きながらも自分を褒めてくれた。

「大したことじゃないですよ。」

まんざらでもない顔をしていると

ブロロロ

と黒いバンが僕達の前で止まった。

「回収に来ました。」

バンから出てきた全身黒スーツの男が支部長に言った。

「1人増えた。取り調べは明日だ、運んで置いてくれ。」

支部長に言われた男は2人を軽々拾い上げ、手錠をはめてバンに乗せた。

「では。」

一言言って会釈すると、男行ってしまった。

「あの人は?」

「島の管理を任されている者だよ。連絡すると犯罪者を連れて行く。」

(いかにも裏社会の人間って感じだな。)

「そんなことより、君はやはり能力を持っていたようだな。」

「え、本当ですか?」

「うむ。まだ具体的なことは分からないが、あの身のこなしは普通の人間を超えている。君もやはり、異能力者だったわけだ。」

「そうですか。」

能力を使った実感がないので、いまいち喜べない。

「さて、今日の任務は遂行された。帰るぞ!」

「はい!」

今日は長い1日だった。

帰宅後、海心に店に出られなかったことを謝り、夕飯を済ませて風呂に入った。

今日1日のことを考えながら、自分の部屋に戻った時、僕は自分の異変に気付いた。

部屋の中の何もかもが変に気になる。

今日の朝と何も変わらない部屋なのに、本棚の本一冊一冊の題名、机の上にあるペンたての中のパンの本数から種類まで、この部屋のありとあらゆる情報が一気に頭の中に叩き込まれていくような感覚。

落ち着こうと思い窓を開けると、目に入る家という家の形、屋根の色など、際限なく頭の中に詰め込まれていく。

目を閉じても、今見た風景、詰め込まれた情報が頭の中を駆け巡り、脳で街が再構成されていく。

もう耐えられないと思った瞬間、漠然と理解した。

これが僕の異能力。

空間把握とでも言うのか、自分が今いる空間の全てがわかる。

落ち着いて目を開けると、そこにはいつもの僕の部屋があった。







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