表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異能研  作者: 大和
1/51

新学期

初めて書きました。

暖かい心で、厳しく批評してください。

「なんで2人とも倒れてるの?」

「なんで2人とも動かないの?」

「おとうさん、おかあさん。」

「なんで2人とも息をしていないの?」


夢を見ていた。もう何度も見た、あの夢を。

何度も見ているのに一向に慣れない。何も変わったところがない一室で、夫婦と思しき2人が倒れている。それを上から俯瞰で見ている夢。

眼が覚めると、僕は汗だくで涙を流していた。


まだ冬の寒さが残る4月上旬の朝である。寒さに耐え、ベッドから出て顔を洗っていると、厨房からごま油のいい香りがして来た。階段を降りて、カウンターに座る。すると

「おはよう海斗。もうすぐできるぞ。」

と、海心の声が聞こえる。

「おはよう海心。今日は何?」

と返すと、

「新メニューだ。」

と自信満々な声が帰って来た。どうやら今日の朝食はこの家、中華料理屋海海亭の新メニューが食べられるらしい。期待と不安に胸を膨らませながら新メニューの登場を待っていると、美味しそうな湯気立ち昇らせ、半球系に盛られたチャーハンが運ばれて来た。

「普通のチャーハンならもうメニューにあるじゃん。」

と半ば残念、半ば安堵の表情を浮かべながら海心に訴えると、

「食べてみりゃわかる」

と言われたので、蓮華いっぱいにすくい取って頬張った。

(なんだこれは)

悶絶している僕に向かって海心が満面の笑みで言った

「引っかかったな!それは見た目は普通のチャーハン、しかし中身は激辛の、名付けて"絶対騙されチャウハン(チャーハン)"だ!」

(このクソジジイ…)

「"絶対引っかかっチャウハン"でもいいぞ。」

「ごちそうさまでした。」

「おまえまじか。食ったのか。」

「美味しかったです。今日の夜覚えとけよ。」

今日の夕飯の犯行予告をし、僕は二階に上がった。今日は海心に付き合っている暇はない。自分の部屋に戻ると制服に着替えた。結びなれていないネクタイに悪戦苦闘していると、今日の夢を思い出した。この夢を見た日は決まって不幸が起こる。

「これで終わりだといいんだけど。」

そんなことを呟きながらブレザーを羽織り、階段を降りた。

「似合ってるじゃねーか。」

後片付けをしながら海心が言った。

「ありがとう。行ってきます。」

靴を履いていると、後ろから海心の声が聞こえた。

「変な部活に入るんじゃねーぞ。」

(変な部活ってなんだよ)

と少し違和感を覚えたが、あまり気にすることなく、僕は家を出た。

今日は4月7日。入学式の日だ。


"都立大井町高校"、僕の入学する高校は公立の高校の中では中堅の高校で、あまり校則も厳しくなく、自由度の高い高校で評判なところである。1番の売りは、簡単に部活動が作れることであり、多種多様な部活が存在する。僕自身は、別に部活動に興味があるわけではなく、ただ家が近いというだけで入ったのだが、基本的には部活をやりたい生徒がやってくる高校らしい。入学式が終わり、それぞれクラスに案内され、担任の挨拶などが終わると、今日は帰宅という流れだったが、部活が盛んな高校だけに、校門までの道のりは勧誘のための先輩学生で溢れかえっていた。物心ついた時から人混みに激しく酔う体質だったため、人通りの少ない廊下を歩いていると古ぼけた掲示板があった。なんとなく眺めていると、隅っこに他とは明らかに違う張り紙を見つけた。何が違うのかは分からなかったが、何かを感じ取ったのは確かだった。その張り紙は、僕を釘付けにしたようだった。


異能力研究部


活動場所

図書室隣の部屋

1630〜


入部資格

この紙が見える者


入部希望者は本日図書室まで来ること



「異能力研究部?」

しばらく考えたが、僕は図書室に向かった。





「かかったよ。」

椅子に座って本を読んでいた男が、向かいに座る男に言った。

「オーケー。準備はできてるな?」

男は立ち上がり窓際に立っている女に言う。

「大丈夫!任せて!」

女は言った。





職員室で図書室の場所を聞き、図書室へ向かう途中、また夢のことを思い出していた。なぜあの光景が変わることなく何度も夢に出てくるのか、理由は予想がついている。あの2人は僕の両親であり、夢の中でつぶやく声は僕自身だ。両親は僕が幼い頃に殺された。叔父の海心からそう聞いたのは今から10年ほど前だ。僕が両親はどこにいるのかと海心に問いただしたところ、教えてくれた。残酷な真実ではあったが、嘘をつかれるよりはマシだった。幼かった頃の出来事だったので、僕は両親の顔を覚えていない。なのであくまで予想なのだが、まず間違いないだろうと僕は思っている。


考え事をしているうちに、図書室についた。

深呼吸を一つして扉を開けると、そこには3人の人物がいた。


「ようこそ!異能研へ!」

パーンとクラッカーがなり紙吹雪が舞った。予想外の歓迎に戸惑っていると、

「どうしたの?びっくりしすぎちゃった?」

と女が駆け寄って来た。髪の毛は肩に着くくらいの長さで瞳は大きく、アイドル級の美少女だ。

「私は川崎 美里。2年生だよ!よろしくね!」

「清水海斗です。張り紙を見て来ました。」

美少女の笑顔に当てられ、ノックアウト寸前になりながらもかろうじて自己紹介した。

「俺は春日 泰輝。部長だ。よろしくな。」

こちらは爽やかなイケメンで、そこら辺の女は一発で惚れそうだ。

「そしてあそこで本を読んでるのが厚木 隆弘。副部長だ。俺たち2人は三年生だ。」

眼鏡をかけたこの人はとても気の良さそうな人だ。優しい声で、

「よろしく。」

と、手を振ってくれている。

とても良い雰囲気の部活だけど、何をするのだろうと思っていると、部長が少し真剣な表情で言った。

「さて、海斗くんでいいかな?入部するにあたって、君に聞いておきたいことがある」

「なんでしょうか?」

「君はどんな能力を持っているのかな?」





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ